カテゴリー「統合失調症-Ris.Zyp以外のSGA」の8件の記事

2009年5月 1日 (金)

リスパダールコンスタ承認

デポーと呼ばれる、持続性の注射剤が統合失調症の治療で用いられることがあります。一回注射すれば2~4週間、効果が続くものです。ただ、これまでは従来型抗精神病薬(=定型抗精神病薬)の注射しかありませんでした。

先日、新規型抗精神病薬(=非定型抗精神病薬)であるリスペリドンの持続性注射剤の日本での承認が下りたと聞きました。商品名が「リスパダールコンスタ」。発売されるのは7月になるのでしょうか。6月下旬?これは2週間毎に注射すると、経口でリスペリドンを服用しているのと同じような効果が得られるのだとか。

これは、これまでのデポーと、いくらか違う点があるようです。

これまでのデポーは効かせる薬剤のプロドラッグが入っているもの。これが筋肉内のエステラーゼで目的とする薬剤に変化しつつ吸収されていました。今度は、プロドラッグではなく、リスペリドン自体が入っているそうです。

そして、これまでのデポーはオイルベースでした。長期的な使用で、この油が筋肉内で硬結を作るなど注射部位反応を起こしてしまうのが問題でした。しかし、今回はポリマーに封入してあるのだとか。このポリマーというのは、吸収される手術の糸で使われるような素材。これが体内で徐々に分解されつつリスパダールが体内に放出されるのだとか。

これまでのデポーは注射した直後から徐々に吸収されていました。しかし、リスパダールコンスタは注射してから3週間程してからリスパダールの放出が始まり、これが2~3週間続くのだとか。

なかなか興味深いものです。吸収のしかたが違うだけでなく、効果の面でも大きなメリットがあると言います。その辺りは追って自分の中で整理しつつメモメモしたいと思います。発売がすごく楽しみですo(^-^)o

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2009年4月 6日 (月)

新規型で脳萎縮防止

統合失調症の脳萎縮について、最近よく耳にします。先日のウェブ講演会でも扱われていたので、ちょっとメモメモ。

統合失調症では、脳が萎縮することが報告されています。萎縮するのは上側頭回右前頭野上側頭回言語に関わっており幻聴との関連が考えられており、前頭葉意欲に関係しており陰性症状に関係すると考えられています。

じゃあ、なぜ統合失調症で脳が萎縮するのでしょうか。皮質のD1が低下し、皮質下のD2が亢進することで、GSK3βが活性化され、BDNFが低下し、脳細胞のアポトーシスが起こり、脳が委縮するのではないか、とのこと。

従来型の抗精神病薬では脳の萎縮が止まりませんが、新規型の抗精神病薬では脳の萎縮を防げるといいます。もしかしたら回復するかも、というぐらい。皮質のD1と皮質下のD2の乱れを整えるのに、ドパミンセロトニンに作用する薬物が良いのではないか、とのこと。

興奮を鎮めることは治療のメインではありません。目の前の幻聴や妄想を止めることが治療の終わりではありません。その一生をより良く生きて頂くためには、新規型の抗精神病薬を用いるのは必要なのかもしれませんね。

セロトニンやらドパミンやら、については「各受容体と抗精神病薬」をご覧下さい。

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2008年5月 2日 (金)

空腹×ロナセン=駄目

以前にルーラン空腹時だと血中濃度が半分になることを「空腹×ルーラン=駄目」で書きました。今回は、その続きのようなお話。

2008年4月に発売されたばかりのブロナンセリンロナセン)について読んでみると……

空腹時食後でブロナンセリンの血中濃度を比較すると2.7倍近くの差があるとか。空腹時には血中濃度が下がるんです。

なんですかそれは!(驚

Blonanserin_burger 統合失調症不調なときには、食事が乱れることがあります。幻覚・妄想が強いときには食事を摂れないことがあります。昏迷に陥ったときなんて殆ど食事がとれません。そして、ブロナンセリンはそんなときほど血中濃度が下がるということでしょうか。

そして、不調時に追加する屯用にも使えません。屯用は殆ど空腹時ですから。

さらに、眠前にも使えません。副作用報告を見れば眠気はそれなりに出そうな薬なのに。

空腹時に飲むと血中濃度が37%程度に落ち込むというのは、思った以上にネックになりそうです(>_<;

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2008年4月13日 (日)

空腹×ルーラン=駄目

今まで、ペロスピロン(ルーラン)をときに処方することがありました。しかし、間違った使い方をしていたことに気づきました。

Lullan_burger_2 食後投与が原則だそうです。

いかん、眠前に処方していた人がいたな~。勉強不足でした。失敗(>_<;

添付文書をきちんと読むと、これまでの新規型抗精神病薬とは違って「食後」であることが指定されています。さらに読むと、食後の服用により空腹時の1.6~2.4倍の血中濃度になるのだとか。逆に言えば、空腹時に服用すると半分しか効かないことに。

私は抗精神病薬を眠前に処方することが多いです。というのは……
1) 抗精神病薬は大なり小なり眠気を生じることが多いもの。日中ならそれが短所になります。そして、それが眠前なら長所になります。
2) 昼食後や夕食後に比べて、眠前の服薬は生活パターンに組み込みやすい人が多いものです。

それが、ペロスピロンでは使えないんですね。今更になって知りました。なんとも恥ずかしい(-_-;

確か、これから発売されるブロナンセリン(ロナセン)も空腹時がダメだったハズ。う~ん……(x_x;

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2008年2月28日 (木)

ブロナンセリンの製造承認

 新規抗精神病薬として大日本住友製薬でブロナンセリンが開発され、商品名ロナセンとして製造承認が降りたとのこと。

 抗精神病薬としてSDAセロトニンドパミン・アンタゴニストがあります。これは、ドパミン受容体よりも強くセロトニン受容体を遮断することで副作用であるEPSを抑えることに成功したもの。

 しかし、ブロナンセリンはSDAではなく「DSA」とのこと。って、こんな言葉は会社側が勝手に作った言葉ですね(^-^;

 セロトニン受容体よりも強くドパミン受容体を遮断するとのこと。データを見せてもらうと「ものすごくドパミン!!(・_・;」な薬でした。文字で言うなら……

DSA

……ってな感じ。(この表記はあくまでイメージですw)

 しかし、それでもハロペリドールなどに比べて、比較的EPSは少ないのではないかと言います。う~ん、全く理屈になってません。理屈だけだとEPSは多そうなものなのに(-_-)

 あと、MRさんから教えてもらった小さな情報としては……

 そして、脂溶性であり食後に服用する必要があるとのこと。じゃないとガクンと血中濃度が下がるそうな。眠前に飲めないのは残念。

 リスペリドン換算4対1だとか。8mgを2回/日に分けて開始し8~16mgを維持量とし、1日24mgまで。

 発売は2008年5月頃になる見込み。先に申し上げておきますが、新しく発売されたからといって私は飛びつきません。十分にメリットが分からない薬を、興味だけで処方することは慎むべき行為。
 まずは論文などでデータを見て、患者さんにとって有益と判断してからにしたいと思います。となると、まずは他剤で治療が難渋している方に提案するところからになるでしょうか。

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2007年6月28日 (木)

CATIEスタディ?

オランザピン(ジプレキサ)の有用性について語る際にCATIEスタディというものがよく登場します。Clinical Antipsychotic Trial of Intervention Effectivenessの略(補)。製薬会社との関連性のない研究機関が新規(=非定型)抗精神病薬を中心に患者さんに無作為割り当てをして治療をした、というもの。

そして、オランザピンが優れていた、という結果。ですからジプレキサを発売しているイーライリリーの講演会で、頻繁に語られます。

じゃあいったい、どんな条件で試験をしたのでしょうか。各薬剤の用量設定を聞けば……

オランザピン 7.5~30mg/day
クエチアピン 200~800mg/day
パーフェナジン 8~32mg/day
リスペリドン 1.5~6mg/day
ジプラシドン(日本未発売)40~160mg/day

というもの。

しかし、これは本当に妥当なものなのでしょうか?

オランザピンは日本で20mg/dayが限度なのに、30mg/dayも使っています。リスペリドンは日本で12mg/day処方できるのに、6mg/dayまでしか使われません。

ジプラシドン以外の最大投与量をリスペリドン換算すると下記の通り。
オランザピン  15
クエチアピン  12
リスペリドン  6
パーフェナジン 3.2

このCATIEスタディに基づいて、イーライリリーは次のように発表しています。「薬物治療を長続きさせる主要因は症状の改善度であり、副作用ゆえに脱落する患者は少数派」

それならば、リスペリドンやパーフェナジンも、もっと増量して治療してあげればよかったハズ。そう思わずにはいられません。

複数の薬剤を同時に比較するのは大変なことだと思わされる結果でした。こんな大規模の試験がホイホイとできるハズもありませんが、薬剤の真価をきちんと問えるCATIE-2か何かが行われることを望みます。……って無理ですよね(-_-;

補:総責任者Liebermanの家族の家族がCATIEだという噂……コレ、ほんと?

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2007年4月 1日 (日)

ルーランとD2受容体

ルーラン®(ペロスピロン)発売5周年記念の講演会を聞いてきました。

ペロスピロンの特徴として、D(ドパミン)2受容体の親和性が高いというお話。「非定型」とするには高すぎるくらいらしい。ただ、単純に高すぎればEPS(錐体外路症状。手の振るえや歩行障害など)を始めとした副作用が大きいハズ。じゃあ、何か。

体内で代謝されて、薬理作用のある代謝産物が生じますが、このD2受容体の親和性が低いとか。合計すればD2受容体の親和性は高すぎない、ということに。

実際、ペロスピロンを処方していて、EPSは目立ちませんからね。なるほど。

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2006年11月27日 (月)

非定型向精神薬をお飲みの方へ

向精神薬=抗精神病薬(ひらたく言えば安定剤)の中で比較的新しいものに「非定型向精神薬」があります。リスパダールジプレキサルーランセロクエルエビリファイのことです。お読みの方の中には、これらを服用中の方もいるハズ。でしょ?

Good4shcizo ここで非定型向精神薬の副作用を扱うことがあります。私としては服用中の人が怖がっちゃうかな?と不安。むやみに怖がらないで下さい。非定型向精神薬は、従来の薬よりも副作用が少ない薬です。だからこそ新しく登場したのです。むしろ安心してよい薬なのです。

そして、自己判断で中断しないで下さい。病気によっては、薬を使用せずにいると進行してしまいます。それこそ脳にダメージが生じるなど、取り返しがつかなくなることがあります。それは副作用が生じることよりも恐ろしいことです。ホント、ホント。

治療を受けている方は、副作用が生じたとしてもやたらと恐れずに適切に対処しましょう。主治医とよく相談をし、副作用(の可能性)と病気を冷静に天秤にかけ、よく考えるべきでしょう。

私や家族が統合失調症になったら、迷わず非定型を使用したいもの。だからこそ患者さんにもオススメするわけですよね(^-^)

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