カテゴリー「統合失調症-リスパダール」の19件の記事

2009年8月 6日 (木)

注射だからこそ

ジョン・ケイン先生の講演中で、経口薬ではなく注射にすることで、より良い効果が得られ、より副作用が少ない点が語られていました。

より良い効果が得られる理由として、潜在する服薬の乱れの問題がコンスタにより解決し、確実な安定した薬物治療が行われるからだと説明していました。

さらに、より良い効果とより副作用について、初回通過効果と呼ばれる肝臓での代謝を注射では避けられること、生物学的利用能(Bioavailability)が注射では上がることを挙げていました。だからより少ない薬より良い効果が得られるし、より少ない薬だからこそ副作用がより少ないのではないか、と。初回通過効果によるロスなく薬剤が効果をもたらすことは大きなメリットです。

一理あります。

しかし、実際にコンスタの臨床における成績が良いことを、まだ十分に説明できてないと思います。ハロペリドールの高容量の点滴や注射が行われるとき、それは多い量にも関わらずEPSが少ないのです。生物学的利用能が上がるだけであれば、EPSはより強く出て当然だと思われます。同じことがリスペリドンでも生じているはず。しかしEPSは少ないんです。注射ならではの、何か別の作用があるハズ。

氏はリスパダールコンスタについてその大きな可能性を語られていました。しかし、彼自身まだコンスタの可能性をUnder-estimateしているように思われます。実際にはもっと大きなものが得られると見込むべきでしょう。

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2009年7月25日 (土)

コンスタが向いてる人

弓削病院の西山先生の講演の中で、リスパダールコンスタを導入すべき人について次のように挙げていました。

・再発を繰り返す人
・発症して間もない人
・多剤併用で単剤化が困難な人
・社会適応レベルが高い人
・これまでデポを用いていた人
・過量服薬をしてしまう人

なるほど。再発を繰り返す人には当然のこと、コンスタが強く勧められます。しかし、その他もそうですね。

社会適応レベルが高い人については、仕事をして忙しい人こそ服薬が乱れがちで、コンスタが良いと言います。そんな人こそ再発すると社会的なダメージが大きく、社会生活の中で不規則になりがちな生活の中、服薬の負担を減らせるのは大きなメリットだと思います。なるほど。

そして、ジョン・ケインの話を聴くともっとコンスタ導入には積極的でした。「誰にコンスタを導入すべきかを考えるのではありません。誰にコンスタを導入すべきではないか、と考えるべきです」というお言葉。統合失調症なら、コンスタ導入から考えるべき、というお話でした。なんだか、すごいですね(・_・)

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2009年7月11日 (土)

コンスタは肝をパス

昨日、飲み薬が目的の臓器に到達する前に、肝臓を通らなければいけないお話をしました。

実は例外があります。食道が目的の臓器だと、肝臓を通る前に効きます。そして、ニトロ等の「舌下錠」、すなわち口で吸収させて血流に乗せる薬。リスペリドンの内用液も、口腔粘膜吸収があると考えられます。

そして、今回やっと日本に上陸したリスパダールコンスタ。経口薬ではなく、筋肉注射する薬ですから、経口薬と違う点が沢山あります。その一つが、肝臓を通らずに脳まで達するところ。

肝臓で代謝された残りが血流に乗るのが一般的な経口薬。コンスタは、注射した量がそのまま血流に乗ります。ですから、無駄に多い量を飲まざるを得ない経口薬とは違って、副作用が少なくなると予測されます。

そして、肝臓で代謝する力が個人によって違うもの。肝臓で代謝される分、経口薬では必要量に個人差が生じます。しかし、コンスタは肝臓を通らずに脳に達するので、必要量の個人差が小さいはず。25・37.5・50mgの3規格だけで済むのはそんな理由なのでしょう。

ハロペリドールの時代、入院患者さんに毎日、静脈注射していたことがあります。経口薬より副作用が少なく効果は多くメリットが多いもの。それと同じ様な効果を、新規型の薬で、しかも2週に一度。期待せずにはいられません。

発売直後に使い始めた人に、そろそろ注射の効果が出始める頃です。上手に使いたいですね(^-^)

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2009年7月 4日 (土)

注射は怖いのか?

リスパダールコンスタの最大の特徴は「注射」であること。注射であることが大きなメリットを生むものですが、注射であるが故に避けてしまう医師がいます。「注射は痛いから嫌がるのではないか」と。

私自身は、その「注射=痛い=嫌がる」という、単純化され過ぎた図式疑問を持ちます。しばしば医師は先回りして色々と想像を巡らせるもの。しかし、その想像は根拠に乏しいものです。より効果が高く副作用が少ない治療を、提案もせずに患者さんから取り上げるだなんてとんでもない。ちゃんと患者さんと向き合って話していれば、痛いから嫌がる、というほど患者さんは子供じゃありません

Chuusha 論理的に言うなら「注射を痛がる人もいるし、痛がる人の中には嫌がる人もいる」が正しい考え方でしょう。

先日の弓削病院の西山先生が治験でのコンスタ使用経験を語る中で、「患者さんは嫌がるのか」と質問させて頂きました。そのときに返ってきたコメントが……

採血だったら、よくしてるでしょ? 採血の方が痛いんじゃありませんか?」

というもの。ホント、おっしゃる通りだ。採血の方が痛いのかは分かりませんが、抵抗感という点ではドッコイドッコイでしょうね。患者さんは良い医療を受けるために、入院生活送ったり手間かけて通院したり採血受けたり、頑張ってるんです。「子ども扱いするな!」ですよね (・_・)

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2009年6月29日 (月)

コンスタの治験について

リスパダールコンスタが発売されて数日。海外文献では良い結果が報告されており、私の病院でも使われ始めてます。しかし、国内での使用経験については治験の報告に限られます。

というわけで、弓削病院の西山先生の講演を聴いてきました。治験で1年間使用した経験の話。その内容を聴けば、中等度改善著明改善が多く、西山先生としてはその効果に随分と実感を抱いている様子。生々しいお話をうかがえて良かったです(^-^)

さて、私が使い始めた患者さんがこれからどうなるんでしょう。データ的には良くなる確率が大。でも、実際に自分の目で確認するまではちょっと緊張……よーく見ておきたいですね。

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2009年6月21日 (日)

コンスタ発売目前

リスパダールコンスタが、発売目前になりました。2週間に1回注射での統合失調症治療薬。(追記:6/23に発売されました!)

ハロペリドールを使っていたときには、入院中の人に連日注射して治療していたことがあります。これは、よい高い効果が得られ、同量の経口剤に比べてグッと副作用が少ないからです。しかし、入院中にしかできないのが困ったところ。

しかし、 2週間に1回なら外来でできます。しかも、ハロペリドールみたいな従来型ではなく、リスペリドンという新規型の薬剤。リスペリドンの錠剤を液剤に変えただけでも、効果が高く副作用が少なくなるもの。これが注射になるのですから、それがまた大きく変わると期待しちゃいますね(^-^)

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2009年5月17日 (日)

コンスタの満足度

この夏、日本に上陸するであろう持続性注射剤、リスパダール・コンスタの満足度について、海外での報告の文献を読ませて頂きました。

ハンらが、統合失調症患者とその介護者の満足度をVAS値で比較した報告をしています。経口薬が62例、コンスタを使用している人が47例。

本人の満足度は、経口薬6.87コンスタ7.53の満足度で、
介護者の満足度が、経口薬7.16コンスタ8.04の満足度だったそうです。

「本人は雌花で和み、周りは七色のハレーションで満足」と覚えましょう。


また、ペスケンズらが、リスパダールコンスタに切り替えた135例に満足度について調査した報告をしています。「満足」「非常に満足」と答えた人の率を比べると……

治療にあたった医師では、前治療薬のときには38.2%だったものが、コンスタにして82.1%に上がったとのこと。

患者本人前治療薬のときに29.2%だったものが、コンスタにして76.5%に上がったとのこと。

「医師に散髪されたハニー、本人としてはズッキーニよりナメコが好き」で覚えてみましょう。

どちらの報告を見ても、コンスタにすると満足度がかなり上がるんですね。

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2009年5月10日 (日)

コンスタで再発防止

リスパダールコンスタが夏にでも発売になるのでしょうか。これは積極的に、患者さんに提案していこうと思ってます。というのは、経口薬より効果の面で優れているでしょうから。

統合失調症の再発率は、1年経つと5割くらいが再発してしまいます。再発する方の中には、きちんと薬を飲み続けられない人もいるかもしれませんし、飲んでいても再発する人も沢山いるはず。

Olivaresがリスパダールコンスタに変更する前・後での再発率について757例を調べて報告しています。それによれば、切り替え前の2年間では再発率が52.6%。しかし、リスパダールコンスタに切り替えた後の2年間は11.5%なんだとか。再発を約5分の1に下げることに成功しています。

 バガボンド  29 この数字「小次郎がいい子に檻(オリ)で2年」と覚えましょう。ちょうど、バガボンドで檻に閉じ込められていたな……と思ったら、宮本武蔵でした。佐々木小次郎じゃなかったな。惜しい。

……って余談はさておき、これはすごい数字です。これまで再発率について比較した報告は沢山ありましたが、こんなにまで差が出た報告を聞いたことがありませんでした。これはびっくりです。

私自身が統合失調症だったら、コンスタがいいな。実際、私の外来の患者さんの中にはコンスタの発売を待ってる人が既に何人もいます。楽しみですね(^-^)

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2009年4月 6日 (月)

新規型で脳萎縮防止

統合失調症の脳萎縮について、最近よく耳にします。先日のウェブ講演会でも扱われていたので、ちょっとメモメモ。

統合失調症では、脳が萎縮することが報告されています。萎縮するのは上側頭回右前頭野上側頭回言語に関わっており幻聴との関連が考えられており、前頭葉意欲に関係しており陰性症状に関係すると考えられています。

じゃあ、なぜ統合失調症で脳が萎縮するのでしょうか。皮質のD1が低下し、皮質下のD2が亢進することで、GSK3βが活性化され、BDNFが低下し、脳細胞のアポトーシスが起こり、脳が委縮するのではないか、とのこと。

従来型の抗精神病薬では脳の萎縮が止まりませんが、新規型の抗精神病薬では脳の萎縮を防げるといいます。もしかしたら回復するかも、というぐらい。皮質のD1と皮質下のD2の乱れを整えるのに、ドパミンセロトニンに作用する薬物が良いのではないか、とのこと。

興奮を鎮めることは治療のメインではありません。目の前の幻聴や妄想を止めることが治療の終わりではありません。その一生をより良く生きて頂くためには、新規型の抗精神病薬を用いるのは必要なのかもしれませんね。

セロトニンやらドパミンやら、については「各受容体と抗精神病薬」をご覧下さい。

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2008年6月 8日 (日)

リス液と口腔粘膜

リスペリドン(リスパダール)の液剤を使うことがしばしばあります。頓服としてだけではなく、毎日決まって飲む薬として。錠剤に比べて薬効が高く、副作用であるEPSが少ないと言われています。

そのひとつの説として、口腔粘膜から吸収されるのではないか、というもの。口腔粘膜から吸収されれば、胃や腸や肝臓を通らずに血中に入って、それだけ早く脳まで到達します。そして、体内に入った最初に肝臓で代謝されないので、服用した薬がより有効に体内に入ります。さらに、最初の肝臓での代謝を免れることがEPSを減らすのかもしれません。

実は、発売もとのヤンセンファーマ自体は、口腔粘膜からの吸収を否定しています。おそらく錠剤との同等性があるとされるからこそ、新しい薬剤ではなく剤型が違うだけ、と発売を容易にした経過があるからなのでしょう。

しかし、明石土山病院の大下先生の論文を読むと、口腔粘膜からの吸収がやはりあるのではないかとあります。

粘膜から吸収される分子量は700以下。おして、リスペリドンの分子量は410ですからOK。

そして、薬物の非解離形の分配係数というものが402000だと良好に粘膜吸収されるとのこと。分配係数というのが何なのかは私にはなんとも(>_<;

リスペリドン液のpH2~4。その条件では分配係数を計算するとpH2.2で0.0128、pH4.1で0.146。吸収されない値です。ヤンセンファーマの言う通りです。

しかし、実際には口の中では唾液と混ざります。唾液のpHは6.8~7.5あるとか。リスペリドンの分配係数を見ると、pH6.1でもう9.58、pH8.0で555になるとか。pHが7前後だと40は軽く超えているハズ。唾液に混ざると粘膜吸収されると思われます。

あの苦味で唾液が出れば、すぐに中性になることでしょう。より効率を求めるのであれば、飲み込まずに口に馴染ませて待つとより良いのかもしれませんね。味が気にならない人にはオススメしてみたいと思います(^-^)

 

ちなみに、ネットであちこち見て、第二世代抗精神病薬の分子量を調べてみました(^-^/

リスペリドン410
ペロスピロン499
オランザピン312
クエチアピン383
アリピプラゾール448
ブロナンセリン367

だいたい400前後のものばかりですね(^-^)

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