カテゴリー「心と体」の16件の記事

2009年8月 1日 (土)

小児精神医療の講習会

お茶の水で開催された東京子どものメンタルヘルス研究会http://tcma.ac/)に行ってきました。って、先月の話。そのノートを見返しつつメモメモ。児童思春期の精神科についての講演でした。

私自身は不得手な分野。私自身が診療に当たることはめったにありません。しかし、この様な機会を活用して少しずつでもADHD発達障害などについての知識や、実際の臨床に当たっている人達の感覚を知ることができたらと思っています。

鳥取大学の小枝達也教授による、5歳児健診についての話を伺いました。乳児1歳半3歳の健診は一般的。しかし、その後は小学校に入る頃まで、異常に気づかれるチャンスがなかなかないもの。そこで鳥取では、5歳で健診をしているのだとか。それまで見逃されていたADHD発達障害、軽度精神発達遅滞などを拾いだすのが目的だとか。これは有意義ですね〜

その話の合間にちょっとした話が出てくるのが、また勉強になります。例えば……

一般的に子どもは、しりとりを覚え、その後にひらがなを覚えるのだとか。しりとりは、単語が個別の音の並びで成り立っていることを覚える遊びだそうです。リンゴで言うなら「り・ん・ご」であること。その最初が「り」であること、最後が「ご」であることを認識して初めてしりとりで遊べるんだそうです。

しかし、自閉症圏の子だとしばしば、順が逆になるそうです。ひらがなを先に覚えて、後にしりとりが可能になることがあるそうです。実践的な知識ですね。

また、健診の中で、20秒間目をつぶらせるテストをするそうです。ただ目をつぶるだけ。しかし、ADHDの子だと、顔をしかめたり膝をひっかき始めたりし始めるそうです。これは自己刺激と呼ばれ、刺激を受け続けないと安定していられないADHDの特性なのだとか。これも使える知識ですね。

最後に紹介されてましたが、学習障害の指導法についてサイトで学べるらしいです。
http://dyslexia-koeda.jp

そんなこんなで私自身にとって、非常に有意義な会でした。ってなわけで、忘れないうちにメモメモ。

| コメント (4) | トラックバック (0)

2009年1月25日 (日)

PTSDと自己愛

新宿で開催された第3回トラウマ治療研究会に参加してきました。トラウマというとPTSDがメインになるもの。

戦争での衝撃的な体験の後に精神的な不調に陥る人々、そして被災者犯罪被害者にもPTSDが生じうることが言われてきました。DSM-IVにあるPTSDは主にそのような、危うく死ぬまたは重症を負うような出来事があったものを扱っています。しかし、最近ではトラウマをより広く扱うようになってきているようです。

今回、東京慈恵会医科大学の小野和哉先生の「職場における心的外傷体験」の症例発表を聴きました。その中で扱われていたのが、職場で強い叱責を受けて精神的に不調となった2例。狭い定義ではPTSDには当たらないものでしょう。しかし、職場における自分の存在が危機に陥る衝撃的な体験として、今では広い意味でPTSDととらえることがあるようです。

中で自己愛性人格障害の傾向がある例がありました。この場合のトラウマとは、小野先生によれば「自己が信じる世界観が破壊される体験」とされており、自己愛性人格障害の人は傷つきやすい誇大的な自己像を持ってるがゆえにPTSDになりやすいとのこと。ササッと扱われていて把握しきれませんでしたが、自己愛性人格障害ではPTSDが実際に多かったとする報告もあるとか。

ちょっとこれは覚えておこうかな。メモメモ〆(・_・

| コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月 2日 (火)

ひきこもり

先日も扱ったChiyoda-Mental-Conferenceでの北の丸クリニックの倉本英彦先生による御講演。

ひきこもり」について最近分かってきていることは……

男女差は特にない。でも女性の方が回復率が高い。だから結果的に男性が目立つ。

1000人に1人程度の頻度

とのこと。これに対してどう対応していくかは、また難しいところですね。

以前、ひきこもりの人のお家に保健所の人とお邪魔したことがあります。

「今は話したくありません」
「なるほど。今は人と話したくないんですか。……ところで、話したくないって、なぜ話したくないの?」
「その理由も話したくありません」
「なるほど、理由も話したくないくらい話したくないんですか。……ところで、なぜ理由も話したくないくらい話したくないの?」

みたいなお話をした覚えがあるな~(^-^

別のケースで、ず~っとひきこもってた男性が、保健所まで来たところでお会いしたことがあります。そのときには「よくいらっしゃいました」という気持ちになりましたし、そのように伝えました。まずは第一歩を踏み出したこと称賛すべきでしょう。

今どこかでひきこもってる人も、保健所でもどこでも第一歩が踏み出せるといいですね(^-^)

| コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月29日 (土)

「交代人格=天使」論

Chiyoda-Mental-Conferenceにお邪魔して、東京大学の柴山雅俊先生の解離についての話を聞いてきました。解離性同一性障害、いわゆる「多重人格」について、柴山先生なりの治療について語られていました。

先生の理論では、本人の人格と交代して出てくる「交代人格」は元々、「天使」というべき存在。それが経過の中で悪魔に落ちるているというのです。交代人格に対して、天使に戻るべきだと説明するのだそうです。

1) 患者の「身代わり」としてストレスに対応して患者を救っていた存在である交代人格に感謝

2) 交代人格に「交代して行動すべきではない。アドバイスをするなど交流する程度に抑えて守護すべきである」と伝える

3) 患者は自らの行動に責任を持つべきであり、責任を持つ以上、人格はひとつにするよう指示。アメリカという国で例えるなら、そんなにしょっちゅう大統領が変わってたら成り立たず、大統領は持続的に一人であるべき。

というアプローチだとか。表現が独特ですね。交代人格に、「天使」という良い存在ラべリングをしてしまうことで、本来の良い存在に戻そうとするのは非常に興味深いもの。

解離性人格障害を診ることは、なかなかありません。しかし将来、診ることがあったら参考にしたいものですね。

| コメント (2) | トラックバック (0)

2008年11月26日 (水)

「まなざす私」と「存在者としての私」

Chiyoda-Mental-Conferenceでの、東京大学の柴山雅俊先生のお話の中で、解離について様々な用語が飛び出し、なかなか興味深いものでした。

解離の意識変容の特徴として……

眼差(まなざ)す私:この世から離れて、この世とそこにいる私を見る私
存在者としての私:この世から離れられない私

……の2つに別れることが挙げられると言います。

自らの体から離れて自分を見下ろす体験である「体外離脱体験」は、「眼差す私」の体験と解釈できると言います。

そして、感覚の要素なく人の存在を意識する「実体的意識性」は、眼差す私を欠いた「存在者としての私」の体験と解釈できるとのこと。

実体的意識性は「近位実体的意識性」と「遠位実体的意識性」に分類されます。
近位は、背後や横などであり「眼差す私」を意識している体験だとのこと。ですから、そこにいる人は自分なのだと言います。
そして遠位は、内と外に区切られた境界に人が出現するもの。窓や壁、隣室、二階、玄関など。

へぇ~。「眼差す私」と「存在者としての私」という考え方は、非常に興味深いものです。

そして、過敏症状についても話が出ていました。
気配過敏症状:人がいないところで人を怖がる
対人過敏症状:人がいるところで人を怖がる
と2つに分類できるとのこと。なるほど、納得。

いろいろと勉強になりました。臨床の場で意識しながら、自分の血や肉にしていきたいものですね(^-^)

| コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月23日 (日)

家庭内の暴力の用語

ヤンセンファーマ主催の第2回Chiyoda-Mental-Conferenceにお邪魔してきました。そこで、北の丸クリニックの倉本英彦先生の御講演で、思春期の臨床についてのお話を聞かせて頂きました。

その中で、ちょっと面白いなと思ったのが「家庭における暴力」の用語について。

ドメスティック・バイオレンス(DV)」と言われると、日常的に「夫が妻に暴力」を示しています。ドメスティックは「家族の」ですから、直訳すれば「家庭内の暴力」。家庭内の暴力全般を示す言葉のハズが、夫婦間でのみ使われています。

そして「虐待」。これは主に親が子どもに対して行うもの。今回は思春期がテーマでしたが、介護の場面では老人に対して介護者が行う場合もあります。

家庭内暴力」という言葉は、家庭内の暴力全般を示すハズなのに、日常的には「子どもが親に暴力」というものを意味してしまっています。

なんだか「DV」「家庭内暴力」という言葉は、本来は広い意味の言葉。ちゃんと「夫婦間暴力」や「子→親暴力」みたいな言葉を使うべきなのかもしれませんね。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月 1日 (土)

ちょっとしたアンケート

医療に携わっていて、自分のを大切にしない人にヤキモキすることがあります。タバコ病気の放置など。

そんな中、皆さんにちょっと聞いてみたいことがあります。内容は極めてシンプル。よろしければアンケートにご協力頂けませんか?あっけないほど簡単に、一瞬で終わる内容です。
ぜひ、お願いいたしますm(U_U)m

http://service.cubequery.jp/006520cb

結果は、これからの診察の中ででも使わせて頂くかもしれません(^-^/

| コメント (0) | トラックバック (0)

2008年3月29日 (土)

慢性疼痛に抗てんかん薬

抗てんかん薬慢性疼痛の治療に用いられます。バルプロ酸(デパケン、セレニカ、バレリン、エピレナート、ハイセレニン、セレブ)カルバマゼピン(三叉神経痛に適応あり。テグレトール、レキシン、テレスミン)ガバペンチン(保険適応が狭く、要注意。ガバペン)ゾニサミド(エクセグラン)などが挙げられます。

抗てんかん薬がなぜ効くかというと……

・ナトリウムチャンネルの不応期を延長して、障害を受けた神経の発作性異常放電や過剰興奮を抑制

・GABA受容体に作用して神経伝道を抑制

……という機序で効果を出すとか。ということで、発作的な電撃痛を呈する神経因性疼痛に有効だとか。これも機会があれば試みてみるべき治療でしょうね(^-^)

| コメント (2) | トラックバック (0)

2008年3月26日 (水)

慢性疼痛に抗うつ薬

慢性疼痛薬物療法について辻敬一郎先生の論文を読んだ続きです。その中では、うつ病慢性疼痛の合併が多いことが注目されていました。

WHOが1998年に行った調査によれば、精神障害有病率が、慢性疼痛を持つ患者群では、慢性疼痛の無い患者群の4倍だったとか。その中でも「うつ病」との関連が強いことが知られています。

うつ病と慢性疼痛って合併することが多くて、どちらも抗うつ薬で治療されることがあって……関連が深いものなんですね。

慢性疼痛に対する治療薬として、抗うつ薬がしばしば用いられます。よく慢性疼痛がうつ病と合併することが多いことから、抗うつ薬が有効なのは、なんとなく分かる気がします。しかし、これは「うつ病が治る→疼痛が治る」というものではないようです。

 うつ病がない慢性疼痛でも抗うつ薬は有効といいます。また、抗うつ薬でうつ病が治る前から慢性疼痛が止まることがあると言い、私もそんな患者さんを診た経験があります。

 疼痛抑制機能として次の2つがあると言われています。

脊椎後角抑制系
 脊椎後角にある膠様質と呼ばれる神経機構が関与して、痛覚情報の伝達や遮断を行うというもの。

下行性抑制系
 ノルアドレナリンセロトニン等のモノアミンやエンドルフィンが関与しています。

 今回、抗うつ薬が作用するのは下行性抑制系。セロトニンとノルアドレナリンにより疼痛の抑制が得られると考えられます。

 セロトニンに作用するparoxetineと、ノルアドレナリンに作用するthionisoxetineは各々疼痛に対して有効です。しかしそれ以上に、両方を併用した方がより強い鎮痛効果が認められた、とのこと。

SNRIが疼痛性障害に薦められているのはそーいうことか。なるほど(・_・)

 SNRIと言えば、今のところはミルナシプラントレドミン)。そしてSNRIじゃなくても、古い抗うつ薬の中でもイミプラミン(イミドール、トフラニール)、アミトリプチリン(トリプタノール)、クロミプラミン(アナフラニール)には鎮痛効果があると言われており、これらはセロトニンだけでなくノルアドレナリンにも作用するのだとか。なるほど。

しばしば慢性疼痛は治療に苦心するもの。でも、ポイントをきっちり押さえて治療していけば、より多くの患者さんを治せるかもしれませんね(^-^)

| コメント (4) | トラックバック (0)

2008年3月23日 (日)

慢性疼痛の3分類

慢性疼痛薬物療法について辻敬一郎先生が書かれた文献を、ファイザーのMRさんに頂いちゃいました♪

明らかな組織損傷が見られないのに痛みが続くものは「慢性疼痛」と呼ばれています。これは苦痛が多く、なかなか治療に難渋することが多いものです。その参考になります(・_・)

慢性疼痛は3つに分類されるとのこと

1)持続的に侵害受容器が刺激されて生じる「侵害受容性疼痛
2)疼痛の伝達・抑制機構にかかわる神経繊維の働きの異常による「神経因性疼痛
3)感情・情動面の影響が大きい「心因性疼痛

治療としては「抗うつ薬」「抗てんかん薬」が用いられるとのこと。それにはまた後日~(^-^/

| コメント (3) | トラックバック (0)