カテゴリー「統合失調症-ジプレキサ」の12件の記事

2009年6月 7日 (日)

タバコとCYP

たばこを吸うと、薬を代謝するのに関わる酵素のうちCYP1Aが誘導されることが分かってます。って、どの程度なんでしょ?と思って、ネットを検索。

テオフィリンの場合、喫煙者では非喫煙者と同じ効果を得るのにの1.5~2倍の量が必要だと言われています。ペンタゾシンの場合、喫煙者が鎮痛効果を得るためには、非喫煙者の1.4倍の量が必要だと言われています。

……って、思った以上に大きな差が生じるんですね。これは無視できないです(・_・;

ここて喫煙者と呼ばれる人が、平均どのくらいの本数を吸っているのかは分かりません。それにしても、喫煙者薬が効きにくくなっているのは本当でしょう。CYP1A2で代謝される薬と言えば、オランザピンクロザピン。薬物治療の際には喫煙の有無に注意した方が良さそうですね。

各薬剤を代謝するCYPのサブタイプについては記事「新規型とCYP」をご参照下さい。

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2009年4月 6日 (月)

新規型で脳萎縮防止

統合失調症の脳萎縮について、最近よく耳にします。先日のウェブ講演会でも扱われていたので、ちょっとメモメモ。

統合失調症では、脳が萎縮することが報告されています。萎縮するのは上側頭回右前頭野上側頭回言語に関わっており幻聴との関連が考えられており、前頭葉意欲に関係しており陰性症状に関係すると考えられています。

じゃあ、なぜ統合失調症で脳が萎縮するのでしょうか。皮質のD1が低下し、皮質下のD2が亢進することで、GSK3βが活性化され、BDNFが低下し、脳細胞のアポトーシスが起こり、脳が委縮するのではないか、とのこと。

従来型の抗精神病薬では脳の萎縮が止まりませんが、新規型の抗精神病薬では脳の萎縮を防げるといいます。もしかしたら回復するかも、というぐらい。皮質のD1と皮質下のD2の乱れを整えるのに、ドパミンセロトニンに作用する薬物が良いのではないか、とのこと。

興奮を鎮めることは治療のメインではありません。目の前の幻聴や妄想を止めることが治療の終わりではありません。その一生をより良く生きて頂くためには、新規型の抗精神病薬を用いるのは必要なのかもしれませんね。

セロトニンやらドパミンやら、については「各受容体と抗精神病薬」をご覧下さい。

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2008年8月30日 (土)

オランザピンは太る?

統合失調症の治療薬であるオランザピン(ジプレキサ)は副作用として体重増加があります。もちろん全員が太る訳ではありません。

発売元のイーライ・リリー社の方からうかがった話や講演で聴いた話では、有害事象としての肥満報告は数%に過ぎないとのこと。ちょっとその「数%」の数字を忘れてしまいましが、私の臨床的な感覚とは大きく違う数字でびっくりしたことは覚えています。

なぜ、それだけのギャップが生じているのでしょうか。ひとつの説として……
副作用として報告される率 ≠ 体重増加が生じる率
……が、私としてはとても納得できます。

体重が増えても、患者さんが医者に言わなきゃ数に入りません。医者が聞いても、それが問題だと感じなければ数になりません。問題だと思っても製薬会社に報告しなきゃ数になりません。

じゃあ、実際にはどのくらいので肥満が起きるのでしょう。

福島で行われた多施設研究で、オランザピンを外来で142例に使用した報告を読みました。その論文の主旨としては、オランザピンが患者のQOLを改善する、というもの。私個人として興味深かったのは、投与前後の体重が測定されていた90例について書かれていた内容でした。

90例のうち……13例10kg以上の増加、27例5kg以上10kg未満の増加、19例5kg未満の増加、31例不変or減少……とのこと。
グラフにするとこんな感じ。

Zyp_01_3   

上のグラフが細分化されててピンと来ないので、あえて項目を減らしてみるとこんな感じ。

Zyp_02_2

太るか太らないか、と言われれば「太る」でしょうか。

計算機を叩くと
44.4%5kg以上の体重増加。
14.4%10kg以上、体重増加。
という数字。

もちろん、この論文は体重について扱うのがメインではないので、そればかりを見てもいけませんが「参考」にはなります。そして、オランザピン関連の他の論文を読んでも、近い数字です。

私なりの結論としては、オランザピンは体重増加を来しやすい薬であり、それは決して軽視できない、といもの。他人の体重について気にしない精神科医が結構いますが、とんでもないことです。

これを読む中に、オランザピンを服用している人もいらっしゃるかもしれません。実際に体重が増加してなければ、過剰に不安がる必要はありません。服薬を中断して統合失調症そのものが悪化することの方が何倍も危険です。主治医とよくご相談下さい。

オランザピンは統合失調症の治療効果自体は十分に良くEPSが少ない薬です。使うのであれば、長所をしっかりと引き出し、体重や血糖、コレステロールに注意して使いたいものですね(^-^)

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2007年11月 9日 (金)

ジプレキサと血糖リスク

イーライリリー社がオランザピン(ジプレキサ)が、他の非定型抗精神病薬に比べて血糖上昇のリスクがより高いことを正式に認めた、とのこと。http://www.biotoday.com/view.cfm?n=22479

そんなことは、臨床的に以前から言われていたこと。なのに、まだ製薬メーカー自体が認めてなかったとは驚き。認めたくなかったんでしょうね~。そして、ついに認めるに至ったのも、じぶんと肥満大国アメリカで追い込まれたんでしょうね。

というわけで、ジプレキサを服用するときには血糖に要注意ですね。医師サイドとしては、処方するならリスクを確実に告知しなければいけません。

当サイトの関連記事として「糖尿病+統合失調症」がありますので、ご参考まで。

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2007年10月24日 (水)

ジプレキダ20mgで開始?

ここしばらく、ジプレキサ初回から20mg/day処方することをイーライリリーのMRさんから提案されます。文献的な根拠も示されます。その方が最終的な投与量が少なくて済むのではないか、というお話。

しかし、添付文書では1日1回5~10mgから開始とされています。この時代、添付文書に書いてあることを守って治療を行うことは大切なことではないでしょうか。医師の自己防衛としても、そして乱暴な医療から患者さんを守るためにも。

20mg/day開始が有効なのであれば、添付文書レベルで変更して頂けるといいのでしょうね。……って、そんな簡単に書き換えられるものではありません。せめて、しっかり文献を手元に置いて、根拠を明確に示せるようにするぐらいでしょうか。イーライリリーさんとしては、どうお考えなのでしょうね。

というのも、しばらく前になりますが、ヤンセンファーマさんからは、添付文書に従って治療を始めることの大切さをご講演頂いたばかり。それからはリスパダール液を使うのも2mL/dayから始めて漸増するようにしています。

以前に比べて、医師の裁量権の重みが薄れリスクへの対応の重みが増しています。今まで通りの感覚ではいけません。気をつけなきゃですね(・_・;

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2007年6月28日 (木)

CATIEスタディ?

オランザピン(ジプレキサ)の有用性について語る際にCATIEスタディというものがよく登場します。Clinical Antipsychotic Trial of Intervention Effectivenessの略(補)。製薬会社との関連性のない研究機関が新規(=非定型)抗精神病薬を中心に患者さんに無作為割り当てをして治療をした、というもの。

そして、オランザピンが優れていた、という結果。ですからジプレキサを発売しているイーライリリーの講演会で、頻繁に語られます。

じゃあいったい、どんな条件で試験をしたのでしょうか。各薬剤の用量設定を聞けば……

オランザピン 7.5~30mg/day
クエチアピン 200~800mg/day
パーフェナジン 8~32mg/day
リスペリドン 1.5~6mg/day
ジプラシドン(日本未発売)40~160mg/day

というもの。

しかし、これは本当に妥当なものなのでしょうか?

オランザピンは日本で20mg/dayが限度なのに、30mg/dayも使っています。リスペリドンは日本で12mg/day処方できるのに、6mg/dayまでしか使われません。

ジプラシドン以外の最大投与量をリスペリドン換算すると下記の通り。
オランザピン  15
クエチアピン  12
リスペリドン  6
パーフェナジン 3.2

このCATIEスタディに基づいて、イーライリリーは次のように発表しています。「薬物治療を長続きさせる主要因は症状の改善度であり、副作用ゆえに脱落する患者は少数派」

それならば、リスペリドンやパーフェナジンも、もっと増量して治療してあげればよかったハズ。そう思わずにはいられません。

複数の薬剤を同時に比較するのは大変なことだと思わされる結果でした。こんな大規模の試験がホイホイとできるハズもありませんが、薬剤の真価をきちんと問えるCATIE-2か何かが行われることを望みます。……って無理ですよね(-_-;

補:総責任者Liebermanの家族の家族がCATIEだという噂……コレ、ほんと?

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2007年5月 4日 (金)

口腔内崩壊錠

ジプレキサ(一般名オランザピン)ザイディス錠に続いて、リスパダール(一般名リスペリドン)OD錠が発売されるとのこと。これらは口腔内崩壊錠と呼ばれるもの。平たく言えば「口の中でシュワッと溶ける薬」のことです。水無しですら服用できる、とのこと。

Good4shcizo_22_1 薬を飲むには、口の中にコロッとある錠剤を喉の奥にゴクリと送り込む作業が必要です。慣れた人には簡単にも思えることですが、苦手な人にとっては負担なこと。慣れた人にだって、意識されない程の微妙にではありますが負担にはなっているハズ。そんな負担を減らす意味でザイディス錠とOD錠は大きな意味があることでしょう。

ザイディス錠はモロく、特別な扱いが必要です。しかし、OD錠はある程度の硬度があり分包機に入れることができるとのこと。

これについて「OD錠で水が不要+通常の錠剤で水が必要=水が必要」であり、無意味ではないか、との意見を耳にすることがあります。確かに一理はあります。しかし、それは「全か無か思考」というもの。
OD錠で飲みやすい通常の錠剤少し飲みやすい」が正解。少しでも飲みやすくする努力をすることが大切です。これまで通常の錠剤を用いていたところを、OD錠にいくらかでも切り替えることができれば、それは服薬する患者の負担を減らし、そしてアドヒアランスの改善にもつながることでしょう。

うまく口腔内崩壊錠を活用していきたいものですね(^-^)

ザイディス錠については2006年3月25日の日記「ザイディス錠と液剤」にも書いてますので、興味がありましたらどうぞ(^-^/

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2006年12月28日 (木)

ジプレキサと高血糖リスク

知人SIU氏より知らされたジプレキサのニュース……

Eli Lilly社の非定型抗精神病薬・ジプレキサ高血糖リスクに関して、社内資料と公表データに食い違いが認められたというニュースをNew York Timesが先週木曜日に報じました。

http://www.biotoday.com/view.cfm?n=17065

BloodsugarNew York Timesは数百ものLillyの社内資料を入手しており、その資料をもとにして今回の記事を発表しました。

……とのこと。

ジプレキサが良い薬なのは変わりの無い事実。実際に、統合失調症に効果があります。そしてパーキンソン症候群などの錐体外路系副作用が非常に少ないもの。

ただ、高血糖のリスクについて注意するのは忘れちゃいけませんね。良い薬なだけに慎重に、ですね。ジプレキサ服用中の方は、食べすぎには御注意を。

ジプレキサ服薬中の方は2006年11月27日の記事「非定型向精神薬をお飲みの方へ」をどうぞ。

Book オランザピン100の報告

著者:上島 国利
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2006年11月27日 (月)

非定型向精神薬をお飲みの方へ

向精神薬=抗精神病薬(ひらたく言えば安定剤)の中で比較的新しいものに「非定型向精神薬」があります。リスパダールジプレキサルーランセロクエルエビリファイのことです。お読みの方の中には、これらを服用中の方もいるハズ。でしょ?

Good4shcizo ここで非定型向精神薬の副作用を扱うことがあります。私としては服用中の人が怖がっちゃうかな?と不安。むやみに怖がらないで下さい。非定型向精神薬は、従来の薬よりも副作用が少ない薬です。だからこそ新しく登場したのです。むしろ安心してよい薬なのです。

そして、自己判断で中断しないで下さい。病気によっては、薬を使用せずにいると進行してしまいます。それこそ脳にダメージが生じるなど、取り返しがつかなくなることがあります。それは副作用が生じることよりも恐ろしいことです。ホント、ホント。

治療を受けている方は、副作用が生じたとしてもやたらと恐れずに適切に対処しましょう。主治医とよく相談をし、副作用(の可能性)と病気を冷静に天秤にかけ、よく考えるべきでしょう。

私や家族が統合失調症になったら、迷わず非定型を使用したいもの。だからこそ患者さんにもオススメするわけですよね(^-^)

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2006年3月25日 (土)

ザイディスと液剤

血中濃度の上がりかたについて、こんな話を聞きました。

ジプレキサ®(オランザピン)の通常の錠剤と、口でシュワッと溶ける口腔内崩壊錠=ザイディスでは、殆んど血中濃度の上がりかたに差異はないリスパダール®(リスペリドン)の錠剤と液剤では、液剤の方が早い
というのです。

  • ジプレキサを頓服で用いるなら、通常の錠剤もザイディスも同じ
  • リスパダールを頓服で用いるなら、液剤の方がいくらか早い効果が期待できる。

ということでしょうか。

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