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2008年3月26日 (水)

慢性疼痛に抗うつ薬

慢性疼痛薬物療法について辻敬一郎先生の論文を読んだ続きです。その中では、うつ病慢性疼痛の合併が多いことが注目されていました。

WHOが1998年に行った調査によれば、精神障害有病率が、慢性疼痛を持つ患者群では、慢性疼痛の無い患者群の4倍だったとか。その中でも「うつ病」との関連が強いことが知られています。

うつ病と慢性疼痛って合併することが多くて、どちらも抗うつ薬で治療されることがあって……関連が深いものなんですね。

慢性疼痛に対する治療薬として、抗うつ薬がしばしば用いられます。よく慢性疼痛がうつ病と合併することが多いことから、抗うつ薬が有効なのは、なんとなく分かる気がします。しかし、これは「うつ病が治る→疼痛が治る」というものではないようです。

 うつ病がない慢性疼痛でも抗うつ薬は有効といいます。また、抗うつ薬でうつ病が治る前から慢性疼痛が止まることがあると言い、私もそんな患者さんを診た経験があります。

 疼痛抑制機能として次の2つがあると言われています。

脊椎後角抑制系
 脊椎後角にある膠様質と呼ばれる神経機構が関与して、痛覚情報の伝達や遮断を行うというもの。

下行性抑制系
 ノルアドレナリンセロトニン等のモノアミンやエンドルフィンが関与しています。

 今回、抗うつ薬が作用するのは下行性抑制系。セロトニンとノルアドレナリンにより疼痛の抑制が得られると考えられます。

 セロトニンに作用するparoxetineと、ノルアドレナリンに作用するthionisoxetineは各々疼痛に対して有効です。しかしそれ以上に、両方を併用した方がより強い鎮痛効果が認められた、とのこと。

SNRIが疼痛性障害に薦められているのはそーいうことか。なるほど(・_・)

 SNRIと言えば、今のところはミルナシプラントレドミン)。そしてSNRIじゃなくても、古い抗うつ薬の中でもイミプラミン(イミドール、トフラニール)、アミトリプチリン(トリプタノール)、クロミプラミン(アナフラニール)には鎮痛効果があると言われており、これらはセロトニンだけでなくノルアドレナリンにも作用するのだとか。なるほど。

しばしば慢性疼痛は治療に苦心するもの。でも、ポイントをきっちり押さえて治療していけば、より多くの患者さんを治せるかもしれませんね(^-^)


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コメント

こんにちは!(今日は久しぶりに丸1日休暇でした♪)
慢性疼痛とうつ病の合併は結構あるんですねぇ。〈( ..)φメモメモ〉うつ病の身体症状として慢性疼痛があるのか、または痛みが取れなくてうつ症状が出てくるのか…。う~ん、発症のプロセスが分からないです(-_-;)
疼痛抑制機能の説明、久々に思い出しました。(^v^)大学の教授の専門分野で授業で熱く語っていたものです。そうそう、"thionisoxetine"って日本で使われてます?はたまた基本の化学物質でしょうか?(勉強不足バレバレですね(^_^;))一応ググってみたら確かにpain-controlの文献がたくさん出てきました。(読めば分かるのかもしれないですが原文だから理解するのに時間かかりそう…)
適応外使用の場合、厳密に処方する場合は自費処方の扱いになるんですが、そこはDr.の一筆でうま~く保険が通るようにしているみたいです(*^_^*)クスリの説明文には適応症がメインで入ってしまうので適応外での処方の場合は、特に説明に気をつけたいと思いますのでヨロシクお願いします

投稿: cat×cat | 2008年3月26日 (水) 17:35

うつ病と疼痛の因果関係については、イロイロと考えられます。今のところ「こうだ!」という見解は無く、そして一つなわけでも無さそうです。ですから「うつ病で疼痛が出る場合もあるし、疼痛でうつ病になることもあるだろうし、同時に併発しただけかもしれないし」というところです。
thionisoxetineは日本にありませんし、入ってくるという話もありません。まぁ、日本だったらトレドミンを使いましょう、ってことでしょうね(^-^)

投稿: satoru | 2008年3月27日 (木) 12:44

こんばんは。こちらでは初書き込みです。

疼痛と抗うつ剤、抗てんかん剤の話なのでちらりと書き込みを。
下行性疼痛抑制系へのアタックはかなり効果があると主観で思います。
向精神薬とは違いますが、ノイロトロピンという選択肢も。
ノイロトロピンは系そのものを賦活するので併用するとより効果は良いと思います。

自分はFMS患者なのでなのでそのあたりの定石は一渡り使用しました。
ノイロトロピン、ミルナシプラン/ガバペチンあたりが第一選択のようです。
ただ、FMSはどの科が診るのか曖昧な所があって、Dr.によっては向精神薬は不得手だったりするようです(絶対量が足りないことが多い)
ガバペンチンはレセ上の扱いが難しいので、クロナゼパムなどが便利で効きも良いです。

抗うつ剤は確かによく効くと思います。SNRIより三環四環の方が効きが良いと思います。
SNRIなどは副作用のバランスなどをみても無難にまとまっていると思います。自分はノルアドレナリンの方の比率が高い方が調子が良いようなので、イミプラミンとマプロリプチンあたりです。デシプラミン(パートフラン)がまだあれば良かったのになー、と販売中止が悔やまれるところです。

自分の積んでいる量はちょいと多いみたいですし、効きの主観は人それぞれみたいです。
効く薬があるだけマシなのかもしれません。

投稿: | 2009年7月15日 (水) 01:49

さすがですね〜。詳しいですね〜
なかなか簡単に治ることが少ない病気ですから、試みるべき様々な手を知っていたいものです。
ご自身で勉強された情報、ありがとうございました(^-^/

投稿: satoru | 2009年7月15日 (水) 07:32

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