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2008年12月29日 (月)

広場恐怖

パニック障害の患者さんを外来でよく診ます。突然に心臓がドキドキして、息苦しくなって、死ぬんじゃないかと不安になって……。

そして「広場恐怖」と呼ばれる症状をしばしば伴います。実際に怖がるのは広い場所ではありません。いわゆる閉所恐怖と言われるような狭い場所、例えばエレベータの中。あるいは圧迫感を感じるような人混み歯科医美容室といった急に逃げられない場所。

外来で診ている患者さんで「電車のドアが閉まると怖い」という人がいました。その人からしたら、電車はドアが開いたままの方がいいのでしょうか(無理

パニック障害の治療薬抗うつ薬です。中でも、最近は副作用が少ないSSRI。適応になってる薬はパロキセチン(パキシル)とセルトラリン(ジェイゾロフト)です。そして、不安を和らげるために抗不安薬を用いることもあります。適応外ですが、他の抗うつ薬のミルナシプランやフルボキサミンだって効きます。

先ほどの例の、電車のドアが閉まると怖い人。SSRIで治療を続ける中、この間の外来でお会いしたら「ドアが閉まっても怖くありません」とのこと。それを聞いて、なんだか嬉しくなりますね(^-^)

別のパニックの患者さんの話を聞いていたら「ケータイ電話電波が届かなくなると怖くなる」と言っていました。「何かあったときに携帯電話で助けを求められない状況」が不安をもたらすのだとか。なんとも今風の症状です。

精神科の病気は、時代によって症状の出方が変わるものです。そんなことをしみじみと感じちゃいました(・_・)

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2008年12月25日 (木)

一昨日の記事の訂正

前の記事のファイルが、リンクのミスで見られないようになってました。当ブログの読者の方にご指摘頂き、発覚。ご指摘ありがとうございます。ってなわけで、修正しておきましたのでご覧頂けたら幸いですm(^_^)m

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2008年12月23日 (火)

やさしい統合失調症HB

統合失調症の疾病教育をする上で、ヤンセンファーマが配布している「やさしい統合失調症ハンドブック」をよく用いています。優しい見た目、そしてポイントを押さえた内容であり、患者さんやご家族が最初に読むのに適していると考えています。

Yasatou 私はよくカルテには「『やさ統』を渡した」なんて略して記載しています(^-^;

そんなハンドブックを渡す上で、ただの流し読みではなく、理解を深めて頂こうと一緒に渡すプリントを作ってみました。

「yasatou.pdf」をダウンロード

早速、一緒に渡してみましたがどうなるかな……。もしございましたら、皆さんのご意見・アイデアをお聞かせ下さい。他のハンドブックについても、少しずつ作ってみるつもりでいます(^-^)

ハンドブックは、ヤンセンファーマの方に依頼すれば手に入るでしょうし、[ヤンセンファーマ>患者さん・一般の皆様>こころのこと>やさしい統合失調症ハンドブック] からダウンロードすることもできます。

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2008年12月18日 (木)

遅発性ジスキネジア

他の病院から紹介されてきた患者さんで、遅発性ジスキネジアが生じていた方がいました。非常に治療が難しい疾患と言われています。おさらいのためにメモメモ。

遅発性ジスキネジアTardive Dyskinesia, TDは、抗精神病薬の副作用として生じうるもののひとつ。抗精神病剤の長期投与によって発現する常同的な不随意運動です。最も多いのが、そしてに多く、手足や体に生じることもあります。

出現すると、これを取ることが難しいもの。むやみに多量の薬を使うことはリスクを高めますし、少しでもリスクを減らす上で非定型抗精神病薬を優先すべきと考えられています。薬物治療において、このリスクを念頭に置いた処方が必要です。

遅発性ジスキネジアが生じる背景には、強いドパミンの機能亢進と、コリン機能低下があると考えられています。

持続的に大量の薬でドパミンが押さえ続けられることで、ドパミン受容体の感受性が亢進するのか受容体の数が増えるかしていると考えられています。

そして、抗精神病薬による副作用を予防しようと抗コリン薬を併用していることが、逆に遅発性ジスキネジアのリスクをわずかながら増やしていると考えられています。

じゃあ、生じてしまった遅発性ジスキネジアに対して何をするのか。抗精神病薬が不要な疾患だったら中止ですし、必要な疾患なら薬の減量あるいは変更。そして、抗コリン作用がある薬は中止することが推奨されています。

さらに、ビタミンEを1600IU/dayや、クロナゼパム(ランドセン、リボトリール)を2~3.5mg/dayによる治療を試みることになるのだとか。電気療法が一時的ながら効果があるという報告もあります。

治療は難しいとされてますが、試みるべき治療は試みたいと思います。さて、どうなるやら。

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2008年12月14日 (日)

うつ病とCOPD

外来に酸素ボンベを持って来ている人がいます。COPD(慢性閉塞性肺疾患)+うつ病の方です。COPDと不安・抑うつの関連性について読んだのでメモメモ。

Tsagarakiらによれば、COPDにおいて、不安・抑うつ症状が生じやすいとのこと。GOLD基準によりCOPDの重症度を評価し、HADSにより不安と抑うつを評価したところ……

GOLDステージ/HADSスコア平均(SD)
I   / 12.2 (8.27)
II  / 17.2 (8.1)
III / 24.5 (8.5)
IV  / 27.3 (9.9)

以上のようにCOPDの重症度不安・抑うつの強さ相関するとのこと。COPDの患者さんを診たら、本人の訴えがなくても不安や抑うつが背景に潜んでいる可能性を考えるべきなのでしょう。

一般身体疾患とうつ病との関連性はイロイロと語られています。少しずつ学んでいきたいところですね(^-^)

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2008年12月 9日 (火)

妄想の訴えが増えたけど

他の病院から紹介されて、私が治療を始めた患者さんがいます。周囲の物に自分へのメッセージを感じてしまう妄想です。

まだまだ薬物療法の余地があると考え、治療にあたりました。まずは、残存する病的体験に対して力があると考えているリスパダールの液剤に変更。そして、本人と相談をしながら徐々に増量しました。

しかし経過を見ると、本人が妄想の訴えが増えんです。母親によれば妄想の話をすることが増えたというのです。

しばらくリスパダール液が効かずに増悪したのではないか、と考えていました。それにしても何かが変だな、と感じていました。

その疑問を本人と母親、各々にぶつけてみまいた。「妄想の話が増えたのは、やっぱり悪くなったからなのか?」と。答えは意外なものでした。

本人によれば、次の通り。
以前には周囲の物に意味を感じてしまうのが当たり前だと思ってたけど、最近になってそれが奇妙だと感じることができるようになったのだと。だから、最近になって話題にするようになった、というものでした。

母親も同様のこと。
以前には、言っても妄想であることを理解しないから話にならなかったけど、最近では妄想について話し合えるだけに改善したのだ、と。

妄想の話が増えたので、増悪したんじゃないかと思いかけてましたが、本当は改善しかけてたんですね。判断を間違うところでした。危ない、危ない。何か変だ、と思ったらちゃんと聞き直してみるものです。

とても印象的な出来事だったので、ちょっとメモメモ(^-^)

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2008年12月 5日 (金)

統合失調症+糖尿病2

統合失調症糖尿病についての、岩手医大の金子先生の講演資料を読んでみました。

統合失調症には糖尿病多いことが以前から言われています。

様々な研究報告では統合失調症患者の2型糖尿病有病率は10~35%であり、一般集団の5.1%と比較して大きい。

それは抗精神病薬を飲むからじゃないかと、な~んとなく考えていました。しかし……

抗精神病薬がこの世界に出現する以前から、統合失調症の患者において耐糖能障害やインスリンへの抵抗性があることが指摘されている。

……とのこと。へぇ~、それはなおさら気をつけなければいけませんね。

以前に「糖尿病+統合失調症」という記事も書いてます。よろしければお読み下さい(^-^/

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2008年12月 2日 (火)

ひきこもり

先日も扱ったChiyoda-Mental-Conferenceでの北の丸クリニックの倉本英彦先生による御講演。

ひきこもり」について最近分かってきていることは……

男女差は特にない。でも女性の方が回復率が高い。だから結果的に男性が目立つ。

1000人に1人程度の頻度

とのこと。これに対してどう対応していくかは、また難しいところですね。

以前、ひきこもりの人のお家に保健所の人とお邪魔したことがあります。

「今は話したくありません」
「なるほど。今は人と話したくないんですか。……ところで、話したくないって、なぜ話したくないの?」
「その理由も話したくありません」
「なるほど、理由も話したくないくらい話したくないんですか。……ところで、なぜ理由も話したくないくらい話したくないの?」

みたいなお話をした覚えがあるな~(^-^

別のケースで、ず~っとひきこもってた男性が、保健所まで来たところでお会いしたことがあります。そのときには「よくいらっしゃいました」という気持ちになりましたし、そのように伝えました。まずは第一歩を踏み出したこと称賛すべきでしょう。

今どこかでひきこもってる人も、保健所でもどこでも第一歩が踏み出せるといいですね(^-^)

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