「障害者自立支援法」に基づく障害程度区分認定のための「医師意見書」における二軸評価についてメモメモ
■1 精神症状・能力障害二軸評価
(1)精神症状
1. 症状がまったくないか、あるいはいくつかの軽い症状が認められるが日常の生活の中ではほとんど目立たない程度である。
2. 精神症状は認められるが、安定化している。意思の伝達や現実検討も可能であり、院内の保護的環境ではリハビリ活動等に参加し、身辺も自立している。通常の対人関係は保っている。
3. 精神症状、人格水準の低下、認知症などにより意思の伝達や現実検討にいくらかの欠陥がみられるが、概ね安定しつつあるか、または固定化されている。逸脱行動は認められない。または軽度から中等度の残遺症状がある。対人関係で困難を感じることがある。
4. 精神症状、人格水準の低下、認知症などにより意思の伝達か判断に欠陥がある。行動は幻覚や妄想に相当影響されているが逸脱行動は認められない。あるいは中等度から重度の残遺症状(欠陥状態、無関心、無為、自閉など)、慢性の幻覚妄想などの精神症状が遷延している。または中等度のうつ状態、そう状態を含む。
5. 精神症状、人格水準の低下、認知症などにより意思の伝達に粗大な欠陥(ひどい滅裂や無言症)がある。時に逸脱行動が見られることがある。または最低限の身辺の清潔維持が時に不可能であり、常に注意や見守りを必要とする。または重度のうつ状態、そう状態を含む。
6. 活発な精神症状、人格水準の著しい低下、重度の認知症などにより著しい逸脱行動(自殺企図、暴力行為など)が認められ、または最低限の身辺の清潔維持が持続的に不可能であり、常時厳重な注意や見守りを要する。または重大な自傷他害行為が予測され、厳重かつ持続的な注意を要する。しばしば隔離なども必要となる。
(2)能力障害評価
1. 精神障害を認めるが、日常生活および社会生活は普通にできる。
2. 精神障害を認め、日常生活または社会生活に一定の制限を受ける。
3. 精神障害を認め、日常生活または社会生活に著しい制限を受けており、時に応じて援助を必要とする。
4. 精神障害を認め、日常生活または社会生活に著しい制限を受けており、常時援助を要する。
5. 精神障害を認め、身の回りのことはほとんどできない。
■2 生活障害評価
[食事]
1)適当量の食事を適時にとることができる。(外食、自炊、家族・施設からの提供を問わない)
2)時に施設からの提供を必要とする場合があるが、1)がだいたい自主的にできる。
3)時に助言や援助がなければ、偏食したり、過食になったり、不規則になったりする。
4)いつも同じものばかりを食べたり、食事内容が極端に貧しかったり、いつも過食になったり、不規則になったりする。強い助言や援助を必要とする。
5)常に食事へ目を配っておかないと不食に陥ったり、偏食、過食など問題の食行動があり、健康を害す。
[生活リズム]
1)一定の時刻に自分で起きることができ、自分で時間の過ごし方を考えて行動できる。
(※一般的には午前9時には起きていることが望まれる)
2)時に寝過ごすことがあるが、だいたい自分なりの生活リズムが確立している。夜間の睡眠も1時間以内のばらつき程度である。生活リズムが週1度以内の崩れがあってもすぐに元に戻る。
3)時に助言がなければ、寝過ごすが、週に1度を越えて生活リズムを乱すことがあっても元に戻る。夜間の睡眠は1~2時間程度のばらつきがある。
4)起床が遅く、生活のリズムが週1回を越えて不規則に傾きがちですぐには元に戻らない。強い助言や援助を必要とする。
5)臥床がちで、昼夜逆転したりする。
[保清]
1)洗面、整髪、ひげ剃り、入浴、着替え等を自主的に問題なく行っている。必要に応じて(週に1回くらいは)、自主的に掃除やかたづけができる。TPOに合った服装ができる。
2)洗面、整髪、ひげ剃り、入浴、着替え等をある程度自主的に行っている。回数は少ないが、自室の清掃やかたづけをだいたい自主的におこなえる。
3)個人衛生を保つためには、週1回程度の助言や援助が必要である。自室の清掃やかたづけについて、週1回程度助言がなければ、ごみがたまり、部屋が乱雑になる。
4)個人衛生を保つために、強い援助や助言を必要とする。自室の清掃やかたづけを自主的にはせず、いつもごみがたまり、部屋が乱雑になり、強い助言や援助を必要とする。
5)助言や援助をしても、個人衛生を保つことができず、自室の清掃やかたづけを、助言や援助をしてもしないか、できない。
[金銭管理]
1)1ヵ月程度のやりくりが自分で出来る。また、大切な物を管理できる。
2)時に月の収入を超える出費をしてしまい、必要な出費(食事等)を控えたりする。時折大切な物を失くしてしまう。
3)一週間程度のやりくりはだいたいできるが、時に助言を必要とする。また大切な物をなくしたりする為に時として助言が必要になる。
4)3~4日に一度手渡して相談する必要がある。大切な物の管理が一人では難しく、強い助言や援助を必要とする。
5)持っているお金をすぐに使ってしまう。大切な物の管理が自分では出来ない。
[服薬管理]
1)薬の必要性を理解しており、適切に自分で管理している。
2)薬の必要性は理解しているいないにかかわらず、時に飲み忘れることもあるが、助言が必要なほどではない。(週に1回以下)
3)薬の必要性は理解しておらず、時に飲み忘れるので助言を必要とする。(週に2回以上)
4)飲み忘れや、飲み方を間違えたり、拒薬、大量服薬をすることがしばしばある。強い助言や援助(場合によりデポ剤使用)、さらに、薬物血中濃度モニター管理を必要とする。
5)助言や援助をしても服薬しないか、できないため、ケア態勢の中で与薬を行ったり、デポ剤が中心となる。さらに、薬物血中濃度モニターは不可欠である。
[対人関係]
1)あいさつや当番などの最低限の近所づきあいが自主的に問題なくできる。近所、仕事場、社会復帰施設、病棟等で、他者と大きなトラブルをおこさずに行動をすることができる。必要に応じて、誰に対しても自分から話せる。同世代の友人を自分からつくり、継続してつきあうことができる。
2)1)が、だいたい自主的にできる。
3)だいたいできるが、時に助言がなければ孤立的になりがちで、他人の行動に合わせられなかったり、挨拶や事務的なことでも、自分から話せない。また助言がなければ、同世代の友人を自分からつくり、継続してつきあうことができず、周囲への配慮を欠いた行動をとることがある。
4)1)で述べたことがほとんどできず、近所や集団から孤立しがちとなる。3)がたびたびあり、強い助言や介入などの援助を必要とする。
5)助言・介入・誘導してもできないか、あるいはしようとせず、隣近所・集団とのつきあい・他者との協調性・自発性・友人等とのつきあいが全くなく孤立している。
[社会適応を妨げる行動]
1)周囲に恐怖や強い不安を与えたり、小さくても犯罪行為を行なったり、どこへ行くかわからないなどの行動が見られない。
2)この1カ月に、1)のような行動は見られなかったが、それ以前にはあった。
3)この1カ月に、そのような行動が何回かあった。
4)この1週間に、そのような行動が数回あった。
5)そのような行動が毎日のように頻回にある。
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