2009年7月 4日 (土)

注射は怖いのか?

リスパダールコンスタの最大の特徴は「注射」であること。注射であることが大きなメリットを生むものですが、注射であるが故に避けてしまう医師がいます。「注射は痛いから嫌がるのではないか」と。

私自身は、その「注射=痛い=嫌がる」という、単純化され過ぎた図式疑問を持ちます。しばしば医師は先回りして色々と想像を巡らせるもの。しかし、その想像は根拠に乏しいものです。より効果が高く副作用が少ない治療を、提案もせずに患者さんから取り上げるだなんてとんでもない。ちゃんと患者さんと向き合って話していれば、痛いから嫌がる、というほど患者さんは子供じゃありません

Chuusha 論理的に言うなら「注射を痛がる人もいるし、痛がる人の中には嫌がる人もいる」が正しい考え方でしょう。

先日の弓削病院の西山先生が治験でのコンスタ使用経験を語る中で、「患者さんは嫌がるのか」と質問させて頂きました。そのときに返ってきたコメントが……

採血だったら、よくしてるでしょ? 採血の方が痛いんじゃありませんか?」

というもの。ホント、おっしゃる通りだ。採血の方が痛いのかは分かりませんが、抵抗感という点ではドッコイドッコイでしょうね。患者さんは良い医療を受けるために、入院生活送ったり手間かけて通院したり採血受けたり、頑張ってるんです。「子ども扱いするな!」ですよね (・_・)

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2009年7月 1日 (水)

指定医レポートの波が終了

この数週間、毎日の通勤電車の中、ずっと後輩達が書いた指定医取得のためのレポートを読んではチェックしていました。それがついに終了したっぽいです。文章を直し続けていた後輩達が、提出の準備に移りました。彼ら皆が合格して欲しいな♪

って、落ちたら嫌だな(-_-;プレッシャー

今年のこのシーズン、後輩に沢山の出願者がいて、沢山のレポートを読みました。読んで直すことを続け、このワンシーズンだけで自分の「指定医レポート力」がアップしたのを感じます。大変だったけど、ためにはなったかな(^-^)

以前から自分で気になってましたが、しばらく文献を読んでませんでした。というわけで、今日の帰りの電車の中、久しぶりに手に取ってみました。久しぶりになってしまうようでは、いけませんね。自分の勉強を、頑張りたいと思います。さ~て、明日の朝は何を読もうかな……

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2009年6月29日 (月)

コンスタの治験について

リスパダールコンスタが発売されて数日。海外文献では良い結果が報告されており、私の病院でも使われ始めてます。しかし、国内での使用経験については治験の報告に限られます。

というわけで、弓削病院の西山先生の講演を聴いてきました。治験で1年間使用した経験の話。その内容を聴けば、中等度改善著明改善が多く、西山先生としてはその効果に随分と実感を抱いている様子。生々しいお話をうかがえて良かったです(^-^)

さて、私が使い始めた患者さんがこれからどうなるんでしょう。データ的には良くなる確率が大。でも、実際に自分の目で確認するまではちょっと緊張……よーく見ておきたいですね。

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2009年6月27日 (土)

指定医レポート

精神科医には、精神保健指定医と呼ばれる資格があります。ただ精神療法や薬物治療を行うだけなら医師免許があれば十分。そこからさら、医療保護入院や措置入院といった本人の同意が得られない際の入院や、隔離拘束の判断と手続きを行う資格です。全ては精神保健福祉法に則って行われます。

この資格を得るには、医師としての臨床経験が5年以上、そのうち精神科医として3年以上の経験が条件。そして講義を聴き、その上で8つの症例についてレポートを書いて審査を受けます。各々2000字以内。「以内」といっても書くことが沢山あるので、殆どが制限ギリギリで書かれます。

何をそんなことを急に書き出したかと言えば……

毎年2回、このレポートの締切がありますが、その締切が近々あります。そこに間に合わすべくレポートを書く後輩達が沢山いまして、最近はそのチェックに追われてます。チェックといっても文章を沢山直します。読んでも読んでも、直しても直しても次々とやってくるレポート。この1シーズンに30本以上、もしかしたら40本以上?

普通は、締切に追われて「締切なんて来て欲しくない」なんて思うもの。私としては、早く締切が来て終わって欲しいです。う~ん、もう少し!(>_<;

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2009年6月21日 (日)

コンスタ発売目前

リスパダールコンスタが、発売目前になりました。2週間に1回注射での統合失調症治療薬。(追記:6/23に発売されました!)

ハロペリドールを使っていたときには、入院中の人に連日注射して治療していたことがあります。これは、よい高い効果が得られ、同量の経口剤に比べてグッと副作用が少ないからです。しかし、入院中にしかできないのが困ったところ。

しかし、 2週間に1回なら外来でできます。しかも、ハロペリドールみたいな従来型ではなく、リスペリドンという新規型の薬剤。リスペリドンの錠剤を液剤に変えただけでも、効果が高く副作用が少なくなるもの。これが注射になるのですから、それがまた大きく変わると期待しちゃいますね(^-^)

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2009年6月14日 (日)

マシュマロマン

お化けを退治する部隊のコミカルな活躍(?)を描いた少し前の映画「ゴーストバスターズ」に、マシュマロマンという怪物が登場していました。

ゴーストバスターズを前にした、敵である破壊の神ゴザ。「お前たちが想像した恐怖を実際のものにしてみせよう」と言い放ちます。そこで、ゴーストバスターズのメンバーはなるべく恐怖を想像しないように頑張ります。そして、隊員のひとりが恐怖から程遠いマシュマロを想像するようにしたのです。

Ghostbusters  Bank: Angry Stay Puft Marshmallow Man (Limited Edition)

しかし、さすがは破壊の神。あんな平和の象徴かのようなフワフワのマシュマロをもとに、ビルをも飲み込む巨大な怪物「マシュマロマン」を生み出してしまうのです。

統合失調症の患者さんとお話をしていて「幻聴は嫌なことばかりを言ってくる」という話になりました。自分の悪口が殆どでしょうか。多くの場合、これは「自分が言われたら嫌だな」と無意識にでも想像していたことが聞こえてくるものです。その説明をするのに、このマシュマロマンの逸話は楽しく滑稽でいいのではないでしょうか。

患者さんとは幻聴について話をするときに「マシュマロマン、出た?」みたいに話すようにしています。少しでも楽しく幻聴と立ち向かえるようになれば、と思います。さて、どうだろ……。

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2009年6月 7日 (日)

タバコとCYP

たばこを吸うと、薬を代謝するのに関わる酵素のうちCYP1Aが誘導されることが分かってます。って、どの程度なんでしょ?と思って、ネットを検索。

テオフィリンの場合、喫煙者では非喫煙者と同じ効果を得るのにの1.5~2倍の量が必要だと言われています。ペンタゾシンの場合、喫煙者が鎮痛効果を得るためには、非喫煙者の1.4倍の量が必要だと言われています。

……って、思った以上に大きな差が生じるんですね。これは無視できないです(・_・;

ここて喫煙者と呼ばれる人が、平均どのくらいの本数を吸っているのかは分かりません。それにしても、喫煙者薬が効きにくくなっているのは本当でしょう。CYP1A2で代謝される薬と言えば、オランザピンクロザピン。薬物治療の際には喫煙の有無に注意した方が良さそうですね。

各薬剤を代謝するCYPのサブタイプについては記事「新規型とCYP」をご参照下さい。

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2009年6月 1日 (月)

本人の責任?病気のせい?

今の職場に来て一年足らず。依存症の方にお会いすることが非常に増えました。アルコールが主ですが、覚せい剤有機溶剤MDMA、さらにはパチンコなどの行為

依存症がゆえに繰り返し引き起こした問題行動について、どう考えればいいのか。そもそも病気と考えるべきなのかどうか。今日、病院を受診した方はんでいらっしゃいました。ご家族も悩んでいらっしゃいました。

Guilty 「これは病気であって病気のせい、だとすると自分の責任逃れになってしまう」と言うのです。

そして、「自分の意志の問題であって自分のせい、だとすると、もうどうしようもない」と言うのです。

本人からそうハッキリと言われることは初めてのこと。しかし、依存症はしばしば問題行動を伴うので、このような疑問はよく生じます。

私自身の中にはひとつの答えがあります。

依存症は強い欲求を生み出し、それが原因問題行動が生じるもの。問題行動は「病気のせい」と考えるべきでしょう。ただ、それが分かったら病気をしっかりと管理・治療するのは「本人の責任」でしょう。中には、病気の影響で管理・治療ができなくなる、という面があることもあります。その傾向が強いときには考慮すべきことを付け加えておきます。

そう思うようになって、依存症の問題行動が違って見えてきました。

「治療を頑張ってたけど、依存症という病気に今回は負けちゃいましたね。問題行動は残念でした」ということもあるもの。
そして「治療に取り組まずにいたのですから、依存症がゆえの問題行動が起きちゃったのは、本人の責任ですね」ということも。

統合失調症躁うつ病などで、増悪したときに問題行動が生じる患者さんにも同じことが言えるのではないでしょうか。

私自身はこの考え方にたどり着いて納得しています。しかし、絶対に正しいか、と言われたらまだよく分かりません。いかがなものでしょう(・_・)

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2009年5月24日 (日)

HB 統合失調症をよく理解するために

統合失調症の治療について説明する際に、ヤンセンファーマが配布しているハンドブック「統合失調症をよく知るために」をよく用いています。再発との関連を主に、継続的な治療の必要性についてよく書いてあります。 私はカルテに「『統よく』を渡した」なんて略して記載することも。

ハンドブックと一緒に、プリントを作ってわたしています。斜め読みせずにじっくり読んで、理解を深めて頂きたいですから。

「tou_yoku.pdf」をダウンロード

皆さんのご意見・アイデアをお聞かせ下さい。ハンドブックは、ヤンセンファーマの方に依頼すれば手に入ることでしょう。

ハンドブックは、外来の中でする病気や治療の説明を補ってくれます。ですから、医者の負担を減らしてくれるツールです。

また、ハンドブックを用いながらじっくりと向き合って話をすることもできます。そう使えば、患者さんの理解をより確実なものにするツールでもあります。

色んなメリットが得られるものですから、積極的に使いたいものですね(^-^)

ハンドブックと使う資料についての記事「やさしい統合失調症HB」もご参照下さい。

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2009年5月17日 (日)

コンスタの満足度

この夏、日本に上陸するであろう持続性注射剤、リスパダール・コンスタの満足度について、海外での報告の文献を読ませて頂きました。

ハンらが、統合失調症患者とその介護者の満足度をVAS値で比較した報告をしています。経口薬が62例、コンスタを使用している人が47例。

本人の満足度は、経口薬6.87コンスタ7.53の満足度で、
介護者の満足度が、経口薬7.16コンスタ8.04の満足度だったそうです。

「本人は雌花で和み、周りは七色のハレーションで満足」と覚えましょう。


また、ペスケンズらが、リスパダールコンスタに切り替えた135例に満足度について調査した報告をしています。「満足」「非常に満足」と答えた人の率を比べると……

治療にあたった医師では、前治療薬のときには38.2%だったものが、コンスタにして82.1%に上がったとのこと。

患者本人前治療薬のときに29.2%だったものが、コンスタにして76.5%に上がったとのこと。

「医師に散髪されたハニー、本人としてはズッキーニよりナメコが好き」で覚えてみましょう。

どちらの報告を見ても、コンスタにすると満足度がかなり上がるんですね。

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相互リンクのお願い

当ブログでは随時、相互リンクを募集しております。

主に医師や看護師、臨床心理士、ケースワーカーなどの医療関係者の方のサイト・ブログとの相互リンクを求めてます。特に精神科関連の方は大歓迎です。

精神科にかかっていらっしゃる方も拒みません。ただ、当ブログとして考えている医療として望ましくない内容を書かれている場合にはお断りする場合があります。……って「意見が合わないからダメ」ということではなく、主に自傷行為を広めかねない内容や、無闇に「薬を飲まない方が良い」と主張する等といった、医療者の立場から問題を感じる内容のこと。

私自身とも医療とも無関係の方との相互リンクは、現時点では考えていません。何かございましたらお問い合わせ下さい。

何かご質問がございましたらsatoru4444@hotmail.comにメールをお願いいたします。
引き続き御愛読の程、どうぞよろしくお願い申し上げますm(^-^)m

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2009年5月14日 (木)

幻聴にハンドブック

長い経過の中、幻聴が断続的に続いている統合失調症の患者さん。一緒に、幻聴について書かれた「正体不明の声ハンドブック」を読んでみました。

「……これはあるな。これも当てはまる。私はこれ、無いな。こっちはある。これはあるわ……」

などと色々と思い当たる節がある様子。そして……

「これだけ当てはまることを書かれちゃ、幻聴だと認めるしかないわね

と苦笑してました。ハンドブックを使った疾病教育って、口で伝えただけとは違った作用がありそうです。

その患者さんが、これが幻聴飲み込まれれにくくなると嬉しいですね(^-^)

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2009年5月10日 (日)

コンスタで再発防止

リスパダールコンスタが夏にでも発売になるのでしょうか。これは積極的に、患者さんに提案していこうと思ってます。というのは、経口薬より効果の面で優れているでしょうから。

統合失調症の再発率は、1年経つと5割くらいが再発してしまいます。再発する方の中には、きちんと薬を飲み続けられない人もいるかもしれませんし、飲んでいても再発する人も沢山いるはず。

Olivaresがリスパダールコンスタに変更する前・後での再発率について757例を調べて報告しています。それによれば、切り替え前の2年間では再発率が52.6%。しかし、リスパダールコンスタに切り替えた後の2年間は11.5%なんだとか。再発を約5分の1に下げることに成功しています。

 バガボンド  29 この数字「小次郎がいい子に檻(オリ)で2年」と覚えましょう。ちょうど、バガボンドで檻に閉じ込められていたな……と思ったら、宮本武蔵でした。佐々木小次郎じゃなかったな。惜しい。

……って余談はさておき、これはすごい数字です。これまで再発率について比較した報告は沢山ありましたが、こんなにまで差が出た報告を聞いたことがありませんでした。これはびっくりです。

私自身が統合失調症だったら、コンスタがいいな。実際、私の外来の患者さんの中にはコンスタの発売を待ってる人が既に何人もいます。楽しみですね(^-^)

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2009年5月 1日 (金)

リスパダールコンスタ承認

デポーと呼ばれる、持続性の注射剤が統合失調症の治療で用いられることがあります。一回注射すれば2~4週間、効果が続くものです。ただ、これまでは従来型抗精神病薬(=定型抗精神病薬)の注射しかありませんでした。

先日、新規型抗精神病薬(=非定型抗精神病薬)であるリスペリドンの持続性注射剤の日本での承認が下りたと聞きました。商品名が「リスパダールコンスタ」。発売されるのは7月になるのでしょうか。6月下旬?これは2週間毎に注射すると、経口でリスペリドンを服用しているのと同じような効果が得られるのだとか。

これは、これまでのデポーと、いくらか違う点があるようです。

これまでのデポーは効かせる薬剤のプロドラッグが入っているもの。これが筋肉内のエステラーゼで目的とする薬剤に変化しつつ吸収されていました。今度は、プロドラッグではなく、リスペリドン自体が入っているそうです。

そして、これまでのデポーはオイルベースでした。長期的な使用で、この油が筋肉内で硬結を作るなど注射部位反応を起こしてしまうのが問題でした。しかし、今回はポリマーに封入してあるのだとか。このポリマーというのは、吸収される手術の糸で使われるような素材。これが体内で徐々に分解されつつリスパダールが体内に放出されるのだとか。

これまでのデポーは注射した直後から徐々に吸収されていました。しかし、リスパダールコンスタは注射してから3週間程してからリスパダールの放出が始まり、これが2~3週間続くのだとか。

なかなか興味深いものです。吸収のしかたが違うだけでなく、効果の面でも大きなメリットがあると言います。その辺りは追って自分の中で整理しつつメモメモしたいと思います。発売がすごく楽しみですo(^-^)o

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2009年4月27日 (月)

処方をきる

年配の看護師が「処方(箋)をきる」という表現を使っているのを聞いたことがあります。これは「処方する」の意味。この表現って、危険ですね。間違いを招きかねません。

例えば、入院中の佐藤さんがプシメモン(架空)という薬を服用していたとしましょう。「あら、佐藤さんのプシメモンがそろそろ無くなるかしら」と気づいた看護師さん。担当の医者に依頼することでしょう。

「先生、佐藤さんのプシメモン、処方をきって下さい

これを「処方箋をきる=処方する」の意味だと理解すればOKです。しかし、「プシメモンを切る=中止する」の意味だと理解すれば、の結果を招きます。

きる」と言われたら、注意しなければいけませんね(・_・;

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2009年4月20日 (月)

語頭の「だから」

 「だから、そーいうことじゃなくて……」というように、語頭に「だから」が付く人がいます。その「だから」って何だろ、と気になってみました。

 「だから」は本来、「だからである」と因果関係を示す接続詞のハズ。本来は省略されては成り立たない「A」が、口語では省略されます。そして「だからさ~」という語頭になってしまってます。 省略されるのは何故でしょう。「A」は何でしょう。

 ひとつに、その会話の中で、既に語られた「A」省略されていることがあります。その会話でなくとも以前のやりとりの中で出たことが「A」のことがあります。例えば「ですから(=だから)先程申し上げたように……」「だから普段から注意してるだろ!」など。この場合、因果関係は成り立たないこともあります。メタ認知を喚起する意図があるものです。平たく言えば「既に言ったでしょ」の意味。

また、理屈がある風な言葉が「他者操作」の目的で使われることがあります。理由らしきものが存在するだけで、人は影響されます。割り込んでコピーを取らせてもらえるように頼む実験があります。このとき、ただ「コピーを取らせてください」と頼むより「コピーを取らなければいけないのでコピーを取らせてください」と頼む方が、割り込みをさせてもらえる率が高かったというのです。「だから」にはそんな力があるのかもしれません。

 いずれにしても他者に対する「圧力」のための言葉であり、実際の論理とはかけ離れたもの。自分が多用することは避けたいですし、多用している人をみかけたら、その背景にあるものを考えたいですね。

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2009年4月13日 (月)

統合失調症の患者数

統合失調症1%弱の人に発症すると言われています。厚生労働省が2005年の発表によると、日本の統合失調症の総患者数は75万7000人と推計されています。日本の人口に0.7%ぐらいをかけて、未発症であろう分を引くと思うと、納得ができる数字です。

さて、これを何かイメージしやすい形にできないかと考えてみました。

日本の県の人口と比較してみると、島根県が74万人。ですから「統合失調症県」は島根県より多いか同じくらい。

ちょっと違う計算をしてみました。人が手を広げると身長と同じくらいなのは有名な話。日本の身長の平均が165cmくらいですから、手を広げた長さもそのくらいと言えるでしょう。

日本の統合失調症患者が全員で手をつなぐと、1.65メートル×757,000人=1,249,050メートル。約1250kmになります。これって、九州から北海道まで直線で届いちゃいます!

Japan_1200km

統合失調症について本人や家族に説明をする機会がよくあります。「決して珍しい病気ではありません。1%弱です」なんて説明は皆さん既にしているハズ。その無味乾燥な数字に、ちょっとイメージを膨らませる情報を添えるといいかもしれませんね(^-^)

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2009年4月 6日 (月)

新規型で脳萎縮防止

統合失調症の脳萎縮について、最近よく耳にします。先日のウェブ講演会でも扱われていたので、ちょっとメモメモ。

統合失調症では、脳が萎縮することが報告されています。萎縮するのは上側頭回右前頭野上側頭回言語に関わっており幻聴との関連が考えられており、前頭葉意欲に関係しており陰性症状に関係すると考えられています。

じゃあ、なぜ統合失調症で脳が萎縮するのでしょうか。皮質のD1が低下し、皮質下のD2が亢進することで、GSK3βが活性化され、BDNFが低下し、脳細胞のアポトーシスが起こり、脳が委縮するのではないか、とのこと。

従来型の抗精神病薬では脳の萎縮が止まりませんが、新規型の抗精神病薬では脳の萎縮を防げるといいます。もしかしたら回復するかも、というぐらい。皮質のD1と皮質下のD2の乱れを整えるのに、ドパミンセロトニンに作用する薬物が良いのではないか、とのこと。

興奮を鎮めることは治療のメインではありません。目の前の幻聴や妄想を止めることが治療の終わりではありません。その一生をより良く生きて頂くためには、新規型の抗精神病薬を用いるのは必要なのかもしれませんね。

セロトニンやらドパミンやら、については「各受容体と抗精神病薬」をご覧下さい。

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2009年3月30日 (月)

貯めた薬

ある日、外来に通院している患者さんから、泣きながらの電話がかかってきました。彼女は以前から、大量服薬による自殺を目的に薬を貯めこんでいるとのこと。

これからきて頂くために処方したお薬でした。それをぬために使おうとしていると言うのです。ひとつの薬が「」と「」の両面を意味することになるとは。

そんな薬をまとめて口に入れ思いとどまって口から出したこともあるとか。死にたい気持ちと生きたい気持ちの両方が存在しているのでしょう。その2つが戦っているのでしょう。

そして、そのことを電話してきたのも、死にたい気持ちがある中で、生きたい気持ちがあったからこそ。しかし、生と死の間で迷う葛藤を抱き続けることは辛いことでしょう。

ひとつ提案をしてみました。葛藤を断ちきって楽になるべく、貯めこんだ薬を主治医に渡して処分しませんか、と。「指示」はしません。あくまで「提案」。

彼女はに入ったを沢山持ってきました。しばらく迷った様子を見せた末に、その袋を手渡してくれました。しかし、さらに迷った様子を見せ、結局は持ち帰ってしまいました。

一度は持ってきてくれたその袋。また持ってきてくれることでしょう。そして、死の呪縛から解き放たれるために渡してくれることを願うばかり。

さて、どうなるやら。

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2009年3月24日 (火)

ブーメランを避ける

投げたブーメランが返ってきたのをよける、みたいなタイトルになってしまいました。でも、ちょっと違います。

開放病棟の患者さんで、しばしば病棟の外に外出する人がいます。このとき外出できる時間は決まっています。

しかし、そんな患者さんの中に一人、しょっちゅう遅れて帰ってくる方がいました。それまで何度も注意を受けてましたが、改めることがないとのこと。担当ではありませんでしたが、看護師から「遅れて帰ってくるその人に、先生から一言お願いします」な~んてことになっちゃいました。

こんなとき、患者さんを叱りつける医者も多いのではないでしょうか。

心理学に「ブーメラン効果」と呼ばれるものがあります。説得を試みれば試みるほど、相手に逆の効果をもたらすもの。

自由を何らかの方法で制限されたときに反応性に起こる力です。

高圧的な説得、相手に不快感を与えるアプローチブーメラン効果が強まります。「言うことを聞け!」なんて言われたら、言うことを聞きたくなくなる気持ちが生じます。

このブーメラン効果が生じにくいように意識しながら、患者さんに対応してみました。

そもそも相手は随分と年上。医者と患者ではあっても、叱り飛ばして当り前という考えはよくないでしょう。「年下からこんなことを言われるのも嫌かもしれませんが……」とクッションとしての前置きを入れてみました。そして、彼にも気持ちがあるハズですから責めないように気をつけました。

「時間を守るように指示」をする上で、「病棟管理上、時間を守ってもらえると助かる」とした上でお願いしました。また、どう考えても私自身のメンツが絡んでいるのは避けられないこと。しかし、これはブーメラン効果の素であり、要注意。あえて否定せず「私の顔を立ててもらえると助かる」とお願いをしてみました。

すると、その日から病棟に戻る時間を守ってくれるようになったんです♪ その気持ちが嬉しいですね(^-^)

と思って、何日か経ってから感謝を伝えてみました。正しい行動は強化すべきでしょうから。

すると彼はニッコリと、過去の遅刻をわびた上で「時間を守ってみると、看護師も嫌な顔をしないし気持ちいいことが分かりました」と、時間を守る彼なりのメリットを発見したようでした。

時間についての病棟規則を「守る/破る」について、プレッシャーをかけずに、強要せずお願いしてみたことが奏功したのでしょう。「Win-Win」な関係になれたのはホント嬉しいことですね(^-^)

まさに「Win-Win」な関係になれたのは嬉しいことですね(^-^)

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2009年3月17日 (火)

EMDR講習会

今月上旬、日本EMDR学会(http://emdr.jp/)が主催するEMDR講習会に行ってきました。今回の場所は神戸。東京の私としてはちょっと遠い。ときに東京で行われることもあるようです。3日間、朝から夕方までEMDRでした。

EMDRというのは、PTSD治療法のひとつです。キョロキョロさせながら、トラウマの場面を想起させるというもの。五円玉をぶら下げてユ~ラユ~ラと揺らすイメージを持つ人も多いことでしょう。EMDRでの眼球運動はすごく早いです。治療者が手を左右に動かし、クライアントがそれを一生懸命に目で追います。

眼球運動は数十秒程度のものを何度も何度も繰り返します。導入から始まり、メインの眼球運動を伴った治療、評価終了という流れ全体では数十分を要します。学会としては90分を推奨。って時間かかるな。

これになぜ効果があるのかはハッキリとは分かっていないようです。でも、結果としてPTSDに対して良い治療成績が挙がっているとのこと。エビデンスは豊富です。

EMDRの治療効果について、様々ながあります。

・PTSDで障害されているワーキングメモリが、眼球運動により改善すると言われています。

REM睡眠時の眼球運動が、右脳から左脳へと情報が送られることに関係し、日中の情報を寝ている間に処理していると言われています。EMDRでは、眼球運動によりその効果を得ているのではないかと考えられます。

・PTSDに至った外傷場面を想起したとき、その「危険な過去」のイメージに没入してしまいがち。しかし、眼球運動をしながらであれば「安全な今」の世界を意識しながら「危険な過去」をイメージすることができ、思考の円滑に進むと考えられます。

・眼球運動自体にリラクゼーション効果があるのではないか

・眼球運動による刺激が「定位反応」を引き起こすと言われています。すなわち、刺激により「ん?何だ?」というように覚醒度が一時的に上昇し、安全を確認して覚醒度が下がるという反応が繰り返されとされています。

……と色々な説があります。全てが本当なのかもしれません。

かつては眼球運動を伴った暴露療法ではないか、すなわち外傷体験を思い出しながらそれに慣れるのを待つだけではないか、と考えられていた様です。しかし、暴露療法とは異なりイメージが次々と移り変わり、思考が進み、ストレスが処理されると考えられており、暴露療法とは違うと考えられています。

見た目は奇妙ですが、なかなか興味深い手法です。学んだからには治療で使ってみようかな。今、私が治療で扱うとしたらシンプルなPTSDでしょう。PTSDと呼ぶほどじゃなくても、心にひっかかったことを残している人の治療に使えます。長期にわたって暴力にさらされ続けたり複数の外傷体験があったり人格的な問題を併せ持っていたりするのは、他に任せた方が良さそうです。

さ~て、今までずっとどうにもならずにいた人が、これで何とかなるといいな(^-^)

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2009年3月10日 (火)

精神遅滞 ICD-10とDSM-IV

精神科で用いられる2つの診断基準、DSM-IVICD-10。この2つで、精神遅滞IQによる重症度分類が行われています。それをちょっとまとめてメモメモ。

DSM-IV 重症度 ICD-10
50-55から
およそ70
軽度 50から69
35-40から50-55 中等度 35-49
20-25から35-40 重度 20-34
20-25以下 最重度 20未満

となっています。これだけ見ると、ちょっと複雑。というわけで記憶しやすいようにまとめると……

DSM-IV 重症度 ICD-10
(コード)
50以上70以下 軽度 50以上70未満
F70
35以上55以下 中等度 35以上50未満
F71
20以上40以下 重度 20以上35未満
F72
25以下 最重度 20未満
F73

DSM-IVとICD-10は、どちらも似たような基準でそろえてあいます。ちょっとした違いは、DSM-IVずつ上に幅を持たせていること。

DSM-IV基準の覚え方は「精神遅滞の重症度分類」で扱っています。DSM-IVを覚えれば、ICD-10も覚えられそうですね(^-^)

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2009年3月 3日 (火)

外在化

最近、症状の「外在化」を意識するようにしています。

精神科の病気は、しばしばいつの間にかに考えを変化させてしまいます。そして、その病的な考えに支配され、支配されてることに気が付けないことがあります。

こう言うと、統合失調症がまず思い浮かびますが、うつ病だって依存症だって、摂食障害だって同じことが生じます。

病気を否定とまでいかなくても、病気の考えと自分の考えの境目が分からなくなっていることもしばしばです。

健康な自分本来の考えが意識・無意識問わずどこかにあって、それとは別に湧き起る病気による考えが生じ、それらが戦っているんです。そんなときに病的な気持ちを「自分の気持ち」ととらえるべきではないように思います。

例えるのであれば。確かに、癌細胞は自分の細胞から生じたものです。診断が下るまでは、そこも自分の体の一部のように考えています。しかし、だと分かれば、もはや自分のものとは考え難いのではないでしょうか。本人からしたら自分の体というより、でしょう。

外在化、すなわち病気による考え自分本来の「外」ととらえることを促すようにと考えています。これによって病気によって生じる考えに対処しやすくなったり、病気や治療に対する理解が変わったりするものです。

以前から、何気なくしていたハズ。でも意識すると何かが違ってきそうです。そんな気持ちになったから、ちょっとメモメモ〆(・_・)

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2009年2月24日 (火)

パーロデルで精神症状は出るか?

ブロモクリプチンパーロデル)について、旭川医大の千葉先生らが過去の国内文献における副作用の報告についてまとめたものを読んでみました。様々な起こりうる副作用について集計したもの。私は精神症状に注目してみました。すると「やっぱり」という内容。精神症状の報告は24例で、殆どがパーキンソン病

調べた文献のパーキンソン病についての報告が153例。精神症状の報告は22例。精神症状の報告がパーキンソン病ばかりに見られるのは……

・パーキンソン病ではこの薬を大量に使うため
疾患の特異性
併用薬の影響

……ではないかと筆者は考察していました。パーキンソン病とされる中には、幻覚を伴うレヴェィ小体型認知症が多く含まれるハズ。また、併用薬としてドパミンに作用する薬を使っていることが多いハズ。そんな中、パーキンソン病に対しては22.5mg/dayまでと大量の使用が認められています。この疾患を背景にブロモクリプチンを大量に使うと精神症状に影響があるのでしょう。

末端肥大症についての報告が149例。その中では精神症状の報告が約150例の報告の中で2例だけ。それも眠気と乗り物酔い様の不快感。どちらも統合失調症を増悪させる因子とは考えにくいもの。

そして、高・正常プロラクチン血症については計917例。この中に精神症状の報告はありませんでした

末端肥大症プロラクチン異常で使うブロモクリプチンの量は7.5mg/dayと少量。その量では殆ど精神症状は出ないようです。

疾患 一般的な
使用量
全例数 精神症状の
報告数
パーキンソン病 大量 153例中 22
末端肥大症 少量 149例中 2……といっても眠気と
乗り物酔い様の不快感
高PRL血症
正常PRL血症
少量

917例中

0

以上のことからすると、統合失調症の治療中に使うブロモクリプチンはごく少量であることを考えると、やはりブロモクリプチンによる精神症状の増悪はさほど気にしなくて良いと推測されます。

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2009年2月17日 (火)

抗PRL血症にパーロデル(2/2)

統合失調症をドパミン受容体遮断薬で治療している際に、高プロラクチン血症に対してドパミン受容体作動薬を投与するか否か。抗精神病薬に、ブロモクリプチンパーロデル)を併用してよいのか。ここ数日、そんなことをアレコレと考えていました。

パーロデルの添付文書を見ていて、用量を見てみました。
パーキンソン症候群:15.0~22.5mgが維持量
高プロラクチン血症などのホルモン異常:7.5mgまで

パーキンソン症候群に対しては、高プロラクチン血症の3倍くらい使うようです。これは何故でしょう。それだけパーキンソン症候群が治しづらい疾患だから?それとも何か他の理由でしょうか。

そして統合失調症の治療中、ブロモクリプチンを併用すると増悪するかもしれないという考え。私もそう考えてました。でも増悪した人を診たことが、少なくとも私自身はありません。

それは「脳血管関門」がキーワードではないかと人に聞いたことがあります。どういうことでしょう。

血液中にあるもの全てがに達するわけではありません。血液の中にあるもののうち、脳血管関門を通過したものだけが脳に到達するんです。血液脳関門と言われることもあり、英語では「Blood-Brain Barrier」略して「BBB」。

Bbb このBBBをどんなものが通過するか。基本となる「分子量閾値説」によると、分子量500以下のもの。実際にはさらに脂溶性かどうかやトランスポーターなどが関与しています。

そこで、最近使っている抗精神病薬や抗うつ薬の分子量を見ると……

【SSRIs/SNRI】
フルボキサミン 434
パロキセチン 374
セルトラリン 342
ミルナシプラン 282
【抗パーキンソン薬】
ビペリデン 347
トリヘキシフェニジル337
プロメタジン 320
【新規型抗精神病薬】
ペロスピロン 499
アリピプラゾロール 448
リスペリドン 410
クエチアピン 383
ブロナンセリン 367
オランザピン 312
当然、全て300前後~400代。なるほど、まで届くわけです。

そして、ブロモクリプチンの分子量は750……ってデカッ!分子が大きいんです。脂溶性にしても、かなりBBBを通りづらい大きさ。ちょっと飲んだくらいじゃ中枢神経まで届かないハズ。これだからパーキンソン症候群を治療の際には多くの量が必要なのかも。これでブロモクリプチンの併用で増悪する統合失調症をあまり見たことがないのも分かる気がします。

そして、プロラクチンについてはどうか。視床下部からはドパミン血管の中に放出されて、これが下垂体で抑制的に作用します。このときBBBを通らず下垂体に到達できるんです。血液中ブロモクリプチンがあれば下垂体には簡単に届くんです。だから、少量でも高プロラクチン血症の治療ができるのでしょう。

文献的に見てみると、1983年にLundbergらがPETによる研究で、ブロモクリプチンが大脳半球よりも下垂体に多く取り込まれていたと報告しています。なるほど。

まとめると、服用したブロモクリプチンは、簡単に下垂体に届いて、中枢神経には届きづらいということ。ですから高プロラクチン血症を少量のブロモクリプチンの併用で治療しても、精神への作用はわずかと考えられます。

統合失調症の治療で生じた高プロラクチン血症第一選択薬を避けたり、合っていた抗精神病薬を変更したりするよりは、少量のブロモクリプチンを併用した方がはるかにプラスでしょう。もしも増悪を心配するのであれば、抗精神病薬をわずかに増量しておけば、中枢神経系に対する「作動」の作用は相殺されることでしょう。

統合失調症の治療中の高プロラクチン血症、恐れるに足らずですね。調べてみて納得しました。パーロデル、積極的に使いたいと思います(^-^)

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2009年2月14日 (土)

高PRL血症にパーロデル(1/2)

ブロモクリプチンパーロデル)という薬があります。ドパミン受容体作動薬でして、使われる対象は2つ。①高プロラクチン血症等のホルモン異常 ②パーキンソン症候群。今回は主に①高プロラクチン血症についての話です。

Photo_2 視床下部からドパミンが、下垂体門脈系と呼ばれる血管の中に放出されます。これが下垂体プロラクチン抑えています。ドパミンの働きが増せばプロラクチンは減りますし、ドパミンの働きが減るとプロラクチンは増えます。

統合失調症はドパミン受容体遮断薬である抗精神病薬で治療します。下垂体でドパミンが遮断されればプロラクチンの分泌が増えます。高プロラクチン血症が生じることがあります。

高プロラクチン血症になると、無月経乳汁分泌性機能障害が生じることがあります。妊娠や授乳でも上昇するぐらいですから、重大な問題なわけではありません。妊娠の問題や性生活への影響や、下着の汚れが生じる可能性がある、ということ。

こんなときに登場するのがブロモクリプチンパーロデル)です。抗精神病薬が「遮断」でしたが、ブロモクリプチンは「作動」する薬。下垂体に作用してプロラクチンの分泌を抑えます。

ただ、統合失調症の治療中に生じた高プロラクチン血症に対して、ブロモクリプチンの使用とに異議を唱える医師がいます。「ドパミン受容体遮断薬で統合失調症を治療しているのに、ドパミン受容体作動薬を加えるのは矛盾だ」という意見。よく「ブレーキを踏みながらアクセルを踏むようなもの」と例えられます。ドパミン作動薬を加えることで統合失調法が悪くなるかもしれない、と。私もそう思ってました。

しかし、そこで疑問がひとつ生じました。
ブロモクリプチンを併用している統合失調症を診たこと沢山あります。しかし、だからといって増悪した方を見たことがありません。もちろん、だからといって存在しないわけではないかもしれません。それにしても……。

そこで、自分なりにアレコレと考えてみました。結論としては「ブロモクリプチン」を併用することは、理論上はプラスではないかと今は思ってます。長文になりつつあるので、理由については次の記事にしたいと思います。

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2009年2月11日 (水)

抗精神病薬の分子量

新規型の抗精神病薬の分子量を添付文書を基に調べてみました。小数点以下は切り捨ててます。

ペロスピロン(ルーラン) 499
アリピプラゾロール
(エビリファイ) 448
リスペリドン
(リスパダール) 410
クエチアピン
(セロクエル) 383
ブロナンセリン
(ロナセン) 367
オランザピン
(ジプレキサ) 312

覚える必要はないもの。でも、次からの記事に関係する予定です。覚えるぐらいの勢いで把握すると、ビビッとくるかも。私は覚えてみました。

ペロスピロンギリギリ500以下。BBBを通るギリギリの値かも。

師匠(=448)エビ(リファイ)ちゃん」 エビちゃんの代わりにモハメド・アリ(ピプラゾール)でもいいかもしれません。

Ris_yotto_2ヨット(=410)に乗ったリス(パダール)」なんてイメージしやすいですね。

セロ食え(=セロクエル)ずに産婆さん(383)」 マジシャンのセロが産婆さんって似合わないな~(笑

ロナセン(ブロナンセリン)367。下線部の「ロナ」つながりで。

オラ(ンザピン)財布(=312)

何か覚え方がありましたらご提案下さい(^-^/

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2009年2月 8日 (日)

抗うつ薬の分子量

抗うつ薬であるSSRIs/SNRIの分子量を添付文書を基に調べてみました。小数点以下は切り捨ててます。

フルボキサミン(ルボックス、デプロメール) 434
パロキセチン(パキシル) 374
セルトラリン(ジェイゾロフト) 342
ミルナシプラン(トレドミン) 282

覚える必要はないでしょう。でも覚えると楽しいかも。私は覚えてみました。

セル(トラリン=小部屋、)密室(342)

「ミルナシプランはセロトニンとノルアドレナリンの2発(282)

他のも覚え方が何かありましたらご提案下さい(^-^/

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2009年2月 5日 (木)

家庭の心理学@足利

つい先日の2月1日、足利市で講演してきました。昨年も開催したスプリングセミナーに、再びお呼び頂きました。826席の会場、満席ではなかったので700名ぐらいでしょうか。沢山の方にお集り頂きました。

話の内容は「家庭で使える心理学」について。話すときの視線位置関係、あいずち褒めることの効用などについて。約60分。

今回の講演のためにまとめ直す作業ができ、私自身のために良い機会でした。……って書いてから、昨年の日記を見返してみると、一年前の自分も全く同じことを言ってます。「機会」というのは成長のために良いものですね。

昨年は「うつ病」についてでしたし、今年は「心理」。他にも「統合失調症」や「アルコール依存症」についてなど、精神科医として語るべきことは沢山あるように思います。「薬物依存」もまとめておくべきかも。あ、「認知症」は私が語らない方がいい気がします(^-^;

自分の知識、話せるように少しずつまとめておきたいですね(^-^)

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2009年2月 1日 (日)

質問はひとつずつ

「お話を聞き、非常に参考になりました。そこで3つ質問がございます。1つ目に……。2つ目に……。そして3つ目に……」

講演での質疑応答の際に、一度に複数の質問をする人がいます。イロイロと興味を持って質問することは良いことですが、「一度に」はマナーとして良いものではありません。

質問に答えることは演者にとって、予定外の話を即興ですることになりただでさえ負担なものです。そんなときに3つの質問を把握させるのは、かなりの負担でしょう。何を聞かれたか3つ覚えるだけで余裕をなくします。そして、その質疑応答を聞いてる側にとっても話の焦点が分からなくなります。ですから、一度に複数は好ましくありません。

恐らく、人が多い中、質問のためにマイクを手にすることに緊張しているのでしょう。ですから、無意識にマイクを持つ時間を短くしたくなる結果なのでしょう。そうでなければ、演者や周りの人の気持ちが想像できていないだけか。

ひとつ質問して答えをもらってから、次の質問をすべきでしょう。3つ聞きたいことがあれば、それを3回繰り返せばいいのです。

こんなことを書く以上、まずは自分から気をつけなきゃ(^-^)

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