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2008年9月30日 (火)

手首自傷の代用

リストカットをする患者さんがいます。それも繰り返し。ひとつの行為依存(プロセス依存)と言えるでしょう。

リストカットについては様々な考察が行われおり、「緊張弛緩」で説明を試みたものを聞いたことがあります。刃物を手に切ろうとする際の緊張感から、事が終わったあとの弛緩に移行する過程に心地よさを感じてしまうのだろうというもの。

これは梱包用のプチプチをつぶすあの行為も似てます。ギュッと押して圧力が高まったところから、プスッと空気が抜けるあの感覚が共通しています。さらに性的な例を出せば、性的興奮が高まって、そこから開放されるオーガズムにも共通点があると言えるでしょう。

ムゲンプチプチ ホワイト

性的行為は生活を乱す点でリストカットの代用としてはお勧めできません。しかし、梱包用のプチプチだったら、時間もまぎれて代用としてお勧めできそうですね。

私はさらに別のことを提案することがあります。手首に輪ゴムを巻いて、これをググ~ッと引っ張って、パチンッと放すというもの。緊張弛緩が手首で味わえます。リストカットの完全な代用とはいきませんが、試して損はないでしょう。

キョウワ 輪ゴム・100g44.5mm. ♯18-100G

ってなわけで、この間の外来で患者さんに提案してみました。すると……

「そんなことしたら痛いじゃないですか」

……オイオイ、何を面白いことを言ってるんですか。手首を切る人が輪ゴムの痛みに文句をつけるとは(笑

手首を切る際に、いくらか意識を遠のかせる「解離」をしている人がいます。その感覚のためにリストカットを好んでいるとも考えられます。どうせ解離するなら、輪ゴムでしといた方がいいのに。

ですから、以前に治療していた患者さんに、治療が進む中でこんなことを言われたんです。

「最近、手首を切ると痛いんです」

切って痛いのは当たり前でしょ(笑) 治療が進んで解離しなくなったんでしょう。解離せずにちゃんと物事と向き合える方が人間として素敵なこと。応援したくなりますね(^-^)

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2008年9月24日 (水)

精神科専門医の受験申込

日本精神神経学会が認定する専門医受験申し込みを済ませました。ちょっと遅ればせながら、ですね。今は精神科の専門医制度が始まったばかりなので「過渡的措置」という専門医が楽に取れる期間。

5年以内に治療に携わった症例について各2000文字以内で、レポート3つを書いて、面接をパスするだけ。それだけで専門医になれるシステムです。楽チン♪

私のレポートの提出は2009年2月1~28日の間。3つのレポートのうち、2つは既に書いちゃいました♪それも随分と真剣に書き直しまくったもの。そこまで完璧な出来は目指さなくていいハズなのに(^-^;

精神保健指定医のレポートのポイントは、診断や治療についてはそれなりに書けていて、精神保健福祉法に基づいた手続きがバッチリ書かれていること、でしょう。

しかし、専門医はちょっと違いそう。法的手続きは書くだけ文字数の無駄。診断や治療選択の際に何をどう考えたのかが伝わるレポートにする必要があります。指定医のレポートよりも、こっちの方が臨床医として燃えるものがありますよねo(^-^)o

さ~て、レポート各々異なる疾患が良いとされてます。統合失調症とうつ病について書いたけど、残り一つは何にしようかな……強迫性障害?アルコール依存症?探してみたいと思います。

いずれ、ご要望があれば書いたレポートをここに紹介してみても面白いかもしれませんね。もちろんレポートそのものは紹介できませんが、診断や治療の関係した「一部」だけでも、ね(^-^)

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2008年9月22日 (月)

系列内位置効果

 人間の記憶のメカニズムのひとつとして「系列内位置効果」というものがあります。

そんなことがこの本の中で書いてありました。

ダマす人、ダマされる人の心理学 ダマす人、ダマされる人の心理学

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 いくつかの情報があったとき、最初の情報が印象として強くなる傾向があり「初頭効果」と呼ばれます。これは特に話し手が1人のときに有効です。ですから、診察場面で使えそうです。飲むべき薬について話すならば、良い作用は「最初」に言うべきなのでしょうね(^-^)

 また、最後の情報が記憶に残りやすい「新近効果」と呼ばれるものがあります。これは大勢の意見が出る場で有効とのこと。話し合いの場では、最後に出る意見が強くなる傾向にあるといいます。

 せっかく言ったことも相手に伝わらなければ意味がありません。初頭効果や新近効果を意識して話すタイミングをつかめば、より相手に伝わるかもしれませんね。ちょっと意識してみようかな(^-^)

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2008年9月16日 (火)

統合失調症の再発

P-CUBEの記事の中で、統合失調症再発についてRobinsonらの報告が引用されていました。ってなわけで、自分のためにメモメモ。

急性期治療を受けた統合失調症患者の
1年以内に約50%以上が
5年以内に約80%
再発するとあります。

さらに、再発経験者の85%は2回以上再発繰り返しているとのこと。

患者さんに示すために図にしてみました。「saihatu01.pdf」をダウンロード

再発の主な原因はやはりアドヒアランスなのでしょう。そして、再発率の少しでも低い薬剤の選択も大切なのでしょうね(^-^)

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2008年9月10日 (水)

統合失調症を発症前に

先日、新宿で行われた「臨床医のための統合失調症治療実践セミナー」に行ってきました♪  今回のテーマは、統合失調症を明らかな発症に至る前から見つけて治療するためには、といった内容。「ARMS」がキーワードでしょうか。

後に統合失調症になるリスクが高い状態は「At Risk Mental State」略して「ARMS」と呼ばれ、近年注目されています。なぜなら、統合失調症できるだけ早くから治療を始めたほうが、その後の経過が良いからです。

精神病そのものではなく、以下の条件のいずれかが認められるのがARMSです。

微弱陽性症状がある
短期間間歇的精神病症状がある
・家族歴や人格特徴といった精神病になりやすい特性があり、1年以内に30%以上のGAFスコアの低下で示されるような社会的機能低下がある

この様な条件のどれかに該当する人は、近い将来に統合失調症を発症する率が高いといいます。しかし、薬物治療を始めておくと、統合失調症が発症することが殆どなくなるとのこと。これは早期に発見して、治療しておくのが一番得なのでしょう。

しかし、ARMSに至ったからといって、当の本人が精神科を受診しなければ始りません。いったい、どうしたらいいのか。家庭医がARMSについて学ぶことで統合失調症の発症が激減した地域があったイギリスでの報告は非常に興味深いところ。そして、学校で精神病についえ講義しておくことで、ARMSの受診を増やすことができるのではないか、とのアイデアも。

う~ん、高校や中学で精神病の授業をしたいものです(・_・)

この分野は診断にしろ治療にしろ、細かい点で答が出ていな点がまだまだ多く、これからに注目です。

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2008年9月 6日 (土)

カルテ開示?

患者さんのご家族カルテ開示を求められました。別に隠すつもりはありません。そして、ご家族のことを軽んじるつもりもありません。しかし、その方にカルテの内容を理解できるとは到底思えず、お断り致しました。

そのご家族というのは、4歳ぐらいの女の子(笑
患者本人であるハズのお母さんよりも沢山喋るかも。最近は質問をすることを覚えたらしく……
「何してんの~?」
「何、持ってるの~?」
「なんで緑色のペンを使ってるの~?」
「あれ、な~に~?」
「なんで石鹸があるの~?」
「なんで~?」

ひたすら質問の嵐です。

そして、聞かれたのが

「何の字を書いてるの~?」

カルテを書いてたら、そんな質問が飛んできました。その歳にしてカルテ開示を求めますか!カルテ開示はきちんと病院に申請して、審議にかけて、それから開示……になるのかな。

私自身、患者さん自身(+ご家族)に隠すような内容をカルテに書いていないつもりです。基本的に診断や治療について、問題があることまで隠さずに話すようにしてますから。でも「カルテ、今ここで見せてよ」はお断りですね。

……っていうか、カルテ開示はもうちょっと大人になってからがいいと思うな(^-^;

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