カテゴリー「うつ病(薬以外)」の14件の記事

2008年12月14日 (日)

うつ病とCOPD

外来に酸素ボンベを持って来ている人がいます。COPD(慢性閉塞性肺疾患)+うつ病の方です。COPDと不安・抑うつの関連性について読んだのでメモメモ。

Tsagarakiらによれば、COPDにおいて、不安・抑うつ症状が生じやすいとのこと。GOLD基準によりCOPDの重症度を評価し、HADSにより不安と抑うつを評価したところ……

GOLDステージ/HADSスコア平均(SD)
I   / 12.2 (8.27)
II  / 17.2 (8.1)
III / 24.5 (8.5)
IV  / 27.3 (9.9)

以上のようにCOPDの重症度不安・抑うつの強さ相関するとのこと。COPDの患者さんを診たら、本人の訴えがなくても不安や抑うつが背景に潜んでいる可能性を考えるべきなのでしょう。

一般身体疾患とうつ病との関連性はイロイロと語られています。少しずつ学んでいきたいところですね(^-^)

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2008年10月25日 (土)

自殺に至る要素

 自殺について、コロンビア大学精神科のJ.John Mannを中心とした座談会についての文献を読んでみたところ……

 自殺をもたらす要素として「ストレス因子」と「患者の持続的な特性」の2つがあるといいます。ほほぉ(・_・)

Stopsuicide21_3  1つ目のストレス因子は、自殺のタイミングに関与するもの。大うつ病急性エピソードや心理社会的危機、精神疾患の悪化などが挙げられます。
 精神的な変調がきっかけで自殺行動が生じるのは明らか。何かの「きっかけ」があるものです。なるほど。

 

そして、2つ目が患者の持続的な特性。これは2つに分類され

1)攻撃的・衝動的特性
 攻撃というのは外に向かえば一般的な周囲への攻撃になりますが、自らに向かえば自傷や自殺行動につながります。また、衝動性は激しい不快感情に基づいて行動化しやすい傾向ですから、自殺行動が生じやすいので当然注意。

2)悲観主義
 生きる意味がないと考えやすく、絶望感につながりやすいもの。主観的な抑うつが重くなりやすく、重篤な自殺念慮とも関連するとのこと。

 

今までは「希死念慮がある?ない?」ぐらいの把握でした。これからは、その要素を分析して把握したいと思います。そうすることで自殺をより防げるのかもしれませんね(^-^)

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2008年10月15日 (水)

季節性うつ病の診断

季節気持ちや体に影響を及ぼします。春には浮かれた気分になり、夏には活動的になり、そして秋~冬にはこれまた特有の変化が生じます。

・気持ちが落ち込みやすくなる。もの寂しくなる
おっくうになる。意欲がわかなくなる
食欲が増す体重が増えやすくなる
睡眠時間が増える
などなど。

冬眠する熊もこんな感じなのでしょうか。

程度の差はあれほぼ全ての人に上記の傾向があるものです。しかし、その程度が強い場合は季節性うつ病(Seasonal Affective Disorder,SAD)と呼ばれます。

治療については昨年、記事にしてますので「季節性うつ病」をご覧下さい。「光療法が効きました!」という旨の体験談がコメントとしてついてるのが印象的ですね。

ここで、季節性うつ病を精神医学でよく使われる診断基準、DSM-IVICD-10でどう診断するかについてメモメモ。ちなみに、これらの診断基準については「何の略?DSM-IVとICD-10」をご覧下さい。

DSM-IVでは、「大うつ病性障害、反復性」か「双極IあるいはII型障害」における、大うつ病エピソード季節型(Seasonal Pattern Specifier)をつけることになります。

ICD-10では、「F33.9 反復性うつ病製障害、特定不能のもの」とつけるしかありません。

毎年、秋から冬に落ち込む人も、治療を受けて元気に秋~冬を乗り切ってもらいたいものですね(^-^)

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2008年6月12日 (木)

うつ病とビール酵母

よく、健康のためビール酵母を飲んでます。「ビール酵母」という商品名だったり、アサヒなら「エビオス」だったり。

含まれている栄養素を改めて見てみると「トリプトファン」の文字を発見。これは体の中では合成されず食事などで摂取しなければいけない「必須アミノ酸」の一種。そして、うつ病パニック障害などで欠乏していると考えられている「セロトニン」に素になるものです。

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トリプトファンが多く含まれている食品としてバナナが有名です。バナナ1本約200mgの中に含まれているトリプトファンは約20mg。キリンのビール酵母の栄養成分表示を見ると1日量(=30錠)の中に含まれるトリプトファンは26mgだとか。結構、いいのかもしれません。

うつ病ではセロトニンと同時に「ノルアドレナリン」が欠乏していると言われます。この素になるのが「フェニルアラニン」。これも含まれてます。(その量については、必要量や食事との比較などの数字が分からないので割愛)

一般的にビール酵母は健康に良いものですが、うつ病に於いてもオススメできそうですね。自分が飲むのも、体のためだけでなく「脳のため」だと思えばモチベーションがちょっと違ってくるかも?(^-^)

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2008年5月24日 (土)

自殺企図歴と自殺の家族歴

Stopsuicide21_2  自殺についてJ.John Mannを中心とした座談会についての文献で、自殺リスクの高いうつ病の特徴について話題になってました。

 うつ病の患者を診る際に自殺リスクの強弱を判断する基準として……

1:自殺企図をしたことがあるか
2:家族に自殺、あるいは自殺企図したことがある人がいるか

……が挙げられるとのこと。

 特に斬新なことが書いてあるわけではなく、以前から言われていた当たり前のことです。しかし、日常の診療の中で十分に問診できていなかったな……と思い、これからはちゃんと情報を得るようにしようと思いました。うん、聞くことにしよo(・_・)o

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2007年11月12日 (月)

男は女の2.5倍の自殺数

自殺対策基本法に基づき作成された2006年度の自殺対策白書が提出されたとのこと。

人口10万人当たりの自殺者数を見てみると
男性は35人程度を推移しており、女性は10人台前半
男性は以前は20人程度だったのが、1998年から急増したとのこと。

「うつ病」の率自体は女性の方が2倍高いけれども、自殺者は男性が2.5倍の数。この

ギャップはどこから生まれるのでしょうか。

うつ病を発症したときに、女性の方が受診率が高くて数として上がってくる?
男性がうつ病を発症したときには、重症化しやすい?
女性よりも男性の方が、実際に死に至るだけのハードな自殺に至る?
……さて、真実はどうなんでしょうね(・_・)

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2007年11月 5日 (月)

季節性うつ病

季節もを経てになってきました。熊もカエルも冬眠する中、人間は冬でも活動しなければいけません。でも、人間も冬眠しようとしてしまうのでしょうか。「季節性うつ病」というものが存在します。

一般的なうつ病では、食欲は落ち不眠がちになるもの。しかし、うつ病として通院している患者さんの中には秋~冬にかけて食欲が通常より増進し、睡眠時間が増える人がいます。

そんな人に対して通常のうつ病の治療と同じSSRISNRIは有効です。

そして、ビタミンB12も治療を助けるとのこと。

←ビタミンB12!

そして、もうひとつのポイントは「」。冬に日照時間が短くなって、目から入る光刺激が減ると睡眠を増やすメラトニン分泌が増えるとのこと。おそらくセロトニンのバランスも乱れるのでしょう。ですから、光を浴びることが有効です。部屋はなるべく明るく、特に窓から入る日光は沢山浴びたいものです。

季節性うつ病に対して、光療法はSSRIと同等の治療効果が得られた、という報告も。ならSSRI/SNRIと併せて使えば、きっと良いことあるハズ。

先日、私の外来に通院している患者さんが、光療法の装置を購入したとのこと。医療用じゃなくても売ってるとは知らなかったな……。楽天で調べてみると、売ってました♪

←高照度光照射装置SunLight!

朝に30分~1時間、この装置の前で過ごして使います。

季節性うつ病そのものじゃなくても、同様の傾向がある人には有効でしょう。私も外来で紹介してみようかな♪o(^-^)o

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2007年8月31日 (金)

妊婦とSSRI

妊娠中のうつ病治療について、いくつか論文を読んでみたので、それをメモメモ〆(・_・

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■妊娠うつ病
 アメリカでの調査では妊娠うつ病が6.5~12.9%に生じると報告されており、決して珍しいものではありません。

 妊娠中の薬物治療には催奇形性の危険性があります。しかし、うつ病を妊娠中に治療しないことは、産後うつ病との関連性や、新生児の早産・低出生体重児などの影響が指摘されています。

 ですから、考え無しに薬物知慮を続けるのは問題ですし、闇雲に薬を避けるのも問題です。その辺りを踏まえてうつ病の治療について慎重に検討する必要があります。

■妊娠の前半について
 先天性奇形発生率はアメリカでの調査では約3%と報告されています。特にパロキセチン(パキシル、SSRIの一種)について催奇形性の程度について調査されており、妊娠の初期14週までにパロキセチンを用いると率が約2倍に上がり、中でも心室中隔欠損が最多と報告されています。

■妊娠後半について
 一般的に、1000人の出生児に1~2人程度の率で遷延性肺高血圧(PPHN)というが生じます。これは右心負荷をもたらし心不全に至りうる疾患です。SSRIを妊娠20週以降に服用する事で児に遷延性肺高血が生じる率が1%程度に増加すると言われています。
 妊娠の20週以前にSSRIを服用した場合や、SNRIなどの他の抗うつ薬を服用した際には、遷延性肺高血圧の増加は確認されていません。

■SSRIと新生児
 妊娠後期にSSRIを使用した母親から出生した新生児に、易刺激性不穏神経過敏振戦筋緊張低下/硬直呼吸障害哺乳障害などが出ることがあると報告されています。ですから、出産の直後は注意深い観察が必要であり、殆どは1~2週間で改善すると言われています。

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この様な内容をプリントにして、外来でいつでも患者さんに示せるように準備してみました。そして、患者さんと一緒に治療について考えられるといいですね(^-^)

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2007年8月10日 (金)

抑うつの尺度"BDI"

抑うつ状態の尺度として、代表的なスケールであるベック抑うつ質問票BDI)。昔から使われ続けているものです。これを最近、今の病院の外来で使い始めました♪

これは患者さん自身が丸をつける自己記入式。丸をつけた項目の点数を足し算して評価します。

「BDI.pdf」をダウンロード

ネットで自分をチェックするなら「げんのうつ病闘病記>抑うつ度チェック」でできます。

高血圧で外来に通っている人が、自宅で計測した血圧の記録を医者に見せることがあります。糖尿病で通っている人だって、自宅で測定した血糖値を医者に報告して薬物療法の調整をしてもらうもの。ってことは……

うつ病で通院中の人が、あらかじめ自宅でBDISASSを計算して外来で報告するのも有用かもしれませんね(^-^)

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2007年8月 5日 (日)

抑うつの尺度"SASS"

以前から耳にしていた、そしてCNSフォーラム(2007)で紹介されたSASS(social adaptation self-evaluation scale)を診療で使い始めました。これはうつ病を主とした抑うつ状態を評価する尺度のひとつ。

抑うつ状態の尺度としてHAM-DやBDIが有名ですが、これらで十分に抑うつ状態が改善しても社会復帰が困難なことがあります。SASSでは抑うつ状態が寛解に至り、社会復帰を目指すまでを評価できるとのこと。

患者さん自身が丸をつける自己記入式。丸をつけたら、あとは足し算して評価します。

35以上が正常とされていますが、他の医者や看護師でも35前後の人は多いもの。ですから、その数字にこだわるよりも経過を見るのが有用じゃないかと思っています。

ってなわけで、これまで外来で質問紙を使ってきませんでしたが、先日から外来でSASSを使い始めました。外来で待っている間に書いてもらうシステムです。これからの変化が楽しみです♪

「SASS.pdf」をダウンロード 

皆様もよろしければ、使ってみて下さい(^-^/

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