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2008年6月16日 (月)

水中毒

統合失調症の患者で水中毒に陥る人がいます。多量の飲水によるものです。多量というのも5リットルや10リットル、場合によってはそれ以上!

すると低ナトリウム血症に陥り、脳浮腫が生じ、傾眠昏睡けいれん等の症状が出現し、ひどい場合にはに至ることもあります。統合失調症では水の飲みすぎには要注意です。

「多飲水、水中毒と新しい抗精神病薬治療」という文献を読んでみました。

水中毒がなぜ起こるのでしょうか。

1) 精神病そのものの影響
急性増悪期や病状が遷延した重症症例に多飲水がしばしば生じることが指摘し、統合失調症自体と多飲水の関連の可能性が考えられます。

2) D2受容体遮断の影響
慢性的なD2受容体遮断アンジオテンシンIIが増加→視床下部の口渇中枢に影響→多飲水
という流れが考えられます。

3) 抗コリン作用の影響
低力価抗精神病薬抗パーキンソン薬抗コリン作用口渇をもたらし、多飲水をもたらしていることが考えられます。

これらから考えてみると、多飲水を減らすには……
1)統合失調症自体をしっかり治療
2)抗精神病薬を過度に用いず適切な量に調節する
3)なるべく抗コリン作用のある薬を使わない
……ということが考えられます。言うは易し、行うは難し(-_-;

 

また、多飲水に対する薬物療法として次のものが考えられるといいます。

・多飲水から水中毒に進展するのを防ぐのに、炭酸リチウムフェニトインには有効かもしれない
・多飲水を抑制するのにβ遮断薬ACE阻害薬等が有効かもしれない

いったい本当に有効かどうかは分かりません。しかし、水中毒は難治であることが多く、祈るような気持ちで処方する医者がいるのでしょうね。


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コメント

こんばんは。

数年前に精神科門前の薬局で働く薬剤師の服薬指導発表の中で「水中毒」いう言葉を聞いたのが初めてでした。当時、抗コリンによる口渇由来とだけしか思わなかったのですが、精神病そのものも関わっているとは。勉強になりました!そして水中毒は、場合によってはどんな人にも起こりうる病気であることも分かりました。これからの季節、暑くなって水分補給が大切になる時期ですから水の量だけでなく質(ミネラルバランスなど)にも気を配りたいですね。

投稿: cat×cat | 2008年6月22日 (日) 21:50

水中毒については、口渇だけでなく様々な要素が絡んでいると考えられています。難しいものなんですよ(>_<;
ポカリスエットの類を飲んでもらえば、ナトリウムは下がりませんが糖分が過量になっちゃうし……水分摂取がメインですよね~

投稿: satoru | 2008年6月23日 (月) 13:07

ほんと、難治ですよね。

患者さんもどれくらい理解してるんだろうと思います。

「これ以上飲んだら危険」って理解してるのかなぁって。「飲みたいから飲む。」だけなんじゃないだろうかと。

きちんと危険理解して飲んでる方は大変ですよね。命の危険性わかってても抑えられない。不安も。しかも看護師とか医師に注意受けるし、繰り返すし。 そう考えると優しくしなきゃ。と思いつつも、ついつい「なにしてるんですか!」ってなっちゃいます。 

個室が多いなら入ってもらうのが一番本人も私たちも安心できますが。うちには少なすぎです・・・。

難しい。

投稿: neko | 2008年6月28日 (土) 22:25

水中毒って、そのときは個室対応しかありませんよね。しかし、個室対応は水中毒からの回復にはいいんですけど、いつまでも個室を占拠されても困るし……根本解決は難しいもの。
せめて抗コリン作用が多い薬剤の大量処方を日頃から避ける努力が必要なのでしょうね(-_-;

投稿: satoru | 2008年6月28日 (土) 23:06

はじめまして。
「統合失調症」「水中毒」で検索していたところこちらのブログにたどり着きました。

まさに妻の症状がこちらに書かれている症状で、一日に10リットル以上も水・お茶を飲んでしまう日が数日間続いています。

一日中そばに居ることも出来ないので、少しでも緩和できることがあればと思い、書き込みさせていただきました。

良いアドバイスが頂ければ幸いです。

投稿: honda | 2008年9月 3日 (水) 23:07

>hondaさん
 初めまして。ご家族が水中毒でしたか。これは非常に難しい問題でして「こうしたらいいですよ♪」というお答がありません。
 記事に書いた内容の他は、飲水量を自覚できるように、そして客観的にも明確になるように量をグラフにつけて頂いたり、飲む代わりに氷を口に含んで頂いたりはします。いずれも決定力はありませが、しないよりはマシでしょう。
 何か面白いアイデアがございましたら、こちらででもご報告下さいませ(^-^)

投稿: satoru | 2008年9月 8日 (月) 13:53

はじめまして
私は統合失調症で水中毒です。一日に水分(主にコーラ)を3~9リットル飲みます。時々意識がもうろうとなることがあるのですが一向にやめることが出来ません。脳浮腫になると拝見しましたが、記憶障害や注意力障害にもなるのでしょうか?
薬はエビリファイ24mmとアモキサン100mm/dayを飲んでいます。

投稿: こうすけ | 2008年11月28日 (金) 18:54

こうすけさん、はじめまして。3リットルならともかく、9リットルはあまりに多すぎますね~。実際に意識障害が軽度ながら生じているようですから。脳浮腫が生じているということは、脳神経に良い訳がありません。直接的には語られていませんが、記憶や注意に対して影響はあるハズ。せっかくの、ひとつしかない「脳」ですから、大切にして下さいね(^-^)

投稿: satoru | 2008年11月28日 (金) 20:23

ありがとうございます。
今度こそ克服できそうです。
頑張ります。

投稿: こうすけ | 2008年11月28日 (金) 20:38

30代です。平均16リットルは飲んでます。
16歳ころから睡眠薬を服用。
最初はアモバン。現在はハルシオン0.25mg×2、サイレース1mg、べゲタミン(AだったりBだったり)、ウインタミン25mg。
先週、先生にジェイゾロフト25mgを減らされました。
 水中毒?もっともらしいことを言われましたが、冗談か大げさに言ってるにすぎない…と思っていましたが実在するんですね。しかも根源的な治療方法がないのは困った。
母も老齢です。自分が負担になるのは解ってる。薬代も出してもらってます。最悪だ。
入院治療なんて夢物語です。金がない。精神疾患を根性論で済ませようというのもおかしい。
なんか、看護師、薬剤師っぽい人の書き込みは入院できる人への措置。心配してくれるだけでも勇気が出そうでうらやましい。

自分はいつも独りです。

投稿: 佐々木 | 2009年8月17日 (月) 19:18

>佐々木さん
16リットルはいけませんね。これはヤバいです。水中毒と聞いて「冗談か大袈裟」と思う気持ちは分かります。だって水ですものね。
でも、量が量になるとヤバイです。
入院治療ができずとも、自分で水を減らせるように、もっと健康になれるように頑張って下さいね(^-^)

投稿: satoru | 2009年8月21日 (金) 20:51

どう頑張ればいいかわかりません。
人と話してると比較的ですが、少しは抑えられます。けど、僕はいつも1人です。
家族は「話しかけんな」みたいな感じです。
自分がいつ死ぬとも分からないと今まで目指していた資格の勉強もできません。トイレは早いと15分で行きたくなるし…。集中力は分断。
恐怖を感じるとますます水分摂取が増えます。薬を減らしたことに効果を見いだせません。受診の際はいつも2リットルのペットボトルを持ってたのに先月に言われても…。
自分の先生が知らなかったのでしょうか?かなり長いこと通院してたんだけどなぁ。

投稿: 佐々木 | 2009年9月 9日 (水) 15:18

佐々木さん、毎日の葛藤、辛そうですね。
ジェイゾロフトは新薬なのですね。
中断してからずいぶんと時間がたちましたが、その後はいかがですか?
中断については先生の考えがおありなのでしょう。
ぜひ、ご自分の状態を伝えて、不明点を直接お聞きになることをお勧めします。
きっと詳しく教えてくださると思います。
医師も、患者からの正しい情報提供で処方を調整するわけですから、詳しく伝えることはとても重要です。
精神科系の処方はとてもデリケート。しかも、効果を判断するのには2週間~1ヶ月かかるそうです。
焦らず、ゆっくり、確実に服薬して経過観察しましょう。

佐々木さんはきちんと服薬コンプライアンスを守っていらっしゃる。素晴らしいです。

私は看護学生で、先日、母性看護で出産に立ち会いました。
そのとき教員に受けた指導の言葉に、
「この実習で皆さんは、人生のスタートに立会いました。一つの命は、必ず誰かに望まれて生まれたもの。そして必ず誰かの力になるものです。人生の終末期を迎えるまで、人はその役割を果たしていきます。それを忘れないでね」という言葉がありました。
私たち学生は、感動して涙を流しながら、一人のみつめて看護する大きな視点を見つけました。

現に、重度障害のある方たちに対する実習では、
彼らにたくさんの温かい心を分けてもらいました。
彼らは仕事もできないし、私たちにねぎらいの言葉をかけるわけでもありませんが、私たちの心は癒されます。それは彼らの能力だし、役割です。

佐々木さんはご家族が「話し掛けるな」と思っているとお感じのようですが、
それはきっと違うのではないのかしら。
「どうしていいのか判らない」のではないかな。
佐々木さんがご自分を責めずに、見つめなおして、
そしてぜひ少しずつでいいので、温かい言葉を掛けて差し上げてください。
最初は何か差し入れて「これ美味しいよ」など軽い一言で良いと思います。
少しずつ雰囲気が緩んでいけば、お互いに気が向き合うのではないかと感じます。

詳しく知りもせず、僭越ですみません。
水中毒を学習中にここに当たり、つい夢中で書き込んじゃいました。

佐々木さん、頑張らなくていいのです。
佐々木さんは充分頑張っていると思います。
あとは、ご自分を少し遠くから見つめて、ゆったり構えてみるのが良いのじゃないかな。
「きっと誰かの力になる」と信じています。
こんなにしっかりと考え、素敵な文章が書ける人は、大丈夫。
少しずつ、周りは開けていきますよ。
絶対一人じゃないです。

投稿: ゆきちゃん | 2009年9月26日 (土) 23:48

>佐々木さん
水を多飲するとトイレは近くなるのは当然ですよね。夜間の失禁だって不安なもの。
頑張り方について、主治医を差し置いて、ここで語れる程単純なものではないのでしょう。
「いつ死ぬとも分からない」というのは、重いお言葉ですね。水分の制限は、ぜひご自分のために頑張って下さい。制限し、水分での脳機能障害を減らせば、より佐々木さんの良いところが引き出せることでしょう。

>ゆきちゃんさん
公開が遅くなり、申し訳ありません。ポイントを押さえたコメントありがとうございます。
患者さん側からすると、飲んだその感触で判断するしかありません。しかし、きちんと質問してみれば、処方の変更には様々な理屈があるもの。それも、長期的なビジョンで。おっしゃる通りだと思います。
そして、医療者として、というよりご自身の経験を通してのお言葉。勉強になります。
またどうぞよろしくお願いしますね(^-^)

投稿: satoru | 2009年10月 2日 (金) 00:05

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