陰性症状にトレドミン
統合失調症の症状として派手なのが幻聴や妄想などの病的体験そして精神運動興奮といった陽性症状。
しかし、地味に生活にダメージを与えるのが陰性症状。これは意欲の低下や感情の平板化・鈍麻、興味の欠如など。
陰性症状に対して、様々な抗精神病薬が用いられてきました。ドグマチールやデフェクトン、オーラップなどなど。効くと言われてはいますが、実際には殆ど目立った効果は得られないもの。
そこで期待されたのが非定型抗精神病薬=新規抗精神病薬。しかし、これにしたってドングリの背比べであり、十分な効果は期待できないのが実際。
抗精神病薬は主に陽性症状をターゲットにすべき薬なのでしょう。
じゃあ、何を使って陰性症状を治したらいいのか。聖マリアンナ大学の宮本聖也先生の講演で話に出たのは、統合失調症の陰性症状に抗うつ薬がいいとのこと。
このときパロキセチン(パキシル)はやフルボキサミン (デプロメール、ルボックス)もいいのですが、他の薬への影響がある可能性があります。パロキセチンはCYP2D6、フルボキサミンはCYP3A4を阻害してしまうからです。
そこでCYPへの影響がない薬としてオススメなのがミルナシプラン(トレドミン)だとか。セロトニンへの作用とともにノルアドレナリンへの作用もあるので、陰性症状への効果が期待できます。ってなところで、私も処方してます。
他剤への影響が無い、とは言わないけど少ないという意味で、セルトラリン(ジェイゾロフト)を使う手もあるのかな?
コメント
恐らく単純型統合失調症でエビリファイを飲んでいますが、あまり効いていません。先日主治医に抗うつ剤を使ってみないかと言われましたが、こういうことだったんですね。
エビリファイと相性が良いのはトレドミンですね。主治医はアモキサンの名前を挙げていましたが、トレドミンをお願いしてみようと思っています。
投稿: へべラー | 2008年9月15日 (月) 00:32
エビリファイはCYP2D6で代謝される薬。となるとパキシルはちょっとしたリスクがあります。そういう意味では1stがトレドミン、2ndがジェイゾロフトと言えるでしょう。アモキサンという選択は以前にはありましたが、今では優先順位は下がっているものと思われます。主治医とよ~くご相談下さいね(^-^)
投稿: satoru | 2008年9月22日 (月) 14:20