カテゴリー「服薬継続・アドヒアランス」の9件の記事

2009年7月20日 (月)

服薬は乱れるもの

今月始め、ジョン・ケイン(John M.Cane)先生の講演を聴いてきました。Schizophrenia International Research Society(国際統合失調症研究学会)American Society of Clinical Psychopharmacology(アメリカ臨床精神薬理学会)のPresidentというすごい人。そんな講演を聴いたノートを見返しつつメモメモ。

経口薬をリスパダールコンスタに変えることによって統合失調症の病状を示すPANSSのスコアが改善した話や、副作用である錘体外路系の副作用(EPS)を示すESRSのスコアが改善した話、高プロラクチン血症が改善した話、そして何より重点が置かれていたのがアドヒアランスの話。

医師は自分が担当する患者がきちんと服薬しているものと思いがち。しかし、実際には服薬の乱れが存在しているといいます。多くの医師は服薬の乱れについて"Under-estimate"しているのだと言います。そして、患者の服薬の乱れに気づかないことで、様々な問題を生むと氏は指摘していました。

・実際に有効なはずの薬を無効だと勘違いして薬剤変更してしまう。
・薬剤が足りないと勘違いして無駄に処方量を増量してしまう。
多剤併用に陥ってしまう。
・その患者を治療抵抗性だと勘違いしてしまう。

なるほど。きちんと薬物治療しようと思ったら、多くの患者に服薬の乱れが存在することを把握する必要があります。ついつい「自分の患者は服薬してるハズ」と服薬遵守の問題をUnder-estimateしがちですから、その傾向に注意が必要です。「飲んでる様に見えてサボってしまうもの。だって人間だもの」と服薬の乱れの存在を意識すべきなのでしょう。

勉強になりました。気をつけていたつもりでしたが、今一度、気を配ってみたいと思います。っていうか、リスパダールコンスタ使えばいいのかな。

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2007年11月 1日 (木)

服薬確認

2007年CNSフォーラムでのDr.W.Wolfgang Fleischhackerの講演で次の様なことを聞きました。

外来で統合失調症の患者さんに、服薬状況を尋ねるのにどう質問するのか

薬は役立っている感じがしますか?」
自分の薬を他の統合失調症の人に勧めますか?
薬を飲み忘れたときにどうしてますか?
薬を飲み忘れたときにどう感じますか?
薬について十分知ってますか?
薬を止めたらどうなると思いますか?
薬を止めるのを試してみたことがありますか?

といったもの。

薬をちゃんと飲んでますか?」という当たり前の質問なら「YES」と返ってくるだけです。上記の質問は非常に有効なのではないでしょうか。僕もこれらを参考にして、質問のバリエーションをつけたいですね。

自分としては「お薬、どのくらい余ってますか?」「飲んでるといっても、100%とはいかないでしょ」など、変化をつけてみています。

医療現場の他の皆さんが、どんな聞きかたをしてるのか聞いてみたいですねo(^-^)o

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2007年9月 3日 (月)

統合失調症テスト

統合失調症の治療において、薬物治療に対するアドヒランスが非常に重要であることが以前から言われています。

私の担当する患者さんの中にも、薬物治療に対する理解不足からアドヒアランスが悪くなる人がいます。そもそも病気に対して理解が乏しいのです。

少しでも理解を深めて頂こうと、ごく簡単なテスト問題を作ってみました。今日、問題と解答を手渡してきました。来週にテストです。さ~て、どうなるやら……

「schizo_exam.pdf」をダウンロード

内容は、こんな感じ……

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統合失調症テスト(1)
統合失調症では、脳内で神経伝達物質、主に[ ドパミン ]が過剰に放出されています。これにより過覚醒状態に陥り、症状が出現します。

精神科で用いられる薬には、次のものがあります。
・抗精神病薬 ・抗不安薬 ・抗うつ薬
・睡眠薬 ・抗パーキンソン薬 ・気分安定薬

中でも [ 抗精神病薬 ]は、統合失調症の治療において、最も重要です。なぜなら、この[ 抗精神病薬 ] は脳内の神経伝達物質、その中でも主[ ドパミン ]を抑えることで効果を発揮します。単に症状を改善するだけではありません。[ 再発予防 ]や長期予後の改善に重要な役割を持っています。

各20点 計100点満点

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すっごく簡単ですよね?(^-^)

「こんな問題を出してみましたよ」「こんなテストを受けたことがあります」「こんな問題はどうでしょう?」……みたいなお声を頂けると参考になります。ぜひぜひ(^-^/

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2007年8月18日 (土)

アドヒアランスの5要素

今年のCNSフォーラムの大きなテーマとして挙げられていたのが「アドヒアランスをいかに向上させるか」ということ。様々な講演者により様々な面でアドヒアランスについて語られていました。

そんな中、Dr.W.Wolfgang Fleischhackerは次の様なことを話していました。

アドヒアランスの良し悪しを左右する要素として、次の5つがあるとのこと。

病気: 病気による思考力の低下や生活の乱れ、病識の低下などが考えられます

治療: 治療効果を本人が感じられるか、副作用の強弱、服薬の負担の多少などが考えられます

環境: 薬物治療に対する周囲の理解、通院や服薬がしやすい環境の有無などが考えられます

患者: 性格や生活パターンなどが考えられます

治療者: 病気および薬物治療についての情報を与えているのか、患者との関係は良好か、などが考えられます

これからすると、アドヒアランスを改善させるためにすべきことは沢山考えられます。本人への生活指導周囲への働きかけ本人が有効性を感じられる薬を使うこと、そして副作用を減らす工夫一日の服薬回数を減らすこと……等々。

これを聞いてさらに考えたことがあります。患者と良い関係を築きやすい治療者としての自分を磨くことも大切なハズ。そして、様々な情報を患者さんやその周囲の人に伝えるためのプレゼンテーション能力の向上も大切だと思いました。そして、信頼に足る専門知識を地道に身につけることがアドヒアラナス向上につながるのだろうと。

うん、頑張ろo(・_・)o

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2007年1月24日 (水)

薬物治療への周囲の理解

以前、アドヒアランスの悪い統合失調症の患者と話していたら、「偉い整体師の先生に『この病気は首の骨を正せば治る』と言われた」「その先生から『薬なんて飲むな』と言われた」と聞いたことがあります。

そのときにはひどく腹が立ったものです。薬を止めて調子が悪くなれば、運び込まれるのは精神病院苦しむのは本人・家族・関係者。その整体師は、その発言の結果で何が起きたのかを知らずに「あの人は、首が整い薬をやめて、元気に暮してるのかな」とでも思っているのでしょう。

精神科疾患の患者が薬物治療を受ける際、家族や周囲の人たちの理解があるのはとても良い事です。逆に、家族や周囲の人たちに理解がないと、薬物治療の妨げになることがあります。

しばしば周囲の人たちに
「あんた、そんなに薬を飲んでちゃダメよ」
「安定剤なんかに頼らないようにしなきゃ」
「病気は鍼で治るから、薬なんてやめなさい」

などと薬物治療を否定されてしまうことがあります。

それは、
統合失調症であればその必要性を理解していないから。
うつ病であれば、薬物治療の有益性を理解していないから、あるいは、うつ病という病気を軽視しているから。

彼らは決して悪気なく言っているのです。しかし、責任もなく言っているのです

患者であれば、いずれ周囲からそのような言葉を投げかけられる可能性がある事を知っておきましょう。そして、それでも薬物治療を継続する覚悟を決めておきましょう。そして、できるだけ家族にも、診察の際に同席してもらうようにしましょう。

家族は、できるだけ家族会勉強会に足を運んだり、を読むなどして正しい知識を身に付けましょう。

医療者は、できるだけ薬物治療について家族に説明する機会を設けるべきなのでしょう。また、機会があれば上記の様な言葉が患者本人に投げかけられる可能性があることを、本人に予告しておくと、アドヒアランス向上に繋がると思われます。

なんとも気をつけたいものですね。

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2007年1月 8日 (月)

統合失調症に対する家族の理解

従兄弟に医者がいます。精神科医じゃなくて身体科。その彼と話していて彼が診た統合失調症の症例について話題になりました。

50台後半の男性。ずっと仕事にも就き、順調に経過していましたが断薬を機に再発。今は疎通悪く殆ど会話にならず、固まったまま日常生活に支障を来たしているとのこと。誰かが彼の手を持ち上げれば、そのまま手を持ち上げたまま。不自然な肢位を保ち続けるカタレプシー(強硬症)が出現ているといいます。

仕事に就いていたのですから、再発直前まで能力は保たれた良い状態が続いていたに違いありません。そして、服薬は順調に続けられていたのでしょう。それが、なぜ断薬に至ったのか……

本人が足の骨を折り、入院したところから断薬が始まったと思われます。本人、病気であることは周囲に秘密にしており、入院の際もそれを言わずにいたのです。家族は兄が一人だけ。その兄も、本人が統合失調症であることは知らずにいたといいます。

本人も薬を取りにいけず、入院した病院で処方を受けることもできず、薬を家族に入手してもらうこともできなかったのです。

骨折して入院した際、病院に統合失調症であることを告げていれば薬がもらえたことでしょう。家族が病気について知っていれば、薬を入手する手段を講じたことでしょう。

統合失調症という病気、秘密にするとこんなことがおきるんですね。病気について周囲に知っててもらうことは大切なんだなぁ、と痛感させられた症例でした。

少なくとも、家族には知っててもらわなきゃいけませんね(・_・)

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2006年12月27日 (水)

向精神薬の自己調節

抗精神病薬の服薬を「自分で調整することがある」と回答した患者が20.9%

Good_badそのうち……

  • 50%以上が自分の判断
  • 10%ぐらいが家族と相談して
  • 医師と相談してが40%弱

これは、全家連に家族がいる患者さん&聖マリ通院してる患者さんを対象にした、聖マリの諸川先生による患者アンケート調査。

私も外来で、減らす予定の薬について、減薬の方向で自己調節を指示することがあります。このようなものが4割なのでしょう。
しかし6割については医師の治療計画外の薬物調整。これは病気の治療が困難になったり、再発の原因になったりと危険な行為です。

患者の立場であれば、薬の自己調節は避けるべきでしょう。服用中の薬で自己調節が可能なものがあるのかを聞いておくのもいいでしょう。

約1割の患者が自己判断で調節しているのです。医療者の立場からは、その危険性をきちんと説明しておくべきなのでしょう。

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2006年12月14日 (木)

飲み忘れ

受診時に薬が余っていることがある」と回答した患者が45.7%とのこと。

そんな患者さん、薬を余らせた理由の46.7%が「飲み忘れ」

これは、全家連に家族がいる患者さん&聖マリ通院してる患者さんを対象にした、聖マリの諸川先生による患者アンケート調査。

 

私自身、薬は飲んでません。でも毎日飲もうと決めたサプリメントがあります。ハイ、毎日飲めてません(x_x; 当然、統合失調症における薬物治療は、私のサプリメントと違って、重要度が違うものです。それにしたって、人間だから飲み忘れが生じかねないのは同じことでしょう。

Dontforget では、薬を飲み忘れないようにするにはどうしたらいいのでしょう

医者の立場からすると「服薬回数を減らす」のが一つの工夫かもしれません。一日4回だと、どれかが抜けてしまうかもしれません。一日1~2回なら、比較的飲み忘れにくいのではないでしょうか。

患者の立場なら、家族や周囲の人の理解と協力があるといいでしょう。周りの人に服薬を隠していると、飲むタイミングを失い、そして飲みそびれやすいことでしょう。むしろ周りの人が「薬の時間じゃない?」と声をかけてくれるぐらいの方が、患者本人も飲みやすいでしょう。

他にも薬の管理方法も工夫の一つでしょう。食卓の上に缶でも用意して、その中に入れている人もいます。ピルケースを利用している人もいます。カレンダーに貼り付けている人もいますし、専用のポケットがついているカレンダーを用いている人もいます。

 

他にも、いろいろと工夫があると思われます。皆さんが、どんな工夫をしているのかナマの声を聞いてみたいですね(^-^)

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2006年4月 2日 (日)

コンプライアンス→アドヒアランス

コンプライアンス(compliance)、アドヒアランス(adherence)という2つの言葉があります。
どちらも薬物治療を語る上で出てくる言葉です。そして、どちらも同じ意味で「患者さんが、ちゃんと薬物治療を続ける事ができているか」の意味。特に統合失調症では、再発を防ぐためには薬物治療を尊守して頂くことが必要なので、精神科でこの言葉がよく登場します。

じゃあ、なぜ2つの言葉があるのか。この間、聞いたSchooler先生の公演で、そんな話になりました。
コンプライcomply」と言うと、同意して従う、という意味です。コンプライアンスという言葉の中には患者の従順さをも意味しているのです。かつての、医者が一方的に指示を出し、患者が服従するという父権的な医療に合う言葉でしょう。
しかし、医師が情報を提供し、できるだけ患者自身の理解を深めて、患者自身の決定を尊重するのが今の医療です。その中でコンプライアンスという言葉には、やや時代遅れな印象があります。

アドヒアadhere」の直接の意味は「くっつく」です。アドヒアランスは、固く守る事を意味し、医師と患者の間に上下を感じません。ほら、この方が現代っぽいでしょ?患者の主体的に薬物治療に参加することが含まれています。

……というわけで、アドヒアランスという言葉に乗り換えですね(^-^)

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