2008年6月 8日 (日)

リス液と口腔粘膜

リスペリドン(リスパダール)の液剤を使うことがしばしばあります。頓服としてだけではなく、毎日決まって飲む薬として。錠剤に比べて薬効が高く、副作用であるEPSが少ないと言われています。

そのひとつの説として、口腔粘膜から吸収されるのではないか、というもの。口腔粘膜から吸収されれば、胃や腸や肝臓を通らずに血中に入って、それだけ早く脳まで到達します。そして、体内に入った最初に肝臓で代謝されないので、服用した薬がより有効に体内に入ります。さらに、最初の肝臓での代謝を免れることがEPSを減らすのかもしれません。

実は、発売もとのヤンセンファーマ自体は、口腔粘膜からの吸収を否定しています。おそらく錠剤との同等性があるとされるからこそ、新しい薬剤ではなく剤型が違うだけ、と発売を容易にした経過があるからなのでしょう。

しかし、明石土山病院の大下先生の論文を読むと、口腔粘膜からの吸収がやはりあるのではないかとあります。

粘膜から吸収される分子量は700以下。おして、リスペリドンの分子量は410ですからOK。

そして、薬物の非解離形の分配係数というものが402000だと良好に粘膜吸収されるとのこと。分配係数というのが何なのかは私にはなんとも(>_<;

リスペリドン液のpH2~4。その条件では分配係数を計算するとpH2.2で0.0128、pH4.1で0.146。吸収されない値です。ヤンセンファーマの言う通りです。

しかし、実際には口の中では唾液と混ざります。唾液のpHは6.8~7.5あるとか。リスペリドンの分配係数を見ると、pH6.1でもう9.58、pH8.0で555になるとか。pHが7前後だと40は軽く超えているハズ。唾液に混ざると粘膜吸収されると思われます。

あの苦味で唾液が出れば、すぐに中性になることでしょう。より効率を求めるのであれば、飲み込まずに口に馴染ませて待つとより良いのかもしれませんね。味が気にならない人にはオススメしてみたいと思います(^-^)

 

ちなみに、ネットであちこち見て、第二世代抗精神病薬の分子量を調べてみました(^-^/

リスペリドン410
ペロスピロン499
オランザピン312
クエチアピン383
アリピプラゾール448
ブロナンセリン367

だいたい400前後のものばかりですね(^-^)

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2008年1月12日 (土)

液とアドヒアランス

今回は特別な「記事」ではなく「日記」でしょうか。先日、外来で診た患者さんが非常に印象的だったので心にメモメモ。

十数年の経過の統合失調症の患者さんについてのお話です。
本人は来院せず、母親だけが通院。そして本人は服薬を嫌うばかり。幻聴や被害妄想に振り回され続けることが何年も続き、徐々に増悪してきたといいます。
ここ最近になり問題行動が目立ってきたと、せっぱつまったお母様が私の元を初めて訪れました。

処方されていたのはブロムペリドール(インプロメン)にプロペリシアジン(ニューレプチル)、そしてリスペリドン錠(リスパダール)など。しかしごく一部しか服薬してなかったとのこと。

このままなら無理にでも入院させざるを得ないというお話に。その前に、改めて処方を立て直すことにしました。それまで1日3回飲むことになっていた薬も、1日2回に減らしました。そして、最も信頼を置いている抗精神病薬であるリスペリドン液を0.5mLだけ追加。

そして、お母様がリスペリドン液を持ち帰ると本人が飲むようになったんです!

Good4shcizo_22_1 そこでリスペリドン液(リスパダール)3mLを追加してみました。すると次の外来では、お母様によれば、幻聴が無くなったと本人が言い、妄想の訴えも聞かれなくなったとのこと。そして、本人が自ら薬を飲むようになったといいます。あれだけ薬を嫌がっていたのにですよ!

以前より、リスペリドン液は効果の発現が早く効果を実感しやすいのではないかと言われています。そして、そのことがアドヒアランスを改善させるのではないか、と。

まさにその通りになったケース。「効くから飲むし、飲むから効いた」ですね。

これまで薬を飲まずに増悪だけの年月が、リスペリドン液でガラリと変わりました。人生のグラフが上向きに折れ曲がった瞬間を感じます。そして、難治の方でも諦めずに処方の工夫を続ける価値があるのだと実感しています。

うん、頑張ろ(・_・)

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2007年8月 1日 (水)

リス液は苦いのか?

今年のCNSフォーラムでは知り合いの医師と協力して多施設共同研究「Risperidone内溶液に関する検討 -飲み心地を中心として-」をポスターで発表しました。今回のメインのテーマは「リスパダール液は苦いのか?」ということ。そこについて、ちょっとご紹介。

リスパダール液を服用している入院・外来の患者さん89人にアンケートで聞いてみました。希釈での内服が58.4%、原液での内服が41.6%。そんな中、服薬している皆さんはどう感じているのでしょうか。

Os_bitterness_2苦いけどOK……51.7% (46例)

苦くない……38.2% (34例)

苦い……10.1% (9例)

という結果でした。

医師はついつい先回りして「苦いから嫌がられるのではないか」などと考えがち。確かにいくらか苦い様ですが、それでも「大丈夫」という結果でした。

患者が求めているのは「おいしい薬」ではなくて「効く薬」だということでしょうか(^-^;

Dr.の方は、詳細についてはヤンセンファーマのMRさんに資料を求めてみて下さい。

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2007年7月24日 (火)

リスパダール液と睡眠

CNSフォーラムの会場で「Risperidon内溶液の睡眠への効果」(神戸大学関連病院多施設共同研究)のポスター発表がありました。

リスパダール液を使って2週・4週後にどうなったのか、その結果を見てみると……

入眠障害について、80%弱が改善
熟眠感について、約80%が改善
中途覚醒について、約60%が改善
起床時の気分について、60%台の改善

とのこと。
ホントはもっと細かく色々と書いてあります。

Ris_sleepここ最近、睡眠薬を安易に使わない方が良いと言われています。そんな中、統合失調症を治療する際に、その向精神薬で夜間の睡眠が改善するとしたら、とても有用なことですね。

ただ眠気をもたらすのかと思いきや、そーいうことでは無さそう。起床時の気分も改善するというのは「ただ眠らせる」ではなく、不眠を本質的に治療できていそうなイメージですね。

また、入眠困難が改善しますが、これには服薬後の血中濃度の立ち上がりが早い(参照「ザイディスと液剤」)こともポイントなのかもしれませんね。

リスパダール液を眠前に処方することが多いですが、こーいう数字を見てまた納得(^-^)

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2007年6月28日 (木)

CATIEスタディ?

オランザピン(ジプレキサ)の有用性について語る際にCATIEスタディというものがよく登場します。Clinical Antipsychotic Trial of Intervention Effectivenessの略(補)。製薬会社との関連性のない研究機関が新規(=非定型)抗精神病薬を中心に患者さんに無作為割り当てをして治療をした、というもの。

そして、オランザピンが優れていた、という結果。ですからジプレキサを発売しているイーライリリーの講演会で、頻繁に語られます。

じゃあいったい、どんな条件で試験をしたのでしょうか。各薬剤の用量設定を聞けば……

オランザピン 7.5~30mg/day
クエチアピン 200~800mg/day
パーフェナジン 8~32mg/day
リスペリドン 1.5~6mg/day
ジプラシドン(日本未発売)40~160mg/day

というもの。

しかし、これは本当に妥当なものなのでしょうか?

オランザピンは日本で20mg/dayが限度なのに、30mg/dayも使っています。リスペリドンは日本で12mg/day処方できるのに、6mg/dayまでしか使われません。

ジプラシドン以外の最大投与量をリスペリドン換算すると下記の通り。
オランザピン  15
クエチアピン  12
リスペリドン  6
パーフェナジン 3.2

このCATIEスタディに基づいて、イーライリリーは次のように発表しています。「薬物治療を長続きさせる主要因は症状の改善度であり、副作用ゆえに脱落する患者は少数派」

それならば、リスペリドンやパーフェナジンも、もっと増量して治療してあげればよかったハズ。そう思わずにはいられません。

複数の薬剤を同時に比較するのは大変なことだと思わされる結果でした。こんな大規模の試験がホイホイとできるハズもありませんが、薬剤の真価をきちんと問えるCATIE-2か何かが行われることを望みます。……って無理ですよね(-_-;

補:総責任者Liebermanの家族の家族がCATIEだという噂……コレ、ほんと?

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2007年5月 4日 (金)

口腔内崩壊錠

ジプレキサ(一般名オランザピン)ザイディス錠に続いて、リスパダール(一般名リスペリドン)OD錠が発売されるとのこと。これらは口腔内崩壊錠と呼ばれるもの。平たく言えば「口の中でシュワッと溶ける薬」のことです。水無しですら服用できる、とのこと。

Good4shcizo_22_1 薬を飲むには、口の中にコロッとある錠剤を喉の奥にゴクリと送り込む作業が必要です。慣れた人には簡単にも思えることですが、苦手な人にとっては負担なこと。慣れた人にだって、意識されない程の微妙にではありますが負担にはなっているハズ。そんな負担を減らす意味でザイディス錠とOD錠は大きな意味があることでしょう。

ザイディス錠はモロく、特別な扱いが必要です。しかし、OD錠はある程度の硬度があり分包機に入れることができるとのこと。

これについて「OD錠で水が不要+通常の錠剤で水が必要=水が必要」であり、無意味ではないか、との意見を耳にすることがあります。確かに一理はあります。しかし、それは「全か無か思考」というもの。
OD錠で飲みやすい通常の錠剤少し飲みやすい」が正解。少しでも飲みやすくする努力をすることが大切です。これまで通常の錠剤を用いていたところを、OD錠にいくらかでも切り替えることができれば、それは服薬する患者の負担を減らし、そしてアドヒアランスの改善にもつながることでしょう。

うまく口腔内崩壊錠を活用していきたいものですね(^-^)

ザイディス錠については2006年3月25日の日記「ザイディス錠と液剤」にも書いてますので、興味がありましたらどうぞ(^-^/

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2006年11月27日 (月)

非定型向精神薬をお飲みの方へ

向精神薬=抗精神病薬(ひらたく言えば安定剤)の中で比較的新しいものに「非定型向精神薬」があります。リスパダールジプレキサルーランセロクエルエビリファイのことです。お読みの方の中には、これらを服用中の方もいるハズ。でしょ?

Good4shcizo ここで非定型向精神薬の副作用を扱うことがあります。私としては服用中の人が怖がっちゃうかな?と不安。むやみに怖がらないで下さい。非定型向精神薬は、従来の薬よりも副作用が少ない薬です。だからこそ新しく登場したのです。むしろ安心してよい薬なのです。

そして、自己判断で中断しないで下さい。病気によっては、薬を使用せずにいると進行してしまいます。それこそ脳にダメージが生じるなど、取り返しがつかなくなることがあります。それは副作用が生じることよりも恐ろしいことです。ホント、ホント。

治療を受けている方は、副作用が生じたとしてもやたらと恐れずに適切に対処しましょう。主治医とよく相談をし、副作用(の可能性)と病気を冷静に天秤にかけ、よく考えるべきでしょう。

私や家族が統合失調症になったら、迷わず非定型を使用したいもの。だからこそ患者さんにもオススメするわけですよね(^-^)

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リスペリドンの射精障害

リスペリドンによって射精障害が生じた症例発表を聞きました。副作用としては稀なもの。内尿道括約筋の機能不全が生じ、逆行性射精が生じるというもの。抹消のα1アドレナリン受容体が遮断されることが原因だとか。ふーん。

ちなみに、α1アドレナリン受容体の遮断が生じやすい薬剤はチオリダジン(メレリル、←製造中止)とクロザピン(←日本では未承認)、そしてリスペリドン(リスパダール)。まぁ、要するにリスパダール。

射精障害が生じると服薬アドヒアランスを低下させるでしょうね。しかも、問題が性的なものであるため、語られることなく問題が遷延しやすそう。

リスペリドンを男性に処方する際には、射精についてためらわずに聞いてあげるべきでしょうね。こちらが問うことをためらえば、相手も答えづらいもの。羞恥心に配慮しつつも、あくまで医学的にドライに問診したいところ。

だって、一人密かに悩むのも辛いことでしょう。そして、これで断薬したら大変なこと。対策としては薬物の減量や変更で済むことでしょうし、慌てる必要はないでしょう。きちんとみつけて、きちんと対応したいものですね。

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2006年3月28日 (火)

リスパダール液は水なし服用可

Good4shcizo_1 リスパダール液の宣伝に「水無しでも服用できます」とあります。今まで「ふーん」ぐらいに思っていましたが、これって重要かも。

薬飲むときに毎回、水を用意するのって面倒な事ですよね。患者さんが服薬を続けるのが大切、と思うのであれば、患者さんの服薬の負担を減らしてあげるべきでしょう。統合失調症の再発がするその数%(数割?)が断薬によるものであるならば、その分、服薬し易くすることで再発を防ぐ事ができそうです。

思えば市販薬でも「ストッパ」なんて、水無しで飲めるのがウリの薬がありましたね。

Book リスペリドン内用液を使いこなす―症例を中心に

著者:武内 克也,酒井 明夫
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2006年3月25日 (土)

ザイディスと液剤

血中濃度の上がりかたについて、こんな話を聞きました。

ジプレキサ®(オランザピン)の通常の錠剤と、口でシュワッと溶ける口腔内崩壊錠=ザイディスでは、殆んど血中濃度の上がりかたに差異はないリスパダール®(リスペリドン)の錠剤と液剤では、液剤の方が早い
というのです。

  • ジプレキサを頓服で用いるなら、通常の錠剤もザイディスも同じ
  • リスパダールを頓服で用いるなら、液剤の方がいくらか早い効果が期待できる。

ということでしょうか。

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