2009年12月 1日 (火)

カリフォルニアロケット燃料

先日のストール先生の講演会。ミルタザピン(レメロン、リフレックス)について聞いてきました。ミルタザピンの使い方としてSSRIやSNRIで治療されている方に、上乗せすることを提案されていました。他の薬剤が奏功していない中、ミルタザピンを試みようと思うと、まずは上乗せになるハズ。

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講演の中でSNRIやSSRIとの併用について触れていました。彼が書かれた教科書「精神薬理学エセンシャルズ」では、SNRIとの併用について「カリフォルニア・ロケット燃料」と呼んでいました。SNRIでセロトニンとノルアドレナリン再取り込みを阻害した上で、ミルタザピンで抑制解除するコンビネーション。それが理論上、非常に強力だと言うのです。アメリカではSNRIと言えばベンラファキシンですが、日本ではミルナシプラン(トレドミン)が良いのでしょう。

エビデンス自体はまだあまり無いようですが、それでもうつ病のさらなる治療の可能性を期待させます。あまりに沢山の抗うつ薬を併用する中にミルタザピンを加えてしまっては変なことが起こりかねません。セロトニン症候群のリスクも高まるハズ。しかし、薬剤を整理した上で併用すれば、難治性うつ病の克服に対するひとつの武器になりそうですね。

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2009年11月23日 (月)

ミルタザピン

ミルタザピン(レメロン、リフレックス)がこの9月に日本で発売されて約2ヶ月が経ちました。まだ私自身の処方経験は2例のみ。爆発的に処方される薬ではないでしょう。しかし、これから処方数は確実に増えるだろうと思います。今後のうつ病治療における選択肢を増やすという意味で大きな薬剤です。

ここ最近の抗うつ薬と言ったら、SSRISNRIでした。SSRIは、神経細胞から放出されたセロトニンが神経細胞の中に再び引っ込んじゃうのを防ぐ薬。SNRIも同様に、ノルアドレナリンとセロトニンが引っ込んじゃうのを防ぐ薬です。

しかし今回は、ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬、略してNaSSAと呼ばれる作用機序。ノルアドレナリンとセロトニンの放出が抑制されるのを防ぐ薬。抑制解除をする薬です。

ストール先生の講演を聞いてきました。ミルタザピンの登場は、抗うつ薬が一つ増えるというだけではなく、SSRIやSNRIとは違った作用機序の薬という意味で大きな価値があるように感じました。SSRIやSNRIでの治療で難渋していた方に、さらなる治療の可能性がある薬と言えるでしょう。

海外では15年の歴史がありますが、日本では9月に発売されたばかり。来年9月までは14日分までしか処方できないのが悩ましいところ。悩ましい(-_-;

ヒスタミンへの作用がとても強く、最初に強い眠気があると言います。さっそく治療に難渋していた方2名に処方しました。「最初の1~2日は眠って過ごすつもりで飲んで!」と伝えて処方しました。片方の方は1日寝たと言いますし、片方の方は眠くならなかったと言います。そして一週間後に会ってみれば、お二人とも明らかに改善していました。効果が早いのも特徴の一つですね。元気になれる人が少しでも増えるよう応援したいと思います(^-^)

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2009年11月 4日 (水)

怠薬と再入院率

ドイツから来日された、シュライナー先生の講演を聞いてきました。その話の中で統合失調症における、怠薬に伴う再入院率の上昇について触れられていました。

統合失調症の人が1年間にどれだけ薬を中止したら、どれだけ再入院がアップしたか、という数字。

1-10日で1.98
11-30日で2.82
30日より多いと3.96

10日以下でも中止したら約2倍に、10日以上では約3倍、30日より多いと約4倍になるということ。これは頭に入れておきたい数字ですね。

よく「薬は止めちゃだめ」と患者さんの耳をタコにする勢いで繰り返しています。しかし、よく「なぜか」を伝えそびれているのではないでしょうか。

その「なぜか」について「止めると、再発・再入院に至ることになるから」を伝えるようにしています。しかし「どのくらい」を伝えていることは非常にマレではないでしょうか。

そもそも「どのくらい」を医師自身が十分に把握してないことが多いものです。私も正確には頭に入ってませんでした。この数字、覚えておくと、患者さんへの説明の際に役立ちそうですね。ってなわけで、メモメモ……

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2009年10月25日 (日)

EMDRを使ってみて

以前、EMDR講習会に行ってきた記事を書きました。トラウマに対する治療法です。PTSDに至るようなものでなくても、生活上の小さなつまづきだったり、それこそ大きな心の傷だったり。様々な傷の処理を助けるもの。本やDVDで身につくものではなく、EMDR学会(http://emdr.jp/)による講習会を要します。

EMDR講習会に行ったあと、様々な人にEMDRによる治療を試みてきました。人の死を目の当たりにした人や性暴力に遭った人、配偶者を亡くして介護が不足してたと後悔する人、自分の容姿に自信を持てない人など。

Eye_2全員に有効だったわけではありません。思うような効果を得られなかった人もいました。EMDRが合わない人だったかもしれません。私の技術不足だったかもしれません。ただ、副作用らしい副作用はなかったように思います。

そして、効果がある人には驚くような効果が得られました。それまでず~っと本人の中で続いていた悩み。それが一回のセッション=1時間程度でググッと変化する場に立ち会うと、ほんと驚かされます。「今まで、こんなこと考えたことなかったのに」と驚く人や、一回のセッションで終わらなくてもさらに続きを求める人や。

ただ、それなりの時間を要するものなので、普段の診療の中でそんなには数をこなせません。もっと、EMDRする人が増えればいいのに。

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2009年10月16日 (金)

精神療法という言葉

精神科では、様々な治療法があります。

薬物療法:薬物で治療します
光療法:光で治療します
作業療法:作業で治療します
集団療法:集団で治療します
家族療法:家族で治療します

精神科における治療について、非常に単純化して書いてみました。要するに「○○療法」と言ったら「○○で治療すること」なのが大抵のこと。

例外が少しあって
認知療法:認知を治療します
珍しく「○○を治療すること」です。

森田療法:森田先生が作った治療法
創始者の名前によるネーミングです。

さて、言いたいのはここから。
主に対話を通しての治療について「精神療法」と呼びます。これって、どういう意味なんでしょう? 精神で治療するわけではありません。「精神を治す」のは本当です。しかし、薬物療法だって何だって、精神科での治療は全て精神を治すものです。これって、いったいどーいう名称なんでしょうね。疑問です。

昔は、薬物療法や電気療法などが無く「精神を治療するといったら対話による治療に決まってるでしょう」ということだったのでしょうかね。これも想像の域を出ません。不思議ですね(・_・)

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2009年10月 9日 (金)

「たり」の使い方

現病歴では、様々な行動について記載することがあります。そんな文章を読んでいて、医学云々の前に「たり」が使えていない人をよく見ます。

というわけで、まずは悪い例。

アルコールが無くなると、大声をあげたり暴力をふるうなどして家族にアルコールの購入を要求するようになった。

たり」は同類の動作や状態を並べて示すために繰り返して使うものです。「シングルたり」は避けましょう。

アルコールが無くなると、大声をあげたり暴力をふるったりして……

ならばOKですね。これって一度知ってしまうと、人の文章が気になりません?ぜひチェックしてみて下さい(^-^/

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2009年10月 2日 (金)

リチウム中毒

双極性障害、いわゆる「躁うつ病」の代表的な治療薬のひとつに炭酸リチウムがあります。炭酸リチウムは、双極性障害の他でも統合失調症等で鎮静を目的に使われたり、鬱病の抗うつ薬による治療の補助療法として用いられることがあります。

この炭酸リチウムを使用する際には、血液検査で有効血中濃度の範囲に入るように調節します。血中濃度が低ければ十分な効果が得られず、血中濃度が高すぎれば中毒を引き起こします。

炭酸リチウム(リーマス)の資料を見てみました。炭酸リチウムを400mgずつ12時間毎に服用し続けた結果、血中濃度が5日で定常濃度に達したとあります。服用開始から1週間程待って血中濃度を測定したいものです。

リチウム中毒を避けるべく、血液検査を繰り返すのですが、希に血中濃度が高くないのに中毒症状が出ることがあります。医師としては「血中濃度は大丈夫なのに」と驚かされます。私自身、経験があります。血中濃度が必ずしも脳内の濃度と相関しないという報告があるので注意です。また、組織に蓄積されるので、ず~っと大丈夫だと思ってたら、いつの間にかに蓄積されて中毒に至ることがあり、これにも注意です。血中濃度は必ず参考にすべき値。しかし過信せず、中毒症状の出現に注意をすべきでしょう。

中毒に至ると、脳については意識障害や記憶障害、小脳失調など、そして他でも筋脱力、消化器症状、甲状腺機能低下などが生じることがあります。リチウムは、血中濃度が下がっても組織に蓄積した分があるので、少し遅れて回復するものらしいです。自験例でも、そんなんだったかな~

そして、最近知りましたが、リチウムを服用しながら電気療法をするのは避けるべきらしいです。電気をかけると脳内のリチウム血中濃度が高くなり、脳でリチウム中毒を引き起こすとのこと。一説には、電気療法で一時的に脳血管関門(BBB)の透過性がアップするんじゃないか、と。電気療法する前には一旦、炭酸リチウムを切るなり減らすなりした方が良さそうですね。

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2009年9月20日 (日)

パニック障害治療の終え方

外来でパニック障害を治療することがあります。大抵はSSRIでで治療し、大抵は何らかの治療効果が得られます。うつ病の治療と同じで、治療効果が得られるようであれば薬剤の量を中途半端にせず十分量にし、十分期間使うことが大切な様です。そこまで、急性期治療はシンプルです。

さて、SSRIで良くなったとして、それからどうしたら良いのでしょう。なんとなく薬物治療が続けられてしまっている患者さんは多いもの。

東洋英和の山田和夫先生がまとめられた内容によれば、急性期治療の後、数ヶ月の継続治療を、そしてその後に量を減らしての維持治療をし数カ月、最後にゆっくり漸減して中止を試みるのが良いようです。

その中でMavissakalianらの報告が紹介されていました。イミプラミンによる6ヶ月の急性期治療が成功した後の話。そのままイミプラミンを中止すると83%が再発したといいます。しかし、急性期治療の後に半分の量でさらに1年間イミプラミンを継続した後に中止すると再発率が25%に下がったと報告されています。維持治療、継続治療、そして維持治療が大切という話。

Ballengerによれば急性期が1-3ヶ月、安定得・継続期が2-6ヶ月、維持療法期が3-12ヶ月、薬物中止期が8-12ヶ月とされているそうです。

今まで症状を身ながら「なんとなく」になってしまいました。実際、大きな差はありませんが、これらを意識しながら診療にあたると全体の流れが見え、より良い治療ができそうです。ってなわけで勉強になったのでメモメモ〆(^-^

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2009年9月13日 (日)

トラウマに対するPE法

しばらく前になりますが、新宿で開催された第四回トラウマ治療研究会に行ってきました。そこで、Prolonged Exposure法で治療された症例の発表を聴きました。

トラウマを受けると、トラウマに関する「記憶の亢進」と「健忘」が同時に存在すると言います。そうなるとトラウマ体験の全体像を把握できなくなります。処理できず受け止められない恐怖だけが残っていると考えられます。

そこで、治療の場面でトラウマ体験に暴露させることで、全体像をとらえ直す機会を得て、受け止められる体験にできるといいます。また、心の「引き出し」から怖い記憶を取り出し、元の「引き出し」に戻す過程で、より安心を伴う記憶として戻されるといいます。

トラウマを「一連のストーリー」として繰り返し想起すること自体に治療効果があるということでしょうか。

このPE法って、治療をする側もされる側も大変そう。でも、これを通してトラウマを乗り越えられるとしたらいいですね。

EMDRでもそうですが、トラウマ治療ではトラウマの場面と向き合うことが多く、なかなか大変なものです。それにしてもこのPEは大変そう……。現在ではまだ珍しいと言えるこのPEについて、少しですが勉強になりました(^-^)

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2009年9月 6日 (日)

カッコの中の句点

精神科の病歴には、よく本人が口にした言葉が登場します。その言葉はカッコによく挟まれます。その際に句点「」の扱いに迷うことはありませんか?

「監視されている。外出すると殺される。」と訴え……
なんて文章。カッコの中の最後の句点省略するのがルールです。

「監視さるている。外出すると殺される」と訴え……
と書くものです。結構、知らない人が多いみたい。

ちなみに児童文学では、最後の句点を省かずに書きます。
「おかあさんが、マフラーをああんでくれたよ。」
といった具合。

あなたの書いた病歴、児童文学仕様になってませんか?

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2009年8月31日 (月)

アドヒアランスは予測困難

藤田保健衛生大学の藤田先生の講演のメモが出てきたので、ちょっと整理。

近年、統合失調症の再発リスク、その主な原因となるアドヒアランスの低下についてよく語られます。医師が思うより実際のアドヒアランスは低下しがちだといいます。その主なデータは海外のもの。

日本人については、その国民性や社会システムからして、海外と違うのではないかという疑問が生じます。さて、どうなのか。

藤田先生がアドヒアランスを調査した発表をしていました。もちろん日本でのもの。MEMSという、薬の瓶をいつ開閉したのかを記録する装置を用いての研究でした。

退院後を見ると、アドヒアランスが良い患者の割合は、退院後1ヶ月で80%を切る、6ヶ月で60%を切っていました。最初に80%に落ちる中、殆どが最初の一週間に落ちるという話でした。退院直後が特に注意すべきポイントということ。

MEMSで薬瓶の開け閉めが記録されていると、患者としては通常よりも服薬を頑張ったハズ。MEMSで観察されなければ、もっとアドヒアランス不良の割合が多いことでしょう。

その症例を個別に評価すると、その服薬の良し悪しを医師が把握できている割合は限られ、推測に失敗することが多いという内容でした。

また、服薬不良を見つけだすのに、問診よりもDAI-10が有用だと語られていました。自記式なので外来の合間に使うのに負担が少なく、診療における良い指標が得られそうですね。

普段、できるだけ「お薬、飲めてますか?」と聞く様にしてます。そして、皆さん薬を飲めてると思いこんでましたが、その評価は実際には難しい様ですね(・_・;)

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2009年8月28日 (金)

アドヒアランス低下因子

CNSフォーラムでのOlivares先生の講演で、統合失調症の治療におけるアドヒアランスについて話が出ました。アドヒアランスがより悪くなりやすい因子について調査したとのこと。

違法薬物を主とした物質の乱用がある人だとアドヒアランスが低下する傾向にあったといいます。覚醒剤や麻薬、有機溶剤などの使用に伴い統合失調症を発症する人は少なくなく、その際には注意が必要です。

また、薬剤の反応が良くないとアドヒアランスが悪くなる傾向があります。効いた感じがしないと飲む必要性がピンとこないのでしょうか。薬物によって十分に改善してないと服薬の重要性が理解できないのでしょうか。

そして、認知機能が「高い人」だとアドヒアランスが悪化する傾向にあるといいます。Olivares自身が「意外だった」と言ってましたが、確かにこれは意外です。認知機能が高いと「私の頭は普通だから、薬が無くても大丈夫」と思いがち、ということなのでしょう。注意が必要ですね。

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2009年8月20日 (木)

統合失調症の"5R"

統合失調症の経過を「5R」で表現したものを耳にしました。よくできていたのでメモメモ。

Exacerbation(悪化)した状態に対して
薬物治療を開始し、
Response(薬物の反応)を得て
Resolution(症状を解消)して
Remission(寛解)に至り
Recovery(回復)する。
しかし、その後うまくいかないと
Relapse(再発)してしまう。

というもの。なるほど、うまいこと言ってます。
医師が治療する中で、どのRに至っているのかを考えるのに有用ですね。ちょっと意識してみたいと思います(^-^)

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2009年8月14日 (金)

Refeeding Synd.

子どものメンタルヘルス研究会に足を運んだ際、摂食障害の症例発表を聴きました。Refeeding Syndromeが扱われていました。これは、飢餓状態から栄養回復する過程で不整脈や臓器不全が生じ得るもので、突然死のリスクすらあると言います。

起こりやすい要素が4つ紹介されていました。
・BMI<16
・過去3~6ヶ月で15%以上の体重減少
・10日間以上の低栄養状態
・再栄養前の血中リンが低値

これらのうち1つでもあればリスクが高いと考えられるそうです。飢餓状態の人は血液検査の際にリンをよ~くチェックですね。

血中リン値が下がることについて、次のように説明されていました。

低栄養でが十分に供給されず、細胞内糖代謝が低下し、その間にリンが細胞外に出され、そして体外にリンが排出されてしまいます。

再栄養が開始されが回復すると、細胞内糖代謝が回復し、細胞外のリンが細胞内に引き込まれ、そして低リン血症に至ると言います。

再栄養する上で、血中リン値が下がっている様であれ注意が必要です。その際は、リン製剤等でリンを補充しつつ、再栄養のペースを落として血中リン値が戻ってくるのを待つ必要があるようです。

栄養を付加する際に、エンシュアリキッドやラコールなどが用いられますが、エレンタールPはリンを多く含んでいて良いらしいです。

なかなか勉強になりました。これから低栄養状態に陥った方を診たら、低リン血症に注意しようと思いました。忘れないうちにメモメモ〆(・_・

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2009年8月 9日 (日)

流れのある病歴

現病歴を書く上で大切なことのひとつが、症状の経過を書くことです。いつ、どんな症状が、どんな風に出現し、その後にどうなったのか、を書く必要があります。症状の経過が大切です。

後輩の病歴を読んでいて、その「経過」を書くの意識が感じられないことがあります。
幻聴が出現したのは書かれてるけど、その後にどうなったのか書かれてない。
入院時にあった抑うつ気分意欲減退不眠食欲不振。抑うつ気分と意欲減退が改善して退院したのは書かれてるけど、不眠食欲不振がどうなったのかが分からない。
……なんてことがよくあります。実際、全ては書いてられないことはありますが、意識したいものですよね。

さらによく見るのが「この頃より幻聴が増悪し」……って増悪も何も、それまでに幻聴が出現した記載が無い、だなんてことがよくあります。出現したことが書かれてない症状について「増悪軽快」を語ることはできません。

読んでて「流れ」を感じられる病歴が書けたら、かっこいいですよね~。こんなことを書く以上、自分が頑張らなきゃ。

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2009年8月 6日 (木)

注射だからこそ

ジョン・ケイン先生の講演中で、経口薬ではなく注射にすることで、より良い効果が得られ、より副作用が少ない点が語られていました。

より良い効果が得られる理由として、潜在する服薬の乱れの問題がコンスタにより解決し、確実な安定した薬物治療が行われるからだと説明していました。

さらに、より良い効果とより副作用について、初回通過効果と呼ばれる肝臓での代謝を注射では避けられること、生物学的利用能(Bioavailability)が注射では上がることを挙げていました。だからより少ない薬より良い効果が得られるし、より少ない薬だからこそ副作用がより少ないのではないか、と。初回通過効果によるロスなく薬剤が効果をもたらすことは大きなメリットです。

一理あります。

しかし、実際にコンスタの臨床における成績が良いことを、まだ十分に説明できてないと思います。ハロペリドールの高容量の点滴や注射が行われるとき、それは多い量にも関わらずEPSが少ないのです。生物学的利用能が上がるだけであれば、EPSはより強く出て当然だと思われます。同じことがリスペリドンでも生じているはず。しかしEPSは少ないんです。注射ならではの、何か別の作用があるハズ。

氏はリスパダールコンスタについてその大きな可能性を語られていました。しかし、彼自身まだコンスタの可能性をUnder-estimateしているように思われます。実際にはもっと大きなものが得られると見込むべきでしょう。

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2009年8月 1日 (土)

小児精神医療の講習会

お茶の水で開催された東京子どものメンタルヘルス研究会http://tcma.ac/)に行ってきました。って、先月の話。そのノートを見返しつつメモメモ。児童思春期の精神科についての講演でした。

私自身は不得手な分野。私自身が診療に当たることはめったにありません。しかし、この様な機会を活用して少しずつでもADHD発達障害などについての知識や、実際の臨床に当たっている人達の感覚を知ることができたらと思っています。

鳥取大学の小枝達也教授による、5歳児健診についての話を伺いました。乳児1歳半3歳の健診は一般的。しかし、その後は小学校に入る頃まで、異常に気づかれるチャンスがなかなかないもの。そこで鳥取では、5歳で健診をしているのだとか。それまで見逃されていたADHD発達障害、軽度精神発達遅滞などを拾いだすのが目的だとか。これは有意義ですね〜

その話の合間にちょっとした話が出てくるのが、また勉強になります。例えば……

一般的に子どもは、しりとりを覚え、その後にひらがなを覚えるのだとか。しりとりは、単語が個別の音の並びで成り立っていることを覚える遊びだそうです。リンゴで言うなら「り・ん・ご」であること。その最初が「り」であること、最後が「ご」であることを認識して初めてしりとりで遊べるんだそうです。

しかし、自閉症圏の子だとしばしば、順が逆になるそうです。ひらがなを先に覚えて、後にしりとりが可能になることがあるそうです。実践的な知識ですね。

また、健診の中で、20秒間目をつぶらせるテストをするそうです。ただ目をつぶるだけ。しかし、ADHDの子だと、顔をしかめたり膝をひっかき始めたりし始めるそうです。これは自己刺激と呼ばれ、刺激を受け続けないと安定していられないADHDの特性なのだとか。これも使える知識ですね。

最後に紹介されてましたが、学習障害の指導法についてサイトで学べるらしいです。
http://dyslexia-koeda.jp

そんなこんなで私自身にとって、非常に有意義な会でした。ってなわけで、忘れないうちにメモメモ。

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2009年7月25日 (土)

コンスタが向いてる人

弓削病院の西山先生の講演の中で、リスパダールコンスタを導入すべき人について次のように挙げていました。

・再発を繰り返す人
・発症して間もない人
・多剤併用で単剤化が困難な人
・社会適応レベルが高い人
・これまでデポを用いていた人
・過量服薬をしてしまう人

なるほど。再発を繰り返す人には当然のこと、コンスタが強く勧められます。しかし、その他もそうですね。

社会適応レベルが高い人については、仕事をして忙しい人こそ服薬が乱れがちで、コンスタが良いと言います。そんな人こそ再発すると社会的なダメージが大きく、社会生活の中で不規則になりがちな生活の中、服薬の負担を減らせるのは大きなメリットだと思います。なるほど。

そして、ジョン・ケインの話を聴くともっとコンスタ導入には積極的でした。「誰にコンスタを導入すべきかを考えるのではありません。誰にコンスタを導入すべきではないか、と考えるべきです」というお言葉。統合失調症なら、コンスタ導入から考えるべき、というお話でした。なんだか、すごいですね(・_・)

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2009年7月20日 (月)

服薬は乱れるもの

今月始め、ジョン・ケイン(John M.Cane)先生の講演を聴いてきました。Schizophrenia International Research Society(国際統合失調症研究学会)American Society of Clinical Psychopharmacology(アメリカ臨床精神薬理学会)のPresidentというすごい人。そんな講演を聴いたノートを見返しつつメモメモ。

経口薬をリスパダールコンスタに変えることによって統合失調症の病状を示すPANSSのスコアが改善した話や、副作用である錘体外路系の副作用(EPS)を示すESRSのスコアが改善した話、高プロラクチン血症が改善した話、そして何より重点が置かれていたのがアドヒアランスの話。

医師は自分が担当する患者がきちんと服薬しているものと思いがち。しかし、実際には服薬の乱れが存在しているといいます。多くの医師は服薬の乱れについて"Under-estimate"しているのだと言います。そして、患者の服薬の乱れに気づかないことで、様々な問題を生むと氏は指摘していました。

・実際に有効なはずの薬を無効だと勘違いして薬剤変更してしまう。
・薬剤が足りないと勘違いして無駄に処方量を増量してしまう。
多剤併用に陥ってしまう。
・その患者を治療抵抗性だと勘違いしてしまう。

なるほど。きちんと薬物治療しようと思ったら、多くの患者に服薬の乱れが存在することを把握する必要があります。ついつい「自分の患者は服薬してるハズ」と服薬遵守の問題をUnder-estimateしがちですから、その傾向に注意が必要です。「飲んでる様に見えてサボってしまうもの。だって人間だもの」と服薬の乱れの存在を意識すべきなのでしょう。

勉強になりました。気をつけていたつもりでしたが、今一度、気を配ってみたいと思います。っていうか、リスパダールコンスタ使えばいいのかな。

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2009年7月16日 (木)

現病歴の主語

精神科で病歴はとても大切です。ですから、後輩が書いた病歴をよく添削することがあります。見ていて、よく気づくのは「主語」の乱れ。ありがちな一例を挙げると……

2005年頃より、抑うつ気分や意欲減退、集中力低下などの抑うつ状態を認めるようになり、家族が精神科的治療を勧めるため、2006年3月にメモメモクリニックを受診した。うつ病の診断で薬物治療を開始し……

これを読んで「これでいいんじゃない?」と思う人もいることでしょう。実際、用は足りてます。今回は「さらに良くするために」のお話です。

現病歴は本人主人公のストーリーです。基本的に主語は「本人」か「病状・医療」に統一したいものです。

抑うつ気分や意欲減退、集中力低下など「~を認めた」の主語は誰でしょう。症状を主語にするのであれば「~が認められた」とするのが、より良いでしょう。

そして、もっと言うなら「認める」は医師が診察した上で認めるものです。2006年3月に初めて受診するのであれば、症状をそれとして認める人がいません。となると「~が出現した」と書くのが良いのでしょう。

他も主語に注意して書き直すと、次の様になります。

2005年頃より、抑うつ気分や意欲減退、集中力の低下などの抑うつ状態が出現した。家族に勧められて2006年3月にメモメモクリニックを受診した。うつ病の診断で薬物治療が開始され……

上で挙げた他にも「家族が勧める」を「家族に勧められ」に変えてます。「薬物治療を開始し」を「薬物治療が開始され」に変えてます。主語を統一した方が文章がまとまります。

細かいことではあります。しかし、現病歴の書き方をしっかりした文章が書けるようになるといいですね(^-^)

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2009年7月14日 (火)

マシュマロマン@youtube

少し前にマシュマロマンについての記事を書きましたが、その動画を人に教えてもらいました♪

http://www.youtube.com/watch?v=X_loG8AQKtY

実際には何も破壊的な行為をしてません。歩くばかり(笑

妄想だって、そんなものかもしれません。妄想自体に破壊的な力は無く、妄想に左右されて騒いで、破壊的な結果を生むもの。マシュマロマンは、そんなところまで重なりますね(^-^)

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2009年7月11日 (土)

コンスタは肝をパス

昨日、飲み薬が目的の臓器に到達する前に、肝臓を通らなければいけないお話をしました。

実は例外があります。食道が目的の臓器だと、肝臓を通る前に効きます。そして、ニトロ等の「舌下錠」、すなわち口で吸収させて血流に乗せる薬。リスペリドンの内用液も、口腔粘膜吸収があると考えられます。

そして、今回やっと日本に上陸したリスパダールコンスタ。経口薬ではなく、筋肉注射する薬ですから、経口薬と違う点が沢山あります。その一つが、肝臓を通らずに脳まで達するところ。

肝臓で代謝された残りが血流に乗るのが一般的な経口薬。コンスタは、注射した量がそのまま血流に乗ります。ですから、無駄に多い量を飲まざるを得ない経口薬とは違って、副作用が少なくなると予測されます。

そして、肝臓で代謝する力が個人によって違うもの。肝臓で代謝される分、経口薬では必要量に個人差が生じます。しかし、コンスタは肝臓を通らずに脳に達するので、必要量の個人差が小さいはず。25・37.5・50mgの3規格だけで済むのはそんな理由なのでしょう。

ハロペリドールの時代、入院患者さんに毎日、静脈注射していたことがあります。経口薬より副作用が少なく効果は多くメリットが多いもの。それと同じ様な効果を、新規型の薬で、しかも2週に一度。期待せずにはいられません。

発売直後に使い始めた人に、そろそろ注射の効果が出始める頃です。上手に使いたいですね(^-^)

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2009年7月10日 (金)

初回通過効果

精神科では薬をよく用います。その薬が目的の臓器(精神科医では)まで届く経路を考えてみると……

一般的にから飲んだ薬は、を通ってから吸収されて、肝臓を通って、血流に乗って運ばれて、脳血流関門(BBB)抜けて、やっと目的の臓器に到達します。

今回注目したいのは肝臓。腸から吸収されたものは必ず肝臓を通り、この際に代謝を受けるものです。飲んだ薬は、そのまま肝臓を通過できるものもあれば、違う物質に変化してしまうものもあります。これは初回通過効果と呼ばれます。

これが薬物治療でもたらす問題は2つ。1)飲む薬の量が増えてしまうこと、そして、2)個人の差が大きくなること。

1)薬の量が増加
 本当は、目的の臓器での必要量だけ飲んで済ませたいものです。しかし、肝臓で違う物質に変化して無駄になる量を加えた量を服用する必要が生じます。体に入る薬の量自体が増えると、肝臓で代謝されるにしても、副作用はより多く出てしまいます。

2)個人の差が増大
 肝臓で代謝する力に個人の差があります。肝臓で代謝する力が強い人は薬の必要量が大きくなります。肝臓で代謝する力が弱い人は予想以上に薬の効果が出てしまいます。例を挙げれば、同じお酒の量を飲んでも、酔う人と酔わない人がいるのがソレ。一言で「力」と言っても、実際には様々な種類の酵素などが関わるので非常に複雑です。

以前は、飲み薬を処方していて、なかなかそんなことまで考えなかったものです。医師でそこまで考えてる人はどのくらいの割合なんでしょうね(・_・)

なんでこれを言い出したかと言えば、この点でリスパダールコンスタはメリットが大きいのではないかと考えています。

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2009年7月 4日 (土)

注射は怖いのか?

リスパダールコンスタの最大の特徴は「注射」であること。注射であることが大きなメリットを生むものですが、注射であるが故に避けてしまう医師がいます。「注射は痛いから嫌がるのではないか」と。

私自身は、その「注射=痛い=嫌がる」という、単純化され過ぎた図式疑問を持ちます。しばしば医師は先回りして色々と想像を巡らせるもの。しかし、その想像は根拠に乏しいものです。より効果が高く副作用が少ない治療を、提案もせずに患者さんから取り上げるだなんてとんでもない。ちゃんと患者さんと向き合って話していれば、痛いから嫌がる、というほど患者さんは子供じゃありません

Chuusha 論理的に言うなら「注射を痛がる人もいるし、痛がる人の中には嫌がる人もいる」が正しい考え方でしょう。

先日の弓削病院の西山先生が治験でのコンスタ使用経験を語る中で、「患者さんは嫌がるのか」と質問させて頂きました。そのときに返ってきたコメントが……

採血だったら、よくしてるでしょ? 採血の方が痛いんじゃありませんか?」

というもの。ホント、おっしゃる通りだ。採血の方が痛いのかは分かりませんが、抵抗感という点ではドッコイドッコイでしょうね。患者さんは良い医療を受けるために、入院生活送ったり手間かけて通院したり採血受けたり、頑張ってるんです。「子ども扱いするな!」ですよね (・_・)

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2009年7月 1日 (水)

指定医レポートの波が終了

この数週間、毎日の通勤電車の中、ずっと後輩達が書いた指定医取得のためのレポートを読んではチェックしていました。それがついに終了したっぽいです。文章を直し続けていた後輩達が、提出の準備に移りました。彼ら皆が合格して欲しいな♪

って、落ちたら嫌だな(-_-;プレッシャー

今年のこのシーズン、後輩に沢山の出願者がいて、沢山のレポートを読みました。読んで直すことを続け、このワンシーズンだけで自分の「指定医レポート力」がアップしたのを感じます。大変だったけど、ためにはなったかな(^-^)

以前から自分で気になってましたが、しばらく文献を読んでませんでした。というわけで、今日の帰りの電車の中、久しぶりに手に取ってみました。久しぶりになってしまうようでは、いけませんね。自分の勉強を、頑張りたいと思います。さ~て、明日の朝は何を読もうかな……

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2009年6月29日 (月)

コンスタの治験について

リスパダールコンスタが発売されて数日。海外文献では良い結果が報告されており、私の病院でも使われ始めてます。しかし、国内での使用経験については治験の報告に限られます。

というわけで、弓削病院の西山先生の講演を聴いてきました。治験で1年間使用した経験の話。その内容を聴けば、中等度改善著明改善が多く、西山先生としてはその効果に随分と実感を抱いている様子。生々しいお話をうかがえて良かったです(^-^)

さて、私が使い始めた患者さんがこれからどうなるんでしょう。データ的には良くなる確率が大。でも、実際に自分の目で確認するまではちょっと緊張……よーく見ておきたいですね。

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2009年6月27日 (土)

指定医レポート

精神科医には、精神保健指定医と呼ばれる資格があります。ただ精神療法や薬物治療を行うだけなら医師免許があれば十分。そこからさら、医療保護入院や措置入院といった本人の同意が得られない際の入院や、隔離拘束の判断と手続きを行う資格です。全ては精神保健福祉法に則って行われます。

この資格を得るには、医師としての臨床経験が5年以上、そのうち精神科医として3年以上の経験が条件。そして講義を聴き、その上で8つの症例についてレポートを書いて審査を受けます。各々2000字以内。「以内」といっても書くことが沢山あるので、殆どが制限ギリギリで書かれます。

何をそんなことを急に書き出したかと言えば……

毎年2回、このレポートの締切がありますが、その締切が近々あります。そこに間に合わすべくレポートを書く後輩達が沢山いまして、最近はそのチェックに追われてます。チェックといっても文章を沢山直します。読んでも読んでも、直しても直しても次々とやってくるレポート。この1シーズンに30本以上、もしかしたら40本以上?

普通は、締切に追われて「締切なんて来て欲しくない」なんて思うもの。私としては、早く締切が来て終わって欲しいです。う~ん、もう少し!(>_<;

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2009年6月21日 (日)

コンスタ発売目前

リスパダールコンスタが、発売目前になりました。2週間に1回注射での統合失調症治療薬。(追記:6/23に発売されました!)

ハロペリドールを使っていたときには、入院中の人に連日注射して治療していたことがあります。これは、よい高い効果が得られ、同量の経口剤に比べてグッと副作用が少ないからです。しかし、入院中にしかできないのが困ったところ。

しかし、 2週間に1回なら外来でできます。しかも、ハロペリドールみたいな従来型ではなく、リスペリドンという新規型の薬剤。リスペリドンの錠剤を液剤に変えただけでも、効果が高く副作用が少なくなるもの。これが注射になるのですから、それがまた大きく変わると期待しちゃいますね(^-^)

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2009年6月14日 (日)

マシュマロマン

お化けを退治する部隊のコミカルな活躍(?)を描いた少し前の映画「ゴーストバスターズ」に、マシュマロマンという怪物が登場していました。

ゴーストバスターズを前にした、敵である破壊の神ゴザ。「お前たちが想像した恐怖を実際のものにしてみせよう」と言い放ちます。そこで、ゴーストバスターズのメンバーはなるべく恐怖を想像しないように頑張ります。そして、隊員のひとりが恐怖から程遠いマシュマロを想像するようにしたのです。

Ghostbusters  Bank: Angry Stay Puft Marshmallow Man (Limited Edition)

しかし、さすがは破壊の神。あんな平和の象徴かのようなフワフワのマシュマロをもとに、ビルをも飲み込む巨大な怪物「マシュマロマン」を生み出してしまうのです。

統合失調症の患者さんとお話をしていて「幻聴は嫌なことばかりを言ってくる」という話になりました。自分の悪口が殆どでしょうか。多くの場合、これは「自分が言われたら嫌だな」と無意識にでも想像していたことが聞こえてくるものです。その説明をするのに、このマシュマロマンの逸話は楽しく滑稽でいいのではないでしょうか。

患者さんとは幻聴について話をするときに「マシュマロマン、出た?」みたいに話すようにしています。少しでも楽しく幻聴と立ち向かえるようになれば、と思います。さて、どうだろ……。

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2009年6月 7日 (日)

タバコとCYP

たばこを吸うと、薬を代謝するのに関わる酵素のうちCYP1Aが誘導されることが分かってます。って、どの程度なんでしょ?と思って、ネットを検索。

テオフィリンの場合、喫煙者では非喫煙者と同じ効果を得るのにの1.5~2倍の量が必要だと言われています。ペンタゾシンの場合、喫煙者が鎮痛効果を得るためには、非喫煙者の1.4倍の量が必要だと言われています。

……って、思った以上に大きな差が生じるんですね。これは無視できないです(・_・;

ここて喫煙者と呼ばれる人が、平均どのくらいの本数を吸っているのかは分かりません。それにしても、喫煙者薬が効きにくくなっているのは本当でしょう。CYP1A2で代謝される薬と言えば、オランザピンクロザピン。薬物治療の際には喫煙の有無に注意した方が良さそうですね。

各薬剤を代謝するCYPのサブタイプについては記事「新規型とCYP」をご参照下さい。

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