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2007年8月31日 (金)

妊婦とSSRI

妊娠中のうつ病治療について、いくつか論文を読んでみたので、それをメモメモ〆(・_・

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■妊娠うつ病
 アメリカでの調査では妊娠うつ病が6.5~12.9%に生じると報告されており、決して珍しいものではありません。

 妊娠中の薬物治療には催奇形性の危険性があります。しかし、うつ病を妊娠中に治療しないことは、産後うつ病との関連性や、新生児の早産・低出生体重児などの影響が指摘されています。

 ですから、考え無しに薬物知慮を続けるのは問題ですし、闇雲に薬を避けるのも問題です。その辺りを踏まえてうつ病の治療について慎重に検討する必要があります。

■妊娠の前半について
 先天性奇形発生率はアメリカでの調査では約3%と報告されています。特にパロキセチン(パキシル、SSRIの一種)について催奇形性の程度について調査されており、妊娠の初期14週までにパロキセチンを用いると率が約2倍に上がり、中でも心室中隔欠損が最多と報告されています。

■妊娠後半について
 一般的に、1000人の出生児に1~2人程度の率で遷延性肺高血圧(PPHN)というが生じます。これは右心負荷をもたらし心不全に至りうる疾患です。SSRIを妊娠20週以降に服用する事で児に遷延性肺高血が生じる率が1%程度に増加すると言われています。
 妊娠の20週以前にSSRIを服用した場合や、SNRIなどの他の抗うつ薬を服用した際には、遷延性肺高血圧の増加は確認されていません。

■SSRIと新生児
 妊娠後期にSSRIを使用した母親から出生した新生児に、易刺激性不穏神経過敏振戦筋緊張低下/硬直呼吸障害哺乳障害などが出ることがあると報告されています。ですから、出産の直後は注意深い観察が必要であり、殆どは1~2週間で改善すると言われています。

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この様な内容をプリントにして、外来でいつでも患者さんに示せるように準備してみました。そして、患者さんと一緒に治療について考えられるといいですね(^-^)

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2007年8月22日 (水)

SSRIでの体重増加

少し前になりますが、ファイザーの講演会でセルトラリンについて聞きました。

パロキセチン(パキシル)での治療中に体重増加が認められることがあります。しかしセルトラリン(ジェイゾロフト)やフルオキセチン(日本未発売)では体重増加が殆ど認められない、とのこと。

講演会で紹介されたのはアメリカでの研究結果。各種抗うつ薬のSSRI3種で26~32週間の治療を行った際、7%以上の体重増加が見られた率を比べてみたとのこと。結果、体重増加が見られたのは……パロキセチンで25.5%フルオキセチンで6.8%、セルトラリンで4.2%

パロキセチンで体重が増加しちゃう患者さんって、そんなに言うほどはいません。でも、確かにいくらかいます。そんなことを考えるとセルトラリンを優先させるのもひとつの考えですね(^-^)

ミルナシプラン(トレドミン)で太ったという話もあまり聞きません。こんど、データを知る機会があったら聞いてみよ♪

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2007年8月18日 (土)

アドヒアランスの5要素

今年のCNSフォーラムの大きなテーマとして挙げられていたのが「アドヒアランスをいかに向上させるか」ということ。様々な講演者により様々な面でアドヒアランスについて語られていました。

そんな中、Dr.W.Wolfgang Fleischhackerは次の様なことを話していました。

アドヒアランスの良し悪しを左右する要素として、次の5つがあるとのこと。

病気: 病気による思考力の低下や生活の乱れ、病識の低下などが考えられます

治療: 治療効果を本人が感じられるか、副作用の強弱、服薬の負担の多少などが考えられます

環境: 薬物治療に対する周囲の理解、通院や服薬がしやすい環境の有無などが考えられます

患者: 性格や生活パターンなどが考えられます

治療者: 病気および薬物治療についての情報を与えているのか、患者との関係は良好か、などが考えられます

これからすると、アドヒアランスを改善させるためにすべきことは沢山考えられます。本人への生活指導周囲への働きかけ本人が有効性を感じられる薬を使うこと、そして副作用を減らす工夫一日の服薬回数を減らすこと……等々。

これを聞いてさらに考えたことがあります。患者と良い関係を築きやすい治療者としての自分を磨くことも大切なハズ。そして、様々な情報を患者さんやその周囲の人に伝えるためのプレゼンテーション能力の向上も大切だと思いました。そして、信頼に足る専門知識を地道に身につけることがアドヒアラナス向上につながるのだろうと。

うん、頑張ろo(・_・)o

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2007年8月13日 (月)

精神運動興奮にゾテピン(?)

統合失調症の精神運動興奮を抑えるのに、ベンゾジアゼピンバルプロ酸が用いられます。

しかし、ベンゾジアゼピンは物足りない印象がありますし、長期的な使用は避けたいところですし、長期的な効果はあまり期待できません。そして、バルプロ酸も有効ではありますが長期的な効果は期待できないとのこと。

じゃあ、何を使ったらいいのか。かなり困った問題です。

今のところ「コレが正解!」と断言できる答えはありません。そんな中、聖マリアンナ大学の宮本先生はゾテピン(ロドピン)を用いているというのを以前に聞きました。

ゾテピンは攻撃性を抑える力に長けており、SDAと言う事もできます。他の定型抗精神病薬に比べると、SDAが中心の今の治療で邪魔にはなりづらいかもしれませんね。そうは言っても従来型であることは否めません。

といっても、ホント難しい問題です(-_-;

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2007年8月10日 (金)

抑うつの尺度"BDI"

抑うつ状態の尺度として、代表的なスケールであるベック抑うつ質問票BDI)。昔から使われ続けているものです。これを最近、今の病院の外来で使い始めました♪

これは患者さん自身が丸をつける自己記入式。丸をつけた項目の点数を足し算して評価します。

「BDI.pdf」をダウンロード

ネットで自分をチェックするなら「げんのうつ病闘病記>抑うつ度チェック」でできます。

高血圧で外来に通っている人が、自宅で計測した血圧の記録を医者に見せることがあります。糖尿病で通っている人だって、自宅で測定した血糖値を医者に報告して薬物療法の調整をしてもらうもの。ってことは……

うつ病で通院中の人が、あらかじめ自宅でBDISASSを計算して外来で報告するのも有用かもしれませんね(^-^)

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2007年8月 5日 (日)

抑うつの尺度"SASS"

以前から耳にしていた、そしてCNSフォーラム(2007)で紹介されたSASS(social adaptation self-evaluation scale)を診療で使い始めました。これはうつ病を主とした抑うつ状態を評価する尺度のひとつ。

抑うつ状態の尺度としてHAM-DやBDIが有名ですが、これらで十分に抑うつ状態が改善しても社会復帰が困難なことがあります。SASSでは抑うつ状態が寛解に至り、社会復帰を目指すまでを評価できるとのこと。

患者さん自身が丸をつける自己記入式。丸をつけたら、あとは足し算して評価します。

35以上が正常とされていますが、他の医者や看護師でも35前後の人は多いもの。ですから、その数字にこだわるよりも経過を見るのが有用じゃないかと思っています。

ってなわけで、これまで外来で質問紙を使ってきませんでしたが、先日から外来でSASSを使い始めました。外来で待っている間に書いてもらうシステムです。これからの変化が楽しみです♪

「SASS.pdf」をダウンロード 

皆様もよろしければ、使ってみて下さい(^-^/

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2007年8月 1日 (水)

リス液は苦いのか?

今年のCNSフォーラムでは知り合いの医師と協力して多施設共同研究「Risperidone内溶液に関する検討 -飲み心地を中心として-」をポスターで発表しました。今回のメインのテーマは「リスパダール液は苦いのか?」ということ。そこについて、ちょっとご紹介。

リスパダール液を服用している入院・外来の患者さん89人にアンケートで聞いてみました。希釈での内服が58.4%、原液での内服が41.6%。そんな中、服薬している皆さんはどう感じているのでしょうか。

Os_bitterness_2苦いけどOK……51.7% (46例)

苦くない……38.2% (34例)

苦い……10.1% (9例)

という結果でした。

医師はついつい先回りして「苦いから嫌がられるのではないか」などと考えがち。確かにいくらか苦い様ですが、それでも「大丈夫」という結果でした。

患者が求めているのは「おいしい薬」ではなくて「効く薬」だということでしょうか(^-^;

Dr.の方は、詳細についてはヤンセンファーマのMRさんに資料を求めてみて下さい。

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