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2007年4月27日 (金)

大うつ病の診断基準(DSM-IV)

DSM-IVに於いて、大うつ病(Major Depressive Disorder)の診断の軸となるのが大うつ病エピソード(Major Depressive Episodeの診断基準です。
先日、セルトラリン=商品名ジェイゾロフトの発売一周年記念の講演会@品川に行ってきました。

そこで講演の中で「精神科医でも、大うつ病の診断基準をサラリと挙げられる人は少ないでしょう」という言葉がありました。

確かにその通りだろうと思いましたし、自分もサラリと全部は言えません。診療するにあたって、必要なものではありません。しかし、精神科医としてのプライドが……ということで、暗記してみることに.o(・_・)o

Happy_dep_1 A
次のうち5つ以上1か2のどちらかは必須。
1) 抑うつ気分
2) 興味、喜びの著しい減退
3) 体重減少 or 増加 または 食欲減退 or 増加
4) 不眠 or睡眠過多
5) 精神運動静止 または 焦燥
6) 易疲労感 または 気力の減退
7) 無価値感 または 罪責感
8) 思考力や集中力の減退 または 決断困難
9) 自殺念慮

この理解を深めるべく、私なりに噛み砕くと……
[1+2] 気分が落ち込んだり楽しくなくなったり。これは必須項目。
[3+4] 食と眠の体の反応。典型的には不眠と食欲不振。しかし季節性のうつ病冬眠にも似た点があり、睡眠過多と過食が起こりえます。
[5+6] 心のエネルギーの問題。主に低下。
[7+8+9} 思考の質と量の障害
……といった感じでしょうか。

他には下記のものがあります。まぁ、これを暗記するつもりはありませんが(^-^;
B 混合性エピソード(平たく言えば「躁うつ」)ではない
C 著しい苦痛、あるいは社会・職業的な機能障害がある
D 物質の作用や身体疾患によるものじゃない
E 死別反応ではない

暗記ポイントはAの9つでしょう。よし、暗記しよ!o(^-^)o

上記のものは細かいところをバッサリと省略したり言い換えたりしたもの。正確な内容についてはDSM-IV-TR精神疾患の分類と診断の手引 をご参照下さい。


Zoloft_necktie_1 ジェイゾロフトの講演会、力が入ってましたね~。会場の作り方から映像から何から「広告」に力が入ってました。
驚かされたのは、会場の新高輪プリンスホテルに入って感じた不思議な違和感。しばらくして気づいたのが、MRさんのネクタイが全員同じなんです。ダークスーツに白いワイシャツ、そしてお揃いのネクタイ。まるで映画「マトリックス」で街中にエージェントスミスが沢山現れたときのような奇妙さ。ご覧下さい、写真がそのネクタイです。ジェイゾロフトのヒマワリの模様をドットに使ったとか。へぇ~。さすがアメリカの会社ですね~(・_・

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2007年4月24日 (火)

カルバ+抗精神病薬=ダメ!

統合失調症の薬物治療の主役が抗精神病薬。そして、その補助に、しばしば抗てんかん薬のバルプロ酸(商品名デパケンetc)が用いられます。

中にはカルバマゼピン(商品名テグレトール、レキシン、テレスミンetc)が用いるDrも。しかし、これは基本的にアウトです。代謝酵素CYP1A22D63A4等が誘導されてしまうのです。代謝酵素が誘導されるってことは、他の薬剤の血中濃度を下げてしまうということ。

 

Cbz 例えば抗精神病薬の代表格であるリスペリドンでもそう。リスペリドンそのものやその代謝産物のパリペリドン等、成分によって数字は異なるものの1/2~1/4になってしまうとのこと。ハロペリドールだって報告によって差はありますが血中濃度が50%~60%ダウンオランザピンでもクエチアピンでも血中濃度の低下が報告されていますし、これは他の抗精神病薬でも殆ど同じことのハズ。もっと言えばベンゾジアゼピン系だって例えばアルプラゾラムが半分以下に下がった報告例、抗うつ薬だって例えばノリトリプチリンが約40%に下がった報告例……とイロイロな薬の血中濃度が下がるんです。理屈から言えば、ここに挙げた例以外にもいろんな薬の血中濃度が下がります。

 

併用注意と聞いても、「併用すると、どっちかの血中濃度が上がっちゃうのかな?」ぐらいに思いがち。それが下がるとは……注意したいもの。Leuchtらの総説では、カルバマゼピンを抗精神病薬の増強療法に用いるべきではないと結論づけています。そりゃそうだ。他の精神疾患の治療でも邪魔になることが多そう。

精神科医の皆さん、うかつにカルバマゼピンを処方してませんか? 減量/置換の際にはくれぐれも焦らずゆっくりと。そしてカルバマゼピンによる酵素誘導が止まってから、他の薬剤の血中濃度が遅れて上がってきます。ですから「良く」も「悪く」も、よ~く観察してみて下さいね(^-^/

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2007年4月22日 (日)

薬物療法のためのカルテ記載

医師の皆さん、薬物治療をする上でカルテどんな記載をしていますか?

Chartヤンセンファーマ社によるリスパダール講演会@品川で、重本病院の病棟看護主任の岡掛先生から、看護師は医師の処方、その変更について理解しようとする態度が必要、との話がありました。

それは看護師の立場からの話でしたが、我々=医師の立場からすると、看護師を始めとしたコメディカルに処方変更の目的等を伝えようとする姿勢が必要なのでしょう。

ここ最近、怠りがちでしたが、カルテを手に取りうる人々に、処方やその変更の内容のみならず「目的」が伝わるようにカルテ記載するように心がけたいと思いました。うん、気をつけよっとo(・_・)o

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2007年4月19日 (木)

全家連が解散

全国精神障害者家族会連合会、通称「全家連」が破産を申し立て、そして解散することになったとのこと。

全家連は、精神障害者を支える団体として、それはもう絶大な力を組織として持っていた団体。これが解散になるというのは、精神医療にとって大きな損失となります。非常に残念なこと。新しい何らかの組織が生まれることを切に願うばかりです。

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2007年4月17日 (火)

睡眠薬と抗不安薬

昨年の4月に今の病院に勤め始め、閉鎖病棟の約50人を受け持ってきました。その中で処方されていた薬剤の調整を続けてきて一年処方薬がどう変化したのかを振り返ってみました。大部分は統合失調症。長期入院がまだまだ多い病棟です。

まずひとつは睡眠薬&抗不安薬

ジアゼパム換算を比較してみました。1年以上入院歴がある人は昨年の4月(1年以内の人は入院時)について、そして今年の4月について計算しました。

結果は…… 過去14.6→現在8.9 ……と減らせました♪

受け持った時点=昨年の4月には抗不安薬は殆ど処方されておらず、現在はロフラゼプ酸エチル(メイラックス)を処方するケースがいくらかある程度。

Sleep多いのが睡眠薬。受け持った時点では、トリアゾラム(ハルシオンetc)ブロチゾラム(レンドルミンetc)などの短時間型睡眠薬=睡眠導入剤が多かったのが特徴。

これら短時間型睡眠薬には依存性の形成、そして長期使用による耐性が問題になります。受け持ってからは、これらを減らすように努めていました。中~長時間作用型に置き換え、無駄な睡眠薬を減らし、そして服薬している向精神薬を眠前に移すことで試みました。

まだ改善の余地はあるのではないかと思います。患者さんにとって、より良い薬物治療を目指していきたいと思いますo(^-^)o

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2007年4月 9日 (月)

飽和食塩水の濃さって?

電気療法の際に、電極の接触をできるだけ良くするべく飽和食塩水を使いました。その方が電極を当てた部位の微細な熱傷を減らすことができますからね。そこで、飽和食塩水がどのくらいの濃さなんだろ……と、塩水について調べてみました。

生理食塩水: 約0.9%
海水: 約3.5%
飽和食塩水: 約25%

電気療法に生理食塩水を使おうとしている医師を見たことがあります。生理食塩水って薄っ!そんな清潔なものを使う必要はありませんし、薄すぎます。そして、飽和食塩水って濃いですね~。塩1に対して水3ですからねぇ。そんな数字は知らなくても、溶け残るまで塩を入れればいいだけですね。

そして「ECTハンドブック」という本を発見。修正型(=麻酔をかけて行なう)電気療法についての本らしいです。これ欲しいな、買おうか迷い中。

ECTハンドブック ECTハンドブック

著者:Charles H. Kellner,Mark D. Beale,John T. Pritchett,C.Edward Coffey
販売元:星和書店
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2007年4月 5日 (木)

何の略?DSM-IVとICD-10

2007年2月現在、精神科で用いられる診断基準には主に次の2つ「DSM-IV」と「ICD-10」があります。これは現場の人なら常識的に知っていること。じゃあ、各々が何の略だったか覚えてます?……私は忘れてました(^-^;

 

DSM-IVとは、APA(American Psychiatric Association、アメリカ精神医学会)が編集したもの。臨床の現場で使われる事が、こちらの方が多いでしょうか。これは"Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders"「精神障害の診断と統計マニュアル」というもの。今は"-TR"が最後に付くが、これは"Text Revision"の意味で、診断基準そのものは変わらず、解説文が書き直されたもの。

Dsm4_2

Book DSM-IV-TR精神疾患の分類と診断の手引

著者:American Psychiatric Association,高橋 三郎,大野 裕,染矢 俊幸
販売元:医学書院
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 

そして、ICD-10WHOが編集したもの。精神科医をしていると忘れがちですが、何も精神疾患だけのものではありません。いろんな疾患が全て含まれてます。特にお役所関係で用いられる事があり、書類作成時にICD分類のコードを書くよう求められる事があります。"International Classification of Disease"「国際疾患分類」の略。

ICD‐10 精神および行動の障害―臨床記述と診断ガイドライン Book ICD‐10 精神および行動の障害―臨床記述と診断ガイドライン

販売元:医学書院
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これでスッキリ♪

専門用語についてと言えば、以前に略語「Rp.」「do.」etcという記事も書いてます。よかったら、お読み下さい(^-^)

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2007年4月 1日 (日)

ルーランとD2受容体

ルーラン®(ペロスピロン)発売5周年記念の講演会を聞いてきました。

ペロスピロンの特徴として、D(ドパミン)2受容体の親和性が高いというお話。「非定型」とするには高すぎるくらいらしい。ただ、単純に高すぎればEPS(錐体外路症状。手の振るえや歩行障害など)を始めとした副作用が大きいハズ。じゃあ、何か。

体内で代謝されて、薬理作用のある代謝産物が生じますが、このD2受容体の親和性が低いとか。合計すればD2受容体の親和性は高すぎない、ということに。

実際、ペロスピロンを処方していて、EPSは目立ちませんからね。なるほど。

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