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2008年10月25日 (土)

自殺に至る要素

 自殺について、コロンビア大学精神科のJ.John Mannを中心とした座談会についての文献を読んでみたところ……

 自殺をもたらす要素として「ストレス因子」と「患者の持続的な特性」の2つがあるといいます。ほほぉ(・_・)

Stopsuicide21_3  1つ目のストレス因子は、自殺のタイミングに関与するもの。大うつ病急性エピソードや心理社会的危機、精神疾患の悪化などが挙げられます。
 精神的な変調がきっかけで自殺行動が生じるのは明らか。何かの「きっかけ」があるものです。なるほど。

 

そして、2つ目が患者の持続的な特性。これは2つに分類され

1)攻撃的・衝動的特性
 攻撃というのは外に向かえば一般的な周囲への攻撃になりますが、自らに向かえば自傷や自殺行動につながります。また、衝動性は激しい不快感情に基づいて行動化しやすい傾向ですから、自殺行動が生じやすいので当然注意。

2)悲観主義
 生きる意味がないと考えやすく、絶望感につながりやすいもの。主観的な抑うつが重くなりやすく、重篤な自殺念慮とも関連するとのこと。

 

今までは「希死念慮がある?ない?」ぐらいの把握でした。これからは、その要素を分析して把握したいと思います。そうすることで自殺をより防げるのかもしれませんね(^-^)

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2008年10月20日 (月)

HIVと精神症状

先日、つくばアカデミー・オブ・サイカイアトリー(TAP)に参加した際に、国立国際医療センター(戸山病院)の先生の話を聞きました。この病院はHIVの治療が盛んとのこと。

そして、HIV治療中精神症状が出たときその診断が難しいということでした。というのも、HIV脳症では様々な精神症状が起きます。さらに、HIVの治療薬そのものが精神症状を引き起こすことがあるというのです。

ですから、精神症状があっても「HIV脳症だからHIV治療薬で治療を続ける」のか「治療薬の副作用だから治療薬を見直す」のかの判断が必要になります。決定的な鑑別法はなく、経過から推測するしかないのが現状。難しいものなんですね(・_・)

もっと他の可能性も挙がることでしょう。
HIVに感染したことによる精神的な負担もあるでしょう。ですから、それによって抑うつ状態が生じることもあるでしょう。
覚醒剤などの摂取歴がある人であれば、その後遺症で抑うつ状態や幻覚・妄想状態が生じるかもしれません。
さらに難しくなるものですね。

さらに、抗うつ薬HIV治療薬の併用には注意すべき点があるとか。複雑な問題です。

何をどうしていいのか、明確な答えはないようです。ただ、そのような難しさがあることを知っただけ勉強になりました。難しいものですね。

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2008年10月15日 (水)

季節性うつ病の診断

季節気持ちや体に影響を及ぼします。春には浮かれた気分になり、夏には活動的になり、そして秋~冬にはこれまた特有の変化が生じます。

・気持ちが落ち込みやすくなる。もの寂しくなる
おっくうになる。意欲がわかなくなる
食欲が増す体重が増えやすくなる
睡眠時間が増える
などなど。

冬眠する熊もこんな感じなのでしょうか。

程度の差はあれほぼ全ての人に上記の傾向があるものです。しかし、その程度が強い場合は季節性うつ病(Seasonal Affective Disorder,SAD)と呼ばれます。

治療については昨年、記事にしてますので「季節性うつ病」をご覧下さい。「光療法が効きました!」という旨の体験談がコメントとしてついてるのが印象的ですね。

ここで、季節性うつ病を精神医学でよく使われる診断基準、DSM-IVICD-10でどう診断するかについてメモメモ。ちなみに、これらの診断基準については「何の略?DSM-IVとICD-10」をご覧下さい。

DSM-IVでは、「大うつ病性障害、反復性」か「双極IあるいはII型障害」における、大うつ病エピソード季節型(Seasonal Pattern Specifier)をつけることになります。

ICD-10では、「F33.9 反復性うつ病製障害、特定不能のもの」とつけるしかありません。

毎年、秋から冬に落ち込む人も、治療を受けて元気に秋~冬を乗り切ってもらいたいものですね(^-^)

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2008年10月11日 (土)

特別な言葉

診療場面の工夫について、ひとつ気づいたことがあります。今回は特別に皆さんにご紹介したいと思います。

刑務所の実態について特集を組むテレビ番組を見ていると……
「近年、高齢者の受刑者が増加しているという。今回は特別に高齢者刑務所にカメラが入った」
……みたいなナレーション。刑務所の様子はなかなか見る機会がないもの。そりゃあ特別。せっかくだからと見入っていて、ふと思いました。

特別に」と言うけど、テレビで刑務所を扱う以上、取材するのは当然のこと。それを言ったら、どんな特集を組むにせよ、いつも特別にカメラがその現場に入っているものです。

特別性を否定しません。いろいろ交渉やら手続きがあって撮影をしてるのでしょうから。実際には当たり前になりつつある過程の中に特別性は沢山転がっているのでしょう。そこを「特別に」という言葉をつける、興味を持ってありがたく扱う心構えができたのでしょう。

これ、診療場面でも同じことではないでしょうか。

医療者としては当たり前になりつつある治療過程ではありますが、受診する人にとっては全てが特別なのです。ですから、こちらも特別な気持ちを持っていいのかもしれません。

「せっかくですから、今日は『特別に』良い薬を選んで処方しておきましょう」

日常的な診療の中に埋没せずに、ひとりひとりに対して特別な気持ちを持ってみましょうか。もしかしたら、その表現のひとつとして「特別に」を付け加えることで、患者側の受け止め方が変わるかもしれません。

というわけで、この一言を、皆さんにも特別にご紹介いたしました。……って、使いすぎるとイヤミになるので多用は避けましょうかね(^-^;

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2008年10月 5日 (日)

日本はたったの55%

ちらりと次のような数字がRajiv Tandon先生の話の中で出てきました。

統合失調症の治療で用いられる抗精神病薬は、アメリカで92%、イギリスで85%が既に定型薬から非定型薬に置き換えられているとのこと。そして日本はまだ55%なのだとか。

英語で言ってるのを耳にしただけですので、間違ってたらゴメンなさい。その詳しい内容もわかりません。m(_ _)m

それにしても、ほっとけない数字です。まだまだ統合失調症の治療では課題が残されてるな~、と思っているところです。まずは自分の目の前の患者さんから、ですね。

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