« 2009年7月 | トップページ | 2009年9月 »

2009年8月31日 (月)

アドヒアランスは予測困難

藤田保健衛生大学の藤田先生の講演のメモが出てきたので、ちょっと整理。

近年、統合失調症の再発リスク、その主な原因となるアドヒアランスの低下についてよく語られます。医師が思うより実際のアドヒアランスは低下しがちだといいます。その主なデータは海外のもの。

日本人については、その国民性や社会システムからして、海外と違うのではないかという疑問が生じます。さて、どうなのか。

藤田先生がアドヒアランスを調査した発表をしていました。もちろん日本でのもの。MEMSという、薬の瓶をいつ開閉したのかを記録する装置を用いての研究でした。

退院後を見ると、アドヒアランスが良い患者の割合は、退院後1ヶ月で80%を切る、6ヶ月で60%を切っていました。最初に80%に落ちる中、殆どが最初の一週間に落ちるという話でした。退院直後が特に注意すべきポイントということ。

MEMSで薬瓶の開け閉めが記録されていると、患者としては通常よりも服薬を頑張ったハズ。MEMSで観察されなければ、もっとアドヒアランス不良の割合が多いことでしょう。

その症例を個別に評価すると、その服薬の良し悪しを医師が把握できている割合は限られ、推測に失敗することが多いという内容でした。

また、服薬不良を見つけだすのに、問診よりもDAI-10が有用だと語られていました。自記式なので外来の合間に使うのに負担が少なく、診療における良い指標が得られそうですね。

普段、できるだけ「お薬、飲めてますか?」と聞く様にしてます。そして、皆さん薬を飲めてると思いこんでましたが、その評価は実際には難しい様ですね(・_・;)

| コメント (3) | トラックバック (0)

2009年8月28日 (金)

アドヒアランス低下因子

CNSフォーラムでのOlivares先生の講演で、統合失調症の治療におけるアドヒアランスについて話が出ました。アドヒアランスがより悪くなりやすい因子について調査したとのこと。

違法薬物を主とした物質の乱用がある人だとアドヒアランスが低下する傾向にあったといいます。覚醒剤や麻薬、有機溶剤などの使用に伴い統合失調症を発症する人は少なくなく、その際には注意が必要です。

また、薬剤の反応が良くないとアドヒアランスが悪くなる傾向があります。効いた感じがしないと飲む必要性がピンとこないのでしょうか。薬物によって十分に改善してないと服薬の重要性が理解できないのでしょうか。

そして、認知機能が「高い人」だとアドヒアランスが悪化する傾向にあるといいます。Olivares自身が「意外だった」と言ってましたが、確かにこれは意外です。認知機能が高いと「私の頭は普通だから、薬が無くても大丈夫」と思いがち、ということなのでしょう。注意が必要ですね。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月20日 (木)

統合失調症の"5R"

統合失調症の経過を「5R」で表現したものを耳にしました。よくできていたのでメモメモ。

Exacerbation(悪化)した状態に対して
薬物治療を開始し、
Response(薬物の反応)を得て
Resolution(症状を解消)して
Remission(寛解)に至り
Recovery(回復)する。
しかし、その後うまくいかないと
Relapse(再発)してしまう。

というもの。なるほど、うまいこと言ってます。
医師が治療する中で、どのRに至っているのかを考えるのに有用ですね。ちょっと意識してみたいと思います(^-^)

| コメント (2) | トラックバック (0)

2009年8月14日 (金)

Refeeding Synd.

子どものメンタルヘルス研究会に足を運んだ際、摂食障害の症例発表を聴きました。Refeeding Syndromeが扱われていました。これは、飢餓状態から栄養回復する過程で不整脈や臓器不全が生じ得るもので、突然死のリスクすらあると言います。

起こりやすい要素が4つ紹介されていました。
・BMI<16
・過去3~6ヶ月で15%以上の体重減少
・10日間以上の低栄養状態
・再栄養前の血中リンが低値

これらのうち1つでもあればリスクが高いと考えられるそうです。飢餓状態の人は血液検査の際にリンをよ~くチェックですね。

血中リン値が下がることについて、次のように説明されていました。

低栄養でが十分に供給されず、細胞内糖代謝が低下し、その間にリンが細胞外に出され、そして体外にリンが排出されてしまいます。

再栄養が開始されが回復すると、細胞内糖代謝が回復し、細胞外のリンが細胞内に引き込まれ、そして低リン血症に至ると言います。

再栄養する上で、血中リン値が下がっている様であれ注意が必要です。その際は、リン製剤等でリンを補充しつつ、再栄養のペースを落として血中リン値が戻ってくるのを待つ必要があるようです。

栄養を付加する際に、エンシュアリキッドやラコールなどが用いられますが、エレンタールPはリンを多く含んでいて良いらしいです。

なかなか勉強になりました。これから低栄養状態に陥った方を診たら、低リン血症に注意しようと思いました。忘れないうちにメモメモ〆(・_・

| コメント (0) | トラックバック (2)

2009年8月 9日 (日)

流れのある病歴

現病歴を書く上で大切なことのひとつが、症状の経過を書くことです。いつ、どんな症状が、どんな風に出現し、その後にどうなったのか、を書く必要があります。症状の経過が大切です。

後輩の病歴を読んでいて、その「経過」を書くの意識が感じられないことがあります。
幻聴が出現したのは書かれてるけど、その後にどうなったのか書かれてない。
入院時にあった抑うつ気分意欲減退不眠食欲不振。抑うつ気分と意欲減退が改善して退院したのは書かれてるけど、不眠食欲不振がどうなったのかが分からない。
……なんてことがよくあります。実際、全ては書いてられないことはありますが、意識したいものですよね。

さらによく見るのが「この頃より幻聴が増悪し」……って増悪も何も、それまでに幻聴が出現した記載が無い、だなんてことがよくあります。出現したことが書かれてない症状について「増悪軽快」を語ることはできません。

読んでて「流れ」を感じられる病歴が書けたら、かっこいいですよね~。こんなことを書く以上、自分が頑張らなきゃ。

| コメント (8) | トラックバック (0)

2009年8月 6日 (木)

注射だからこそ

ジョン・ケイン先生の講演中で、経口薬ではなく注射にすることで、より良い効果が得られ、より副作用が少ない点が語られていました。

より良い効果が得られる理由として、潜在する服薬の乱れの問題がコンスタにより解決し、確実な安定した薬物治療が行われるからだと説明していました。

さらに、より良い効果とより副作用について、初回通過効果と呼ばれる肝臓での代謝を注射では避けられること、生物学的利用能(Bioavailability)が注射では上がることを挙げていました。だからより少ない薬より良い効果が得られるし、より少ない薬だからこそ副作用がより少ないのではないか、と。初回通過効果によるロスなく薬剤が効果をもたらすことは大きなメリットです。

一理あります。

しかし、実際にコンスタの臨床における成績が良いことを、まだ十分に説明できてないと思います。ハロペリドールの高容量の点滴や注射が行われるとき、それは多い量にも関わらずEPSが少ないのです。生物学的利用能が上がるだけであれば、EPSはより強く出て当然だと思われます。同じことがリスペリドンでも生じているはず。しかしEPSは少ないんです。注射ならではの、何か別の作用があるハズ。

氏はリスパダールコンスタについてその大きな可能性を語られていました。しかし、彼自身まだコンスタの可能性をUnder-estimateしているように思われます。実際にはもっと大きなものが得られると見込むべきでしょう。

| コメント (4) | トラックバック (1)

2009年8月 1日 (土)

小児精神医療の講習会

お茶の水で開催された東京子どものメンタルヘルス研究会http://tcma.ac/)に行ってきました。って、先月の話。そのノートを見返しつつメモメモ。児童思春期の精神科についての講演でした。

私自身は不得手な分野。私自身が診療に当たることはめったにありません。しかし、この様な機会を活用して少しずつでもADHD発達障害などについての知識や、実際の臨床に当たっている人達の感覚を知ることができたらと思っています。

鳥取大学の小枝達也教授による、5歳児健診についての話を伺いました。乳児1歳半3歳の健診は一般的。しかし、その後は小学校に入る頃まで、異常に気づかれるチャンスがなかなかないもの。そこで鳥取では、5歳で健診をしているのだとか。それまで見逃されていたADHD発達障害、軽度精神発達遅滞などを拾いだすのが目的だとか。これは有意義ですね〜

その話の合間にちょっとした話が出てくるのが、また勉強になります。例えば……

一般的に子どもは、しりとりを覚え、その後にひらがなを覚えるのだとか。しりとりは、単語が個別の音の並びで成り立っていることを覚える遊びだそうです。リンゴで言うなら「り・ん・ご」であること。その最初が「り」であること、最後が「ご」であることを認識して初めてしりとりで遊べるんだそうです。

しかし、自閉症圏の子だとしばしば、順が逆になるそうです。ひらがなを先に覚えて、後にしりとりが可能になることがあるそうです。実践的な知識ですね。

また、健診の中で、20秒間目をつぶらせるテストをするそうです。ただ目をつぶるだけ。しかし、ADHDの子だと、顔をしかめたり膝をひっかき始めたりし始めるそうです。これは自己刺激と呼ばれ、刺激を受け続けないと安定していられないADHDの特性なのだとか。これも使える知識ですね。

最後に紹介されてましたが、学習障害の指導法についてサイトで学べるらしいです。
http://dyslexia-koeda.jp

そんなこんなで私自身にとって、非常に有意義な会でした。ってなわけで、忘れないうちにメモメモ。

| コメント (4) | トラックバック (0)

« 2009年7月 | トップページ | 2009年9月 »