カテゴリー「技術」の7件の記事

2009年10月25日 (日)

EMDRを使ってみて

以前、EMDR講習会に行ってきた記事を書きました。トラウマに対する治療法です。PTSDに至るようなものでなくても、生活上の小さなつまづきだったり、それこそ大きな心の傷だったり。様々な傷の処理を助けるもの。本やDVDで身につくものではなく、EMDR学会(http://emdr.jp/)による講習会を要します。

EMDR講習会に行ったあと、様々な人にEMDRによる治療を試みてきました。人の死を目の当たりにした人や性暴力に遭った人、配偶者を亡くして介護が不足してたと後悔する人、自分の容姿に自信を持てない人など。

Eye_2全員に有効だったわけではありません。思うような効果を得られなかった人もいました。EMDRが合わない人だったかもしれません。私の技術不足だったかもしれません。ただ、副作用らしい副作用はなかったように思います。

そして、効果がある人には驚くような効果が得られました。それまでず~っと本人の中で続いていた悩み。それが一回のセッション=1時間程度でググッと変化する場に立ち会うと、ほんと驚かされます。「今まで、こんなこと考えたことなかったのに」と驚く人や、一回のセッションで終わらなくてもさらに続きを求める人や。

ただ、それなりの時間を要するものなので、普段の診療の中でそんなには数をこなせません。もっと、EMDRする人が増えればいいのに。

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2009年9月13日 (日)

トラウマに対するPE法

しばらく前になりますが、新宿で開催された第四回トラウマ治療研究会に行ってきました。そこで、Prolonged Exposure法で治療された症例の発表を聴きました。

トラウマを受けると、トラウマに関する「記憶の亢進」と「健忘」が同時に存在すると言います。そうなるとトラウマ体験の全体像を把握できなくなります。処理できず受け止められない恐怖だけが残っていると考えられます。

そこで、治療の場面でトラウマ体験に暴露させることで、全体像をとらえ直す機会を得て、受け止められる体験にできるといいます。また、心の「引き出し」から怖い記憶を取り出し、元の「引き出し」に戻す過程で、より安心を伴う記憶として戻されるといいます。

トラウマを「一連のストーリー」として繰り返し想起すること自体に治療効果があるということでしょうか。

このPE法って、治療をする側もされる側も大変そう。でも、これを通してトラウマを乗り越えられるとしたらいいですね。

EMDRでもそうですが、トラウマ治療ではトラウマの場面と向き合うことが多く、なかなか大変なものです。それにしてもこのPEは大変そう……。現在ではまだ珍しいと言えるこのPEについて、少しですが勉強になりました(^-^)

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2009年3月17日 (火)

EMDR講習会

今月上旬、日本EMDR学会(http://emdr.jp/)が主催するEMDR講習会に行ってきました。今回の場所は神戸。東京の私としてはちょっと遠い。ときに東京で行われることもあるようです。3日間、朝から夕方までEMDRでした。

EMDRというのは、PTSD治療法のひとつです。キョロキョロさせながら、トラウマの場面を想起させるというもの。五円玉をぶら下げてユ~ラユ~ラと揺らすイメージを持つ人も多いことでしょう。EMDRでの眼球運動はすごく早いです。治療者が手を左右に動かし、クライアントがそれを一生懸命に目で追います。

眼球運動は数十秒程度のものを何度も何度も繰り返します。導入から始まり、メインの眼球運動を伴った治療、評価終了という流れ全体では数十分を要します。学会としては90分を推奨。って時間かかるな。

これになぜ効果があるのかはハッキリとは分かっていないようです。でも、結果としてPTSDに対して良い治療成績が挙がっているとのこと。エビデンスは豊富です。

EMDRの治療効果について、様々ながあります。

・PTSDで障害されているワーキングメモリが、眼球運動により改善すると言われています。

REM睡眠時の眼球運動が、右脳から左脳へと情報が送られることに関係し、日中の情報を寝ている間に処理していると言われています。EMDRでは、眼球運動によりその効果を得ているのではないかと考えられます。

・PTSDに至った外傷場面を想起したとき、その「危険な過去」のイメージに没入してしまいがち。しかし、眼球運動をしながらであれば「安全な今」の世界を意識しながら「危険な過去」をイメージすることができ、思考の円滑に進むと考えられます。

・眼球運動自体にリラクゼーション効果があるのではないか

・眼球運動による刺激が「定位反応」を引き起こすと言われています。すなわち、刺激により「ん?何だ?」というように覚醒度が一時的に上昇し、安全を確認して覚醒度が下がるという反応が繰り返されとされています。

……と色々な説があります。全てが本当なのかもしれません。

かつては眼球運動を伴った暴露療法ではないか、すなわち外傷体験を思い出しながらそれに慣れるのを待つだけではないか、と考えられていた様です。しかし、暴露療法とは異なりイメージが次々と移り変わり、思考が進み、ストレスが処理されると考えられており、暴露療法とは違うと考えられています。

見た目は奇妙ですが、なかなか興味深い手法です。学んだからには治療で使ってみようかな。今、私が治療で扱うとしたらシンプルなPTSDでしょう。PTSDと呼ぶほどじゃなくても、心にひっかかったことを残している人の治療に使えます。長期にわたって暴力にさらされ続けたり複数の外傷体験があったり人格的な問題を併せ持っていたりするのは、他に任せた方が良さそうです。

さ~て、今までずっとどうにもならずにいた人が、これで何とかなるといいな(^-^)

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2009年3月 3日 (火)

外在化

最近、症状の「外在化」を意識するようにしています。

精神科の病気は、しばしばいつの間にかに考えを変化させてしまいます。そして、その病的な考えに支配され、支配されてることに気が付けないことがあります。

こう言うと、統合失調症がまず思い浮かびますが、うつ病だって依存症だって、摂食障害だって同じことが生じます。

病気を否定とまでいかなくても、病気の考えと自分の考えの境目が分からなくなっていることもしばしばです。

健康な自分本来の考えが意識・無意識問わずどこかにあって、それとは別に湧き起る病気による考えが生じ、それらが戦っているんです。そんなときに病的な気持ちを「自分の気持ち」ととらえるべきではないように思います。

例えるのであれば。確かに、癌細胞は自分の細胞から生じたものです。診断が下るまでは、そこも自分の体の一部のように考えています。しかし、だと分かれば、もはや自分のものとは考え難いのではないでしょうか。本人からしたら自分の体というより、でしょう。

外在化、すなわち病気による考え自分本来の「外」ととらえることを促すようにと考えています。これによって病気によって生じる考えに対処しやすくなったり、病気や治療に対する理解が変わったりするものです。

以前から、何気なくしていたハズ。でも意識すると何かが違ってきそうです。そんな気持ちになったから、ちょっとメモメモ〆(・_・)

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2008年8月17日 (日)

醤油ボトル

外来患者さんの中には、こだわりが強くて日常生活に支障を来している人がいます。今回は、どうしても洗剤を使いすぎてしまう統合失調症の方の話。普通に洗いものをしていると、一日で洗剤を一本使い切ってしまうのだとか(・_・;

そこで、お母様が考えたのが「醤油ボトルを使う方法」。

醤油などのミニボトル

お母様がこれに使って良いと決めた量の洗剤を入れて渡すのだとか。本人は許可された量で、心おきなく洗いものに没頭できます。そして、普通の人が使う量より多いけれど、それでもずっと少なくて済むことになります。

この方法なら、手洗いが激しい洗浄強迫強迫神経症の人にも使えるかも。ハンドソープを入れて、「この量で我慢する」という風に区切りを作れるかも。

こだわり系」の方々の治療のヒントになるかもしれませんね(^-^)

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2008年6月 1日 (日)

7つの質問

コーチング入門」の中に7つのタイプの質問について書いてありました。

 医師、その中でも特に精神科医は、相手に質問することが多いもの。なんとなく質問を使い分けてるつもりでいます。しかし、体系立てて質問の種類性質を理解しておくと、より合目的的な問診ができそうですね(^-^)

1) Yes/Noで尋ねる質問

 事実関係相手の意思明確にするのに有用です。「薬は飲んだの?飲まなかったの?」「薬で治療する気はあるの?」といった具合。まさに明確

2) Yesを引き出す質問

 念押し確認の効果を狙います。「薬、ちゃんと飲めますよね?」といった具合。このバリエーションとして、許可を取る質問があります。「アドバイスを聞く準備はありますか?」や「ちょっと話していいですか?」と、相手に聞く姿勢を作ってもらう質問です。

3) Noを引き出す質問

 意図する方向に導くものです。「いくらあなたでも、毎日薬を飲むのは無理だよね?」 いや、無理かと聞かれたら無理ではないかな……みたいな?

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4) 自由回答意見を聞く質問

 基本的に、選択肢の無い質問=オープンクエスチョンが望ましいもの。本人なりの表現で気持ちを確認します。「薬について、どう思ってますか?」や「これから薬物治療をどうしたいですか?」といった具合。

5) 自由回答で事実を尋ねる質問

 事実について本人の表現で教えてもらいます。詳細を知るのに必要です。「薬を飲んでいて、この1ヶ月はどうでしたか?」といった具合。

6) 選択肢を選ぶ質問

 特にオープンクエスチョンは、相手にしてみると答えを考えるだけ負担がかかります。特に答えづらい質問では言葉につまってしまうもの。そんなときに選択肢を用いると有効です。「薬は増やしたい?同じにしたい?減らしたい?

7) 数字で答える質問

 スケーリングと呼ばれます。Yes/Noで終わらず、その程度を知ることができます。「薬を飲めたというけど、何パーセントぐらい飲めました?」や「薬が効いたと言いうのは、症状は何割くらいになりました?」といったもの。

 

 これを意識して使い分ければ、結構な質問名人になれそう?w コーチング、なかなか深いですね(^-^)

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2008年5月10日 (土)

リフレーミング

昨年まででの通勤だったのが、今年から電車での通勤。を読む時間が増えたのは大きなメリットですね。

ってなわけで、「コーチング入門」を読んでみました。人に関わるときのポイントがよく書かれており、診療の参考になります。NLP(神経言語プログラミング)で扱われていることに非常に似てますが、日常で扱われることを意識しているのでしょうか。医療者にも役に立つし、医療者じゃなくても役に立つ内容。この手の本としては難しすぎず、厚くもなありません。私としてはコーチング最初の本としてアタリでした(^-^)

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本を読み始めてすぐに書かれていたのが「リフレーミング」について。

相談をするなかで、解決できないことが2つあります。ポイントは「相手は変わらない」と「過去の出来事は変わらない」ということ。性格や人格が変わらない、という意味ではありません。相手を変えようと思うな、ということ。そして、過去はどうしようもありません。

この2つの解決不可能問題が出てきたときには、物事の捉え方を変えて解決可能な問題に変える必要があります。これが「リフレーミング」というもの。

以前にもどこかで学んだハズのことでしたが忘れてました。改めて意識して診療にあたってみようかな(^-^)

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