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2007年7月28日 (土)

統合失調症の薬物中断の危険

統合失調症では薬を続けることが大切なのは当たり前の話。

でも、今の私では十分なエビデンスをパッと示せません。ちょっと、そーいう数字をメモすることを気をつけようと思ってます。

CNSフォーラム2007での、藤田保健衛生大学の岩田先生の講演の中で、次の様な数字が出ていました。

・服薬を中断すると、再発率が約5倍に増えます。
・服薬を中断すると、自殺関連の危険が約4倍に増えます。

Cns2007 これは分かりやすい数字です。ただ、患者さんに聞かせるにあたって、ひとつ工夫を加えたいと思います。人間というものは悪いニュースに対して耳を塞ぎやすいものです。服薬中断の危険性も語らねばなりませんが、どちらかと言えば「服薬継続に対する期待」を示してあげるべきでしょう。

ということで、同じ内容も次の様に言うべきではないでしょうか。

・薬を続けることで、再発率を5分の1に減らせます
・薬を続けることで、自殺に至る危険性を4分の1に減らせます

これを患者さんに示せるように紙に書いておこうかと思っています。

また、患者さんからすると、どうしても服薬中断を試してみたくなるものです。それについて、Dr. Dawn I. Velliganは次の様に話しています。

薬を中断することは非常に危険です。それでも、薬を中断していたいとしたら、それは密かにではなく、医師の監督下で試すべきです。そして、家族に伝えた上で試すべきです。

服薬中断を試さないのが最も安全です。ですが、中断してしまう可能性があるがあるのであれば、このようなことをあらかじめ伝えておくのがいいかもしれません。

これも紙に書いて患者さんに示せるようにしておこうかな♪o(^-^)o

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2007年7月27日 (金)

LDL/HDL≦1.7を目指せ

精神科に特化していると、内科疾患について弱いもの。そこでクレストールを売っているアストラゼネカのMRさんに、高脂血症の治療について教わったので忘れないうちにメモメモ。

LDLコレステロール/HDLコレステロールを2以下にすることが良い言われており、これを1.7以下にすることが目標だとか。

これにより血管内のプラーク形成を抑え、動脈硬化を防げるのではないかと言われています。

また、さらに言えばLDLが十分に低い状態でHDLが高ければプラークを退縮させることもできるのではないかと言われているとか。防ぐだけだった動脈硬化を治せるのかも

血液検査を見る際に異常値が無いかとビクビクしている人も多かったでしょうけど、高脂血症の治療がうまくいけば、よりポジティブな気持ちになれそうですね(^-^)

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2007年7月24日 (火)

リスパダール液と睡眠

CNSフォーラムの会場で「Risperidon内溶液の睡眠への効果」(神戸大学関連病院多施設共同研究)のポスター発表がありました。

リスパダール液を使って2週・4週後にどうなったのか、その結果を見てみると……

入眠障害について、80%弱が改善
熟眠感について、約80%が改善
中途覚醒について、約60%が改善
起床時の気分について、60%台の改善

とのこと。
ホントはもっと細かく色々と書いてあります。

Ris_sleepここ最近、睡眠薬を安易に使わない方が良いと言われています。そんな中、統合失調症を治療する際に、その向精神薬で夜間の睡眠が改善するとしたら、とても有用なことですね。

ただ眠気をもたらすのかと思いきや、そーいうことでは無さそう。起床時の気分も改善するというのは「ただ眠らせる」ではなく、不眠を本質的に治療できていそうなイメージですね。

また、入眠困難が改善しますが、これには服薬後の血中濃度の立ち上がりが早い(参照「ザイディスと液剤」)こともポイントなのかもしれませんね。

リスパダール液を眠前に処方することが多いですが、こーいう数字を見てまた納得(^-^)

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2007年7月21日 (土)

CNSフォーラムへ!

今から品川で行われるCNSフォーラムに行ってきます!
なんと2600人が訪れる予定だとか。すごく巨大。
日本の精神科医って2万人だっけか?1万5000人だっけか?
そして、リスパダール液の飲み心地についてのポスター
仲の良い医師と作ったので、それを貼った前で記念写真でも撮ってこようかな♪
では、行ってきます!(^-^/

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2007年7月13日 (金)

インフォームドコンセント

インフォームドコンセントについて読んだのでメモメモ。インフォームドコンセントの5箇条というものがあるとか。

インフォームドコンセントの5箇条

  1. 病気等の名前、症状
  2. 予定する治療の内容
  3. 治療などのメリット、デメリット
  4. 治療しない場合の見通し
  5. 他に選択可能な治療法がある場合の内容と利害損失

これらをきちんと説明できていないといけない、というもの。日頃から気をつけているつもりではいるけど、完全にできているかというと……かなり自信がありません(>_<;

一番頻出の「うつ病」と「統合失調症」については、簡単に説明できるように文章にまとめておく等の準備しておきたいものですね(^-^)

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2007年7月10日 (火)

抗うつ薬の世界順位

世界的な抗うつ薬の売れゆきを教えてもらったのでメモメモ

1位 パロキセチン(日本での商品名 パキシル
2位 フルオキセチン
3位 セルトラリン(日本での商品名 ジェイゾロフト
4位 ベンラファキシン
5位 シタロプラム
6位 エシタロプラム
7位 ブプロピン
8位 フルボキサミン(日本での商品名 デプロメールルボックス
9位 ミルナシプラン(日本での商品名 トレドミン
10位 デュロキセチン

パロキセチン(日本ではパキシル)が世界的トップ。ただ、ジェネリックが出回っているので製品名「パキシル」としては、セルトラリンの「ゾロフト」がトップの座を譲るかたちだとか。

日本で使われているSNRIのミルナシプラン(トレドミン)はアメリカでは使われておらず9位。しかし、アメリカのSNRIであるベンラファキシンが4位につけています。

うん、どれも優秀な薬。このトップ10の中には、これから日本にやってくる薬もありそう。注目ですね(^-^)

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2007年7月 7日 (土)

偏頭痛にSNRI/SSRI

片頭痛の原因のひとつとしてセロトニン学説があるとか。ストレスなどが誘引となって、血小板からセロトニンが放出されるとか。これが脳血管を収縮させ、そしてセロトニンが分解・排泄されることにより、今度は脳血管が拡張。これが頭痛を引き起こす、というもの。
SSRIが片頭痛に効くことがあるのは、これかもしれません。

そして、ノルアドレナリンの関与も考えられているとのこと。片頭痛患者の血中ノルアドレナリン濃度が下がっている、などと報告されているとか。

そんなことが、ミルナシプラン(トレドミン)が頭痛に奏功した例についての報告(佐々木信幸ら)の中に書いてありました。うむ、勉強になります(・_・)

片頭痛にSNRIが奏功することもあるといいます。アメリカではミルナシプランはありませんが、ベンラファキシンというSNRIが片頭痛に用いられているとのこと。

片頭痛の患者さんが最初から精神科や心療内科を受診することは少ないもの。しかし、他の科で治療がうまくいなかなった偏頭痛を治してくれ、と言われることがあります。そんなときにNSAID(鎮痛薬)は無駄。SSRIやSNRIによる治療を試みてもいいのでしょうね(^-^)

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2007年7月 4日 (水)

SSRIとSNRIの血中濃度

SSRISNRIの投与量と血中濃度の変化についてメモメモ

 

まずはSNRIから。

ミルナシプラン(トレドミン)を
25mg/dayから
50mg/day(2倍)にすると、血中濃度は2.16倍
100mg/day(4倍)にすると、血中濃度は4.36倍

投与量2倍で2倍4倍で4倍の血中濃度が得られるということ。イメージ通りの治療ができますね。

 

 
そしてSSRI3剤。まずはフルボキサミンとセルトラリン。

フルボキサミン(デプロメール、ルボックス)を
25mg/dayから
50mg/day(2倍)にすると、血中濃度は1.8倍
100mg/day(4倍)にすると、血中濃度は4.77倍

セルトラリン(ジェイゾロフト)を
50mg/dayから
100mg/day(2倍)にすると、血中濃度は2.03倍
200mg/day(4倍)にすると、血中濃度は5.01倍

フルボキサミン&セルトラリンについてまとめると次に通り。
投与量を2倍にすると血中濃度はおよそ2倍
投与量を4倍にすると血中濃度はおよそ5倍
ですから、服薬の量と血中濃度は概ね相関します。

ちなみにセルトラリンについて50→100→200mg/dayとなっているのは、海外データだから。日本では100mg/dayまで。 

 

そして、SSRIといったら日本で売れているのがパキシル

パロキセチン(パキシル)を
10mg/dayから
20mg/day(2倍)にすると、血中濃度は3.35倍
40mg/day(4倍)にすると、血中濃度は13.93倍

投与量を2倍にすると血中濃度は3倍以上
投与量を4倍にすると血中濃度は14倍以上に!

パロキセチンは自分を代謝する酵素CYP2D6を自ら阻害するんですね。だから血中濃度が高まると代謝が遅れるんです。強迫性障害では50mg/dayまで処方できますが、その際にはもっと血中濃度があがるのでしょう。

ですから、パロキセチン30mg/dayで効果がみられない患者さんでも、最大投与量(疾患によって30~50mg/day)まで増やすべきなのでしょう。

そして、問題となるのは減薬するとき。ゆっくり減らしたつもりでも、血中濃度はそれ以上に急激に下がります。そこで増悪しやすいのが要注意ですね。

SSRIについての記事は下記のものがあります。
SSRI+スルピリド

http://pshycho-memomemo.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/ssri_f191.html
妊娠中のSSRI
http://pshycho-memomemo.cocolog-nifty.com/blog/2006/02/ssri_684a.html

パロキセチン(パキシル)については下記の記事もあります。
パキシルを強迫性障害に

http://pshycho-memomemo.cocolog-nifty.com/blog/2006/02/post_d535.html
小児用パキシル?
http://pshycho-memomemo.cocolog-nifty.com/blog/2006/02/post_f878.html

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2007年7月 1日 (日)

十分な抗うつ薬を

2002年来の長期に渡るうつ病の患者さん(40歳女性)。それはもう何年も、抑うつ状態が続いてました。気分は晴れず、物事を楽しめず、意欲が湧かず。主婦ではありますが家事もままならず家族に頼らざるをえない毎日。ルボックス(一般名はフルボキサミン。デプロメールと一緒)50mg/日による治療が続けられていました。

ちょっとしたきっかけで私の外来で治療を始めました。したことはルボックスを75mg/日に、さらに100mg/日に増量。それだけで、明らかな改善!表情は明るくなり、家事も難なくこなせるようになったと言います。それを見て、家族も嬉しそうにしているとのこと。


うつ病が抗うつ薬で良くなりました!という記事ではありません。抗うつ薬が効くのは当たり前。

中途半端な量で治療が続けられている遷延性のうつ病の患者さんが世の中に沢山いるものです。医者が中途半端な量しか処方しなかったり、患者さんが中途半端な量しか飲んでいなかったり。

遷延性のうつ病の治療について「抗うつ薬を、十分な量で十分な期間使いましょう」とよく語られます。その「十分な量」の必要性を改めて感じさせられた症例でした。もっと早くルボックスを100mg/日に増やしていれば、もっと早くハッピーになれたものを……と思わずにはいられません(・_・)

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