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2009年3月24日 (火)

ブーメランを避ける

投げたブーメランが返ってきたのをよける、みたいなタイトルになってしまいました。でも、ちょっと違います。

開放病棟の患者さんで、しばしば病棟の外に外出する人がいます。このとき外出できる時間は決まっています。

しかし、そんな患者さんの中に一人、しょっちゅう遅れて帰ってくる方がいました。それまで何度も注意を受けてましたが、改めることがないとのこと。担当ではありませんでしたが、看護師から「遅れて帰ってくるその人に、先生から一言お願いします」な~んてことになっちゃいました。

こんなとき、患者さんを叱りつける医者も多いのではないでしょうか。

心理学に「ブーメラン効果」と呼ばれるものがあります。説得を試みれば試みるほど、相手に逆の効果をもたらすもの。

自由を何らかの方法で制限されたときに反応性に起こる力です。

高圧的な説得、相手に不快感を与えるアプローチブーメラン効果が強まります。「言うことを聞け!」なんて言われたら、言うことを聞きたくなくなる気持ちが生じます。

このブーメラン効果が生じにくいように意識しながら、患者さんに対応してみました。

そもそも相手は随分と年上。医者と患者ではあっても、叱り飛ばして当り前という考えはよくないでしょう。「年下からこんなことを言われるのも嫌かもしれませんが……」とクッションとしての前置きを入れてみました。そして、彼にも気持ちがあるハズですから責めないように気をつけました。

「時間を守るように指示」をする上で、「病棟管理上、時間を守ってもらえると助かる」とした上でお願いしました。また、どう考えても私自身のメンツが絡んでいるのは避けられないこと。しかし、これはブーメラン効果の素であり、要注意。あえて否定せず「私の顔を立ててもらえると助かる」とお願いをしてみました。

すると、その日から病棟に戻る時間を守ってくれるようになったんです♪ その気持ちが嬉しいですね(^-^)

と思って、何日か経ってから感謝を伝えてみました。正しい行動は強化すべきでしょうから。

すると彼はニッコリと、過去の遅刻をわびた上で「時間を守ってみると、看護師も嫌な顔をしないし気持ちいいことが分かりました」と、時間を守る彼なりのメリットを発見したようでした。

時間についての病棟規則を「守る/破る」について、プレッシャーをかけずに、強要せずお願いしてみたことが奏功したのでしょう。「Win-Win」な関係になれたのはホント嬉しいことですね(^-^)

まさに「Win-Win」な関係になれたのは嬉しいことですね(^-^)


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コメント

いつもためになる情報ありがとうございます。これは日常生活のいろんな場面に応用できますね。大変参考になりました。

投稿: ちゃんとさがそう | 2009年3月28日 (土) 07:40

ありがとうございます。この概念は元々、精神科のものではありません。ですから診療だけでなく、日常生活でも意識したいものですよ。対人場面、気をつけることは沢山あるものですね(^-^)

投稿: satoru | 2009年3月29日 (日) 19:40

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