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2009年10月25日 (日)

EMDRを使ってみて

以前、EMDR講習会に行ってきた記事を書きました。トラウマに対する治療法です。PTSDに至るようなものでなくても、生活上の小さなつまづきだったり、それこそ大きな心の傷だったり。様々な傷の処理を助けるもの。本やDVDで身につくものではなく、EMDR学会(http://emdr.jp/)による講習会を要します。

EMDR講習会に行ったあと、様々な人にEMDRによる治療を試みてきました。人の死を目の当たりにした人や性暴力に遭った人、配偶者を亡くして介護が不足してたと後悔する人、自分の容姿に自信を持てない人など。

Eye_2全員に有効だったわけではありません。思うような効果を得られなかった人もいました。EMDRが合わない人だったかもしれません。私の技術不足だったかもしれません。ただ、副作用らしい副作用はなかったように思います。

そして、効果がある人には驚くような効果が得られました。それまでず~っと本人の中で続いていた悩み。それが一回のセッション=1時間程度でググッと変化する場に立ち会うと、ほんと驚かされます。「今まで、こんなこと考えたことなかったのに」と驚く人や、一回のセッションで終わらなくてもさらに続きを求める人や。

ただ、それなりの時間を要するものなので、普段の診療の中でそんなには数をこなせません。もっと、EMDRする人が増えればいいのに。

Book こころの臨床 a・la・carte (第18巻第1号) EMDRーこれは奇跡だろうか?

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2009年10月16日 (金)

精神療法という言葉

精神科では、様々な治療法があります。

薬物療法:薬物で治療します
光療法:光で治療します
作業療法:作業で治療します
集団療法:集団で治療します
家族療法:家族で治療します

精神科における治療について、非常に単純化して書いてみました。要するに「○○療法」と言ったら「○○で治療すること」なのが大抵のこと。

例外が少しあって
認知療法:認知を治療します
珍しく「○○を治療すること」です。

森田療法:森田先生が作った治療法
創始者の名前によるネーミングです。

さて、言いたいのはここから。
主に対話を通しての治療について「精神療法」と呼びます。これって、どういう意味なんでしょう? 精神で治療するわけではありません。「精神を治す」のは本当です。しかし、薬物療法だって何だって、精神科での治療は全て精神を治すものです。これって、いったいどーいう名称なんでしょうね。疑問です。

昔は、薬物療法や電気療法などが無く「精神を治療するといったら対話による治療に決まってるでしょう」ということだったのでしょうかね。これも想像の域を出ません。不思議ですね(・_・)

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2009年10月 9日 (金)

「たり」の使い方

現病歴では、様々な行動について記載することがあります。そんな文章を読んでいて、医学云々の前に「たり」が使えていない人をよく見ます。

というわけで、まずは悪い例。

アルコールが無くなると、大声をあげたり暴力をふるうなどして家族にアルコールの購入を要求するようになった。

たり」は同類の動作や状態を並べて示すために繰り返して使うものです。「シングルたり」は避けましょう。

アルコールが無くなると、大声をあげたり暴力をふるったりして……

ならばOKですね。これって一度知ってしまうと、人の文章が気になりません?ぜひチェックしてみて下さい(^-^/

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2009年10月 2日 (金)

リチウム中毒

双極性障害、いわゆる「躁うつ病」の代表的な治療薬のひとつに炭酸リチウムがあります。炭酸リチウムは、双極性障害の他でも統合失調症等で鎮静を目的に使われたり、鬱病の抗うつ薬による治療の補助療法として用いられることがあります。

この炭酸リチウムを使用する際には、血液検査で有効血中濃度の範囲に入るように調節します。血中濃度が低ければ十分な効果が得られず、血中濃度が高すぎれば中毒を引き起こします。

炭酸リチウム(リーマス)の資料を見てみました。炭酸リチウムを400mgずつ12時間毎に服用し続けた結果、血中濃度が5日で定常濃度に達したとあります。服用開始から1週間程待って血中濃度を測定したいものです。

リチウム中毒を避けるべく、血液検査を繰り返すのですが、希に血中濃度が高くないのに中毒症状が出ることがあります。医師としては「血中濃度は大丈夫なのに」と驚かされます。私自身、経験があります。血中濃度が必ずしも脳内の濃度と相関しないという報告があるので注意です。また、組織に蓄積されるので、ず~っと大丈夫だと思ってたら、いつの間にかに蓄積されて中毒に至ることがあり、これにも注意です。血中濃度は必ず参考にすべき値。しかし過信せず、中毒症状の出現に注意をすべきでしょう。

中毒に至ると、脳については意識障害や記憶障害、小脳失調など、そして他でも筋脱力、消化器症状、甲状腺機能低下などが生じることがあります。リチウムは、血中濃度が下がっても組織に蓄積した分があるので、少し遅れて回復するものらしいです。自験例でも、そんなんだったかな~

そして、最近知りましたが、リチウムを服用しながら電気療法をするのは避けるべきらしいです。電気をかけると脳内のリチウム血中濃度が高くなり、脳でリチウム中毒を引き起こすとのこと。一説には、電気療法で一時的に脳血管関門(BBB)の透過性がアップするんじゃないか、と。電気療法する前には一旦、炭酸リチウムを切るなり減らすなりした方が良さそうですね。

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