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2008年4月30日 (水)

同調の3パターン

薬物療法とは……

×「適切な薬を処方することである」

処方することが薬物療法だと思ってる医師が多いもの。もちろん適切な薬剤を処方することは大切です。しかし、それは薬物治療の一部にしかすぎません。患者さんが処方された薬剤を「服用」して初めて薬物療法が成り立つものです。でしょ?でしょ?

このとき、患者さんを医師の指示に「同調」させる必要があります。そして同調できるように誘導する必要があります。そこも含めて薬物療法なのです。

さて、この同調。これには3つのタイプがあります。

1) 屈従的な同調
相手に認めてもらいたいから飲む、ということ。「飲めと言われたから飲む」「飲まないと怒られるから飲む」というレベル。

2) 同一化による同調
指示した人に魅力を感じたときに、その人の考えや行動を取り入れるというもの。「あの先生が言うんだから飲んでもいいよ♪」てな感じ。

3) 内在化による同調
納得した上で同調するもの。「説明を聞いて必要性が分かったから飲む」というもの。

この3つを比べてみてどうでしょう。

高圧的に言えば薬を飲むかもしれません。1)の「屈従的な同調」がそれです。アドヒアランスというよりは、コンプライアンスを狙うもの。しかし、通院自体が途切れるかもしれませんし、モロい形態と考えられるでしょう。

2)の「同一化による同調」は良好な医師-患者関係があって初めて成り立つもの。1)に比較するとずっと良い形でしょう。患者もより気持ちよく服薬できることでしょう。医師-患者関係が良好だと、プラセボであっても効果が良くなるという報告があります。ですから、薬がより効くかもしれません。ただ、主治医が代わるとモロいのが弱点。

3)の「内在化による同調」が最も目指すべき形態でしょう。本人が利点も欠点も理解した上で服薬することを選択していれば、より確実に服薬が続けられることでしょう。

私としては、3)の内在化が最も目指すべき段階であり、2)の同一化との両方が得られるのがベストではないかと考えています。

この考え方を持って診療に当たると「アドヒアランスが良い」の一語ではなく「この人が薬を飲んでるのはどの段階だろうか」と考えが深まります。さて、医師の皆さんが診ている患者さんはどの段階でしょうね?(^-^)

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2008年4月26日 (土)

一生涯の主治医?

東洋英和女学院の教授&横浜クリニック院長の山田先生の講演を聞いてきました。その講演の中で「統合失調症の患者にとって、一生涯付き合える精神科医との出会いが大切」との言葉がありました。

そのようにできればいいのですが、私なんて転勤が多いもので難しいですね。転勤歴をザッと県単位で書けば「茨城→埼玉→茨城→東京」。これでは一生涯のお付き合いはできません。

そして、医師側だけでなく患者側の事情も変わってきているのではないでしょうか。

統合失調症の「軽症化」が最近では指摘されています。昔と比べて今は、より有効な薬剤より有効に使用されているのでしょう。昔よりも早く治療が始められているのでしょう。「精神分裂病」から「統合失調症」に名前が変わっただけあります。経過がずいぶんと良くりました。軽くなっているのです。

そして軽症になれば、多くの統合失調症の方が結婚したり就職したりします。そうでなくてもアクティブに動ける人が増えているハズ。

そうなると、たとえ主治医が同じ場所にいても、患者さん自身が同じ場所に通えません。患者側の要因で、一人の精神科医と一生涯付き合うことが難しいことが多いハズ。

一生涯のお付き合いが私の仕事だとは思ってません。関われる間にしっかりと治療をし、治療方針を定め、そして私と別れても元気に過ごせるようにすることが仕事だと思ってます。

って、運良く一生涯、良い形で治療が続けられたら素敵なことですけどね(^-^)

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2008年4月22日 (火)

新規型とCYP

薬物の多くはチトクロームP450(CYP450)という酵素によって代謝されます。そして、このCYPは様々な薬剤で阻害されたり誘導されたり。そして、薬剤血中濃度が予定外に上昇したり低下したりしかねません。このCYPには1A22D63A4などの「アイソザイム」と呼ばれるバリエーションがあります。

というわけで、新規型(非定型型)抗精神病薬それぞれを、どのCYPが代謝するかを添付文書の記載をもとにまとめてみました。

  • 1A2:オランザピン
  • 2D6:アリピプラゾール リスペリドン
  • 3A4:アリピプラゾール ペロスピロン クエチアピン

これをメモメモ的に語呂合わせで覚えてみましょう(^-^/

「1人の俺に 2人のアリスで 3パック」

Dr1_6Girl091_6Girl091_6Milk1_3Milk1_3Milk1_3       

A2はオランザピンの
D6はアリピプラゾール+リスペリドンの
A4はPAQロスピロン+リピプラゾール+エチアピンの

なんてどうでしょ(^-^)

ちなみにCYP関連の記事に「CYPで代謝されるもの」「抗うつ薬のCYP阻害作用」がありますので合わせて考えると、診療の助けになることでしょう(^-^/

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2008年4月19日 (土)

統合失調症のDUP

イーライリリーの冊子「MARTA」に、発症してから薬物治療を始めるまでの期間(精神病未治療期間)=Duration of untreated psychosis(以下DUP)についての記事がありました。

統合失調症では、DUPが短い方がいいらしいです。

知ってました。いや、「なんとなく思っていました」が正確でしょうか。しかし、最近ではそれが断言できるだけのエビデンスをもって語られているとのこと。やっぱりそうでしたか。

Crow T.らの報告によれば……
DUP1年未満の患者群と1年以上の患者群とを、2年後の再発率で比較してみた。するとDUPが1年未満の方が優位に再発率が低かった
……とのことでした。

その他の報告でもDUPが1年未満だと、その後の経過がより良いとのこと。

Marshallらが6ヶ月後と12ヶ月後を調べた報告では……
DUPが長いほど臨床症状全体的機能QOL社会機能が悪く、寛解に至りにくい
……とのことでした。

統合失調症は早期に治療を開始した方がいいのは間違いないようです。

そして日本におけるDUPの平均は13~14ヶ月だとか。1年より長いですね。これを短くできないか、というのが最近の話題ですがなかなか難しい様です。

統合失調症が疑われる人が身近にいたら早めに病院に行かせるようにしましょう。そして、統合失調症について一般の方々にも広く知ってもらう努力をした方が良さそうです。機会があれば、どこかで講演してみたいものですね(^-^)

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2008年4月17日 (木)

長谷川式簡易知能スケール

認知症をチェックする簡便な検査として長谷川式簡易知能巣スケールHDS-R)があります。医師がこのスケールを元に患者さんに試験をして点数化するもの。20点以下だと認知症が疑われます。

「HDSR.pdf」をダウンロード

昨年度に勤めてた病院に、その用紙が無かったので作ってみました。もちろん、用紙が無くても普通に実施できる検査です。でも、あった方が楽かな、と思って作ってみました。もしよろしければ、皆様もどうぞ(^-^/

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2008年4月13日 (日)

空腹×ルーラン=駄目

今まで、ペロスピロン(ルーラン)をときに処方することがありました。しかし、間違った使い方をしていたことに気づきました。

Lullan_burger_2 食後投与が原則だそうです。

いかん、眠前に処方していた人がいたな~。勉強不足でした。失敗(>_<;

添付文書をきちんと読むと、これまでの新規型抗精神病薬とは違って「食後」であることが指定されています。さらに読むと、食後の服用により空腹時の1.6~2.4倍の血中濃度になるのだとか。逆に言えば、空腹時に服用すると半分しか効かないことに。

私は抗精神病薬を眠前に処方することが多いです。というのは……
1) 抗精神病薬は大なり小なり眠気を生じることが多いもの。日中ならそれが短所になります。そして、それが眠前なら長所になります。
2) 昼食後や夕食後に比べて、眠前の服薬は生活パターンに組み込みやすい人が多いものです。

それが、ペロスピロンでは使えないんですね。今更になって知りました。なんとも恥ずかしい(-_-;

確か、これから発売されるブロナンセリン(ロナセン)も空腹時がダメだったハズ。う~ん……(x_x;

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2008年4月11日 (金)

物質依存の診断基準

新しく勤め始めた病院ではアルコール依存症(や薬物依存)の患者さんが沢山います。DSM-IVでは「物質依存」とひとまとめにされています。というわけで、この診断基準を覚えることにしました。正確さを犠牲にしつつ、ザッと短い言葉にしてしまいますのでご了承下さい。

1) 耐性。物質により望む効果を得るのに以前より沢山の量が必要になる。あるいは、同じ量を使っても以前より効果が減弱

2) 離脱。離脱症候群が生じる。あるいは離脱症状を避けるために物質を使う。

3) 使用期間頻度の増加

4) 止めよう、減らそうとしても止まらないし減らせない

5) その物質を得るための時間や使用する時間、そして回復する時間といった物質使用に費やす時間が増加

6) その物質のために社会的職業的または娯楽的な活動が障害されている。

7) 精神的な問題や身体的な問題が生じているのに物質使用を続ける

 

これをメモメモ式に語呂合わせで覚えてみたいと思います♪

Photo_3 「酒に耐え、沢山の釈迦が解脱して、時はノンストップ!ノンストップ!」

う~ん、意味不明ですね(^-^;

酒に : アルコール依存などの診断基準

  1. 耐え : 耐性
  2. 沢山の : 量や期間、頻度の増加
  3. 釈迦が : 社会的な障害
  4. 解脱 : 離脱症候群
  5. 時は : 物質に費やす時間の増大
  6. ノンストップ : 止めようと思っても止まらない
  7. ノンストップ : 止めるべきなのに止まらない

さて、覚えることができたでしょうか。これで、同じ依存症の方を見るのにも、頭を整理して把握できそうです(^-^)

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2008年4月 8日 (火)

BPSDに抑肝散

 認知症では記憶の障害が主ではありますが、それに伴い興奮や攻撃性、幻覚、不安、抑うつなどがみられることがあります。これは周辺症状(BPSD)と呼ばれ、本人と家族にとって大きな問題になります。

 そのBPSDへの対症療法として様々な薬が使われてきました。

・新規抗精神病薬を少量
・バルプロ酸(デパケン)を数十mg/day程度の少量
・タンドスピロン(セディール)
・抑肝散

 今日はツムラの方が病院に来たので、ちょっと教えてもらいました。

 抑肝散セロトニン受容体を抑制、そしてグルタミンの上昇を抑制により認知症の周辺症状を抑える、とのこと。周辺症状のうち、特に興奮や焦燥感、攻撃性を治療するのに良いとか。

 認知症は当然、高齢の方に多く、薬で副作用が出やすいものです。その点、漢方薬は副作用が少ないと思われ、大いに期待できるかと。今まであまり処方してませんでしたが、周辺症状に困っている認知症の方に処方し始めてみました。すると……非常に良く効く方がいますね~(^-^)

 私は認知症については詳しくなく、プシコ・メモメモで初の認知症についての記事になりました。これから、少しずつ扱っていきたいと思います。そして、漢方薬が扱われたのも初めて。初めてずくしの記事でした~

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2008年4月 4日 (金)

ベンゾジアゼピン受容体

睡眠薬抗不安薬の多くはベンゾジアゼピン(BZD)と呼ばれる一群。BZD受容体に作用して効果を現します。そして、そのBZD受容体にはω(オメガ)1~3の3つのサブタイプが存在します。その中でも主に作用するのは1と2。そのどれに作用するかで効果の差が生じます。

というわけで、ω1と2についてメモメモ。

ω1
催眠鎮静、抗けいれん作用が生じます。小脳に多く分布しています。

ω2
筋弛緩抗不安、抗けいれん作用が生じます。
脊髄や海馬に多く分布しています。

まとめて言えば「1が眠り、2が不安」ということでしょうか。

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