慢性疼痛の薬物療法について辻敬一郎先生の論文を読んだ続きです。その中では、うつ病と慢性疼痛の合併が多いことが注目されていました。
WHOが1998年に行った調査によれば、精神障害の有病率が、慢性疼痛を持つ患者群では、慢性疼痛の無い患者群の4倍だったとか。その中でも「うつ病」との関連が強いことが知られています。
うつ病と慢性疼痛って合併することが多くて、どちらも抗うつ薬で治療されることがあって……関連が深いものなんですね。
慢性疼痛に対する治療薬として、抗うつ薬がしばしば用いられます。よく慢性疼痛がうつ病と合併することが多いことから、抗うつ薬が有効なのは、なんとなく分かる気がします。しかし、これは「うつ病が治る→疼痛が治る」というものではないようです。
うつ病がない慢性疼痛でも抗うつ薬は有効といいます。また、抗うつ薬でうつ病が治る前から慢性疼痛が止まることがあると言い、私もそんな患者さんを診た経験があります。
疼痛抑制機能として次の2つがあると言われています。
・脊椎後角抑制系
脊椎後角にある膠様質と呼ばれる神経機構が関与して、痛覚情報の伝達や遮断を行うというもの。
・下行性抑制系
ノルアドレナリンやセロトニン等のモノアミンやエンドルフィンが関与しています。
今回、抗うつ薬が作用するのは下行性抑制系。セロトニンとノルアドレナリンにより疼痛の抑制が得られると考えられます。
セロトニンに作用するparoxetineと、ノルアドレナリンに作用するthionisoxetineは各々疼痛に対して有効です。しかしそれ以上に、両方を併用した方がより強い鎮痛効果が認められた、とのこと。
SNRIが疼痛性障害に薦められているのはそーいうことか。なるほど(・_・)
SNRIと言えば、今のところはミルナシプラン(トレドミン)。そしてSNRIじゃなくても、古い抗うつ薬の中でもイミプラミン(イミドール、トフラニール)、アミトリプチリン(トリプタノール)、クロミプラミン(アナフラニール)には鎮痛効果があると言われており、これらはセロトニンだけでなくノルアドレナリンにも作用するのだとか。なるほど。
しばしば慢性疼痛は治療に苦心するもの。でも、ポイントをきっちり押さえて治療していけば、より多くの患者さんを治せるかもしれませんね(^-^)
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