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2007年5月30日 (水)

陰性症状にトレドミン

統合失調症の症状として派手なのが幻聴や妄想などの病的体験そして精神運動興奮といった陽性症状

しかし、地味に生活にダメージを与えるのが陰性症状。これは意欲の低下感情の平板化・鈍麻興味の欠如など。

 

Milnacipran陰性症状に対して、様々な抗精神病薬が用いられてきました。ドグマチールデフェクトンオーラップなどなど。効くと言われてはいますが、実際には殆ど目立った効果は得られないもの。

そこで期待されたのが非定型抗精神病薬=新規抗精神病薬。しかし、これにしたってドングリの背比べであり、十分な効果は期待できないのが実際。

抗精神病薬は主に陽性症状をターゲットにすべき薬なのでしょう。

 

じゃあ、何を使って陰性症状を治したらいいのか。聖マリアンナ大学の宮本聖也先生の講演で話に出たのは、統合失調症の陰性症状に抗うつ薬がいいとのこと。

このときパロキセチン(パキシル)はやフルボキサミン (デプロメール、ルボックス)もいいのですが、他の薬への影響がある可能性があります。パロキセチンはCYP2D6、フルボキサミンはCYP3A4を阻害してしまうからです。

そこでCYPへの影響がない薬としてオススメなのがミルナシプラントレドミン)だとか。セロトニンへの作用とともにノルアドレナリンへの作用もあるので、陰性症状への効果が期待できます。ってなところで、私も処方してます。

他剤への影響が無い、とは言わないけど少ないという意味で、セルトラリン(ジェイゾロフト)を使う手もあるのかな?

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2007年5月26日 (土)

抗うつ薬の等価換算表

抗うつ薬の等価換算表(稲垣・稲田2006年版)を手に入れたのでメモメモ。

アミトリプチリン(トリプタノール) 150
アモキサピン(アモキサン) 150
クロミプラミン(アナフラニール) 120
デシプラミン(発売中止) 150
ドスレピン(プロチアデン) 150
フルボキサミン(デプロメール、ルボックス) 150
イミプラミン(トフラニール、イミドール) 150
ロフェプラミン(アンプリット) 150
マプリチリン(ルジオミール) 150
ミアンセリン(テトラミド) 60
ミルナシプラン(トレドミン) 100
ノリトリプチリン(ノリトレン) 75
パロキセチン(パキシル) 40
サフラジン(発売中止) 30
セルトラリン(ジェイゾロフト) 100
セチプリン(テシプール) 6
スルピリド(ドグマチール) 300
トラゾドン(デジレル、レスリン) 300
トリミプラミン(スルモンチール) 150

パロキセチンは投与量を増やすと、それ以上に血中濃度が増すので、単純に等価換算できるのかは疑問ですね。

日本で発売されている抗うつ薬って、こんなにあったんですね~。でも、最近のメインは赤で書いたSSRIとSNRIの4剤でしょうか。そして、それらはどれも「基本的な最大投与量どうしが等価」という値になってますので、表を見るまでも無く計算できますね。

抗精神病薬ではCP換算やHPD換算やRis換算が用いられます。抗不安薬や睡眠薬ではジアゼパム換算が、抗パ薬ではビペリデン換算が用いられます。さて、抗うつ薬では何を基準に換算するものなのでしょうね?ご存知の方がいらっしゃいましたら、お教え頂けると幸いですm(^-^)m

 

過去の記事では抗パ薬の等価換算表(ビペリデン換算)も扱っていますのでご参考まで。

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2007年5月22日 (火)

SSRIと若年者の自殺リスク

Stopsuicide2若年者に対してSSRIを用いると自殺関連事象のリスクが高まるのではないか、とのして気があります。しかし、これを理由にSSRIの使用を避けることで自殺のリスクが逆に高まるのではないかとの指摘もあります。

これらは品川で行なわれたファイザーの講演会で聞いた話。特に前者は以前から有名な話。いずれにせよ気をつける必要があります。

パロキセチン(パキシル)やフルボキサミン(デプロメール、ルボックス)などでは自殺のリスクが高まるとのデータがあります。しかし、セルトラリン(ジェイゾロフト)では他のSSRIと違って自殺のリスクが上がらないとのこと。

いったいこれは何でしょう。講演でHenry Chung先生は次のような説を唱えていました。

Zoloft_necktie_11若年者では、薬物の代謝の早いものです。ですから若年者ではSSRIの血中濃度が下がりやすく、不安や苛々等の不快気分が生じやすいのではないか。これがSSRIに伴う自殺を引き起こすのではないか。

そしてセルトラリン(ジェイゾロフト)では活性代謝物(補1)であるデスメチルセルトラリンの半減期が長く、血中濃度が下がりづらいので、若年者であっても血中濃度が比較的安定し、自殺リスクを上げないのではないか。

……とのこと。これは面白い説です。自殺のリスクが高いと見込まれるケースや若年者に対してはセルトラリンを選択肢に入れるのも手でしょう。また、他のSSRIにしても一日の服薬回数を1回や2回ではなく、無理の無い範囲で服薬回数を増やして対応するのもいいかもしれません。

ただ、ちょっとこの説でひっかかるのはミルナシプラン(トレドミン)について。ミルナシプランは半減期が短めです。なのに自殺関連事象のリスクを上げないと聞いたことがあります。Henry Chung先生の説ではちょっと矛盾するのか。それともミルナシプランがSNRIが故に、特別なのか……。

いずれにせよ、気をつけて薬物治療にあたりたいと思います。自殺は多くの悲しみを生みますし、治るうつ病も100%治らなくなっちゃいますからねo(・_・)o

補足1:デスメチルセルトラリンもセロトニン再取り込み阻害作用を持ってます。この存在は、セルトラリンの特徴。パロキセチン、フルボキサミン、ミルナシプランでは活性代謝物は生じません。

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2007年5月19日 (土)

抗パ薬の減量/中止(中間報告)

統合失調症の治療に抗精神病薬は欠かせません。しかし、その副作用としてEPS(錐体外路症状。手の振るえや歩行障害など)が出ることがあります。これを防ぐために抗パーキンソン薬=略して抗パ薬を併せて処方することがよくあります。

Parkinson しかし、抗パ薬はできれば使わない方がいいものです。それについてはコチラの記事をどうぞ。

そこで、担当している閉鎖病棟での処方を見直していました。EPSが出ない範囲で抗パ薬の減量/中止を試みていました。春なので、その数字を見直してみましょう。

ビペリデン換算で比較すると……

現在入院中の患者さんの2006年4月(2006年4月以降の入院者は入院時)の抗パ薬は一人平均2.49mg。従来では一般的に、抗パ薬が1日3錠ずつ処方される事も多かった事を考えると、このぐらいは「昔の普通」でしょうか。

2007年2月の時点では一人平均1.80mgを服用。

現在=2007年5月では一人平均1.32mgを服用。

まとめて書けば
2.49 → 1.80 → 1.32
うん、少し減らせてきてますね~♪
今後も引き続き、より良い処方を模索してみたいと思います(^-^)

今までの抗パ薬についての記事は以下の通りです。

統合失調症と抗パ薬
http://pshycho-memomemo.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_4259.html
抗パ薬の等価換算表(ビペリデン換算)
http://pshycho-memomemo.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_b747.html
抗パ薬を数えてみよう(^-^/
http://pshycho-memomemo.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_f1c6.html
抗パ薬を数えてみよう2
http://pshycho-memomemo.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_ae39.html

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2007年5月15日 (火)

抗精神病薬の量

2006年4月から統合失調症を中心とした閉鎖病棟を担当しています。

前の主治医は向精神薬が登場する以前から医療を続けている医師で、薬剤をあまり使わずにECTを頻用する傾向がありました。ECTを嫌うつもりはありませんが、安定した治療効果を目指すべく昨年から受け持って薬物の調整を続けてきました。

さて、その結果はどんなものかを振り返り中。

担当した時点=2006年4月
リスパダール換算で5.45

現在=2007年5月
リスパダール換算で9.20

日本の平均が8.2(か何か)とリスパダール講演会@品川の内容のどこかで聞いたことがあります。正確な事は分かりません(x_x;

自分の処方量9.2はほんのちょっと多いのでしょうか。そして平均というのは、比較的軽度な方を多く診る診療所も併せての数値なのかもしれません。だとすると、比較的重度の方が多い閉鎖病棟では9.2という数字が低い方なのかも知れません。やはり、正確なデータが分からないと話になりません。機会をみつけて調べてみたいですね(^-^)

薬の工夫について過去に睡眠薬と抗不安薬という記事も書いていますので、ぜひ見て下さいねo(^-^)o

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2007年5月10日 (木)

糖尿病+統合失調症

糖尿病の有病率は7%ぐらいでしょうか。40歳以上では10%程になるとか。当然、統合失調症の方でも糖尿病を併せ持っている人は沢山います。健常者に比べて統合失調症患者では糖尿病での受療率は倍ぐらいに高いとか。

じゃあ、糖尿病を持つ統合失調症に対してどの薬を使えばいいのでしょう。

まず、インスリン抵抗性への影響についての報告によれば……
・従来型の薬=定形薬リスペリドン(リスパダール)では明らかなインスリン抵抗性の上昇はみられず
オランザピン(ジプレキサ)では有意にインスリン抵抗性が上昇するとのこと。

そして、糖尿病を発症する率への抗精神病薬の影響をみると……
・当然のことながらMARTAでは高くなります。
・従来型の薬=定型薬でもやっぱり、高力価にしろ低力価にしろ糖尿病の率が上がります
・しかし、リスペリドンでは糖尿病の率の有意な上昇は認められなかったとのこと。

Good4shcizo_22 以上のことからすると、糖尿病+統合失調症リスペリドンが適していると考えられます。
そして、多くのケースでリスペリドンが使用されているハズです。

なぜ、このような事を書いているのかと言えば、リスペリドンについて使用上の注意改定のお知らせが来たんですね。
内容は「糖尿病においては投与を慎重にすべき」そして「糖尿病関連の重大な副作用がありうる」ということ。

他の薬剤に比べると、リスペリドンは糖尿病関連のリスクが低いです。それでも、抗精神病薬である以上は気をつけて血糖値等をチェックしていくべきなのでしょうね。特に糖尿病併発例で使われやすい薬なだけに、改めて注意喚起に至ったのでしょう。薬とはうまく付き合っていきたいものですね(^-^)

 

当ブログでは以下の様な関連した記事があります。

打倒コーラ500mL缶
http://pshycho-memomemo.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/500ml_2272.html
コーラだらけの自動販売機
http://pshycho-memomemo.cocolog-nifty.com/blog/cat1238611/index.html
ジプレキサと高血糖リスク
http://pshycho-memomemo.cocolog-nifty.com/blog/2006/12/post_a645.html

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2007年5月 6日 (日)

後発医薬品に対する不信

後発医薬品ってのは「ジェネリック」ですね。
業界用語で言うところの「ゾロ」。
特許が切れた薬剤を、他の会社が安く売ろう、というもの。

「既に売られていた薬と同じですよ♪」とうたっています。
同じだと言う根拠になる試験はどうやら次の2つ(かな?
生物学的同等試験」と「溶出試験」ですかね。

なんだか複雑なもので頭がこんがらがってます(>_<;
こんど、お薬メーカーさんに聞いてみようかな。


で、なんでこんなことを言い出したのかというと
後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインについて
を読んでみました。
http://www.nihs.go.jp/drug/be-guide/beguide1.html


読んでみると、こんなことが書いてあります。



■さとる的ポイント1 Generic
後発医薬品の試験製剤は,
実生産ロットの製剤であることが望ましい


ん?「望ましい」という程度なの!?
ロットが違っててもいいんですか!?(驚
じゃあ、試験製剤と実生産の製剤が多少違う可能性はアリ?
試験用の薬はテストをクリアするためで、
実生産用の薬は儲けるため……(>_<;



■さとる的ポイント2
「生物学的同等の許容域は、AUC及びCmaxが
対数正規分布する場合には、試験製剤と標準製剤の
パラメータの母平均の比で表すとき0.8~1.25である」


先発品の80%の血中濃度が得られたら同等って判断ですか。
8割って……低っ!(>_<;

なんでも悪く裏があるように考えるのは好きではありません。
しかしこればかりは……大きな問題です。

ジェネリックの宣伝で「同じ♪」と言っているのを
信じてましたが急にすっごく不安になってきました。
うん、お勉強をしてみなきゃ、です(・_・;

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2007年5月 4日 (金)

口腔内崩壊錠

ジプレキサ(一般名オランザピン)ザイディス錠に続いて、リスパダール(一般名リスペリドン)OD錠が発売されるとのこと。これらは口腔内崩壊錠と呼ばれるもの。平たく言えば「口の中でシュワッと溶ける薬」のことです。水無しですら服用できる、とのこと。

Good4shcizo_22_1 薬を飲むには、口の中にコロッとある錠剤を喉の奥にゴクリと送り込む作業が必要です。慣れた人には簡単にも思えることですが、苦手な人にとっては負担なこと。慣れた人にだって、意識されない程の微妙にではありますが負担にはなっているハズ。そんな負担を減らす意味でザイディス錠とOD錠は大きな意味があることでしょう。

ザイディス錠はモロく、特別な扱いが必要です。しかし、OD錠はある程度の硬度があり分包機に入れることができるとのこと。

これについて「OD錠で水が不要+通常の錠剤で水が必要=水が必要」であり、無意味ではないか、との意見を耳にすることがあります。確かに一理はあります。しかし、それは「全か無か思考」というもの。
OD錠で飲みやすい通常の錠剤少し飲みやすい」が正解。少しでも飲みやすくする努力をすることが大切です。これまで通常の錠剤を用いていたところを、OD錠にいくらかでも切り替えることができれば、それは服薬する患者の負担を減らし、そしてアドヒアランスの改善にもつながることでしょう。

うまく口腔内崩壊錠を活用していきたいものですね(^-^)

ザイディス錠については2006年3月25日の日記「ザイディス錠と液剤」にも書いてますので、興味がありましたらどうぞ(^-^/

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2007年5月 1日 (火)

患者サイドからすると……

ヤンセンファーマ社のリスパダール講演会@品川で、統合失調症の患者さんそのお父様のスピーチがありました。

やっと本当の自分に出会えた―統合失調症と生きる当事者・家族からのメッセージ Book やっと本当の自分に出会えた―統合失調症と生きる当事者・家族からのメッセージ

著者:上森 得男
販売元:アルタ出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する

の著者です。

その話の中で力を入れていた言葉は
少しでもより効果のある良い薬を使って下さい
との言葉。

非定型の薬を使う方が良いのは当たり前の事。同じ非定型の中でもベストの薬剤を……個人的な経験によらず、一般的にベストとされる薬剤を選ぶべきなのでしょう。そりゃあそうです。自分を治すお薬を、医師の個人的な好みだけで選択されてはたまりません。
そして、その中でもベストの剤形を用いていくべきなのでしょう。
また、安さばかりが強調され、効果や信頼性に疑問が残るジェネリックの使用は慎重にすべきものでしょう。

そんな事を改めて考えさせられました(・_・)

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