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2009年3月17日 (火)

EMDR講習会

今月上旬、日本EMDR学会(http://emdr.jp/)が主催するEMDR講習会に行ってきました。今回の場所は神戸。東京の私としてはちょっと遠い。ときに東京で行われることもあるようです。3日間、朝から夕方までEMDRでした。

EMDRというのは、PTSD治療法のひとつです。キョロキョロさせながら、トラウマの場面を想起させるというもの。五円玉をぶら下げてユ~ラユ~ラと揺らすイメージを持つ人も多いことでしょう。EMDRでの眼球運動はすごく早いです。治療者が手を左右に動かし、クライアントがそれを一生懸命に目で追います。

眼球運動は数十秒程度のものを何度も何度も繰り返します。導入から始まり、メインの眼球運動を伴った治療、評価終了という流れ全体では数十分を要します。学会としては90分を推奨。って時間かかるな。

これになぜ効果があるのかはハッキリとは分かっていないようです。でも、結果としてPTSDに対して良い治療成績が挙がっているとのこと。エビデンスは豊富です。

EMDRの治療効果について、様々ながあります。

・PTSDで障害されているワーキングメモリが、眼球運動により改善すると言われています。

REM睡眠時の眼球運動が、右脳から左脳へと情報が送られることに関係し、日中の情報を寝ている間に処理していると言われています。EMDRでは、眼球運動によりその効果を得ているのではないかと考えられます。

・PTSDに至った外傷場面を想起したとき、その「危険な過去」のイメージに没入してしまいがち。しかし、眼球運動をしながらであれば「安全な今」の世界を意識しながら「危険な過去」をイメージすることができ、思考の円滑に進むと考えられます。

・眼球運動自体にリラクゼーション効果があるのではないか

・眼球運動による刺激が「定位反応」を引き起こすと言われています。すなわち、刺激により「ん?何だ?」というように覚醒度が一時的に上昇し、安全を確認して覚醒度が下がるという反応が繰り返されとされています。

……と色々な説があります。全てが本当なのかもしれません。

かつては眼球運動を伴った暴露療法ではないか、すなわち外傷体験を思い出しながらそれに慣れるのを待つだけではないか、と考えられていた様です。しかし、暴露療法とは異なりイメージが次々と移り変わり、思考が進み、ストレスが処理されると考えられており、暴露療法とは違うと考えられています。

見た目は奇妙ですが、なかなか興味深い手法です。学んだからには治療で使ってみようかな。今、私が治療で扱うとしたらシンプルなPTSDでしょう。PTSDと呼ぶほどじゃなくても、心にひっかかったことを残している人の治療に使えます。長期にわたって暴力にさらされ続けたり複数の外傷体験があったり人格的な問題を併せ持っていたりするのは、他に任せた方が良さそうです。

さ~て、今までずっとどうにもならずにいた人が、これで何とかなるといいな(^-^)


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