SSRIと若年者の自殺リスク
若年者に対してSSRIを用いると自殺関連事象のリスクが高まるのではないか、とのして気があります。しかし、これを理由にSSRIの使用を避けることで自殺のリスクが逆に高まるのではないかとの指摘もあります。
これらは品川で行なわれたファイザーの講演会で聞いた話。特に前者は以前から有名な話。いずれにせよ気をつける必要があります。
パロキセチン(パキシル)やフルボキサミン(デプロメール、ルボックス)などでは自殺のリスクが高まるとのデータがあります。しかし、セルトラリン(ジェイゾロフト)では他のSSRIと違って自殺のリスクが上がらないとのこと。
いったいこれは何でしょう。講演でHenry Chung先生は次のような説を唱えていました。
若年者では、薬物の代謝の早いものです。ですから若年者ではSSRIの血中濃度が下がりやすく、不安や苛々等の不快気分が生じやすいのではないか。これがSSRIに伴う自殺を引き起こすのではないか。
そしてセルトラリン(ジェイゾロフト)では活性代謝物(補1)であるデスメチルセルトラリンの半減期が長く、血中濃度が下がりづらいので、若年者であっても血中濃度が比較的安定し、自殺リスクを上げないのではないか。
……とのこと。これは面白い説です。自殺のリスクが高いと見込まれるケースや若年者に対してはセルトラリンを選択肢に入れるのも手でしょう。また、他のSSRIにしても一日の服薬回数を1回や2回ではなく、無理の無い範囲で服薬回数を増やして対応するのもいいかもしれません。
ただ、ちょっとこの説でひっかかるのはミルナシプラン(トレドミン)について。ミルナシプランは半減期が短めです。なのに自殺関連事象のリスクを上げないと聞いたことがあります。Henry Chung先生の説ではちょっと矛盾するのか。それともミルナシプランがSNRIが故に、特別なのか……。
いずれにせよ、気をつけて薬物治療にあたりたいと思います。自殺は多くの悲しみを生みますし、治るうつ病も100%治らなくなっちゃいますからねo(・_・)o
補足1:デスメチルセルトラリンもセロトニン再取り込み阻害作用を持ってます。この存在は、セルトラリンの特徴。パロキセチン、フルボキサミン、ミルナシプランでは活性代謝物は生じません。


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