カテゴリー「うつ病の薬-SSRI/SNRI等」の24件の記事

2009年10月 2日 (金)

リチウム中毒

双極性障害、いわゆる「躁うつ病」の代表的な治療薬のひとつに炭酸リチウムがあります。炭酸リチウムは、双極性障害の他でも統合失調症等で鎮静を目的に使われたり、鬱病の抗うつ薬による治療の補助療法として用いられることがあります。

この炭酸リチウムを使用する際には、血液検査で有効血中濃度の範囲に入るように調節します。血中濃度が低ければ十分な効果が得られず、血中濃度が高すぎれば中毒を引き起こします。

炭酸リチウム(リーマス)の資料を見てみました。炭酸リチウムを400mgずつ12時間毎に服用し続けた結果、血中濃度が5日で定常濃度に達したとあります。服用開始から1週間程待って血中濃度を測定したいものです。

リチウム中毒を避けるべく、血液検査を繰り返すのですが、希に血中濃度が高くないのに中毒症状が出ることがあります。医師としては「血中濃度は大丈夫なのに」と驚かされます。私自身、経験があります。血中濃度が必ずしも脳内の濃度と相関しないという報告があるので注意です。また、組織に蓄積されるので、ず~っと大丈夫だと思ってたら、いつの間にかに蓄積されて中毒に至ることがあり、これにも注意です。血中濃度は必ず参考にすべき値。しかし過信せず、中毒症状の出現に注意をすべきでしょう。

中毒に至ると、脳については意識障害や記憶障害、小脳失調など、そして他でも筋脱力、消化器症状、甲状腺機能低下などが生じることがあります。リチウムは、血中濃度が下がっても組織に蓄積した分があるので、少し遅れて回復するものらしいです。自験例でも、そんなんだったかな~

そして、最近知りましたが、リチウムを服用しながら電気療法をするのは避けるべきらしいです。電気をかけると脳内のリチウム血中濃度が高くなり、脳でリチウム中毒を引き起こすとのこと。一説には、電気療法で一時的に脳血管関門(BBB)の透過性がアップするんじゃないか、と。電気療法する前には一旦、炭酸リチウムを切るなり減らすなりした方が良さそうですね。

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2009年2月 8日 (日)

抗うつ薬の分子量

抗うつ薬であるSSRIs/SNRIの分子量を添付文書を基に調べてみました。小数点以下は切り捨ててます。

フルボキサミン(ルボックス、デプロメール) 434
パロキセチン(パキシル) 374
セルトラリン(ジェイゾロフト) 342
ミルナシプラン(トレドミン) 282

覚える必要はないでしょう。でも覚えると楽しいかも。私は覚えてみました。

セル(トラリン=小部屋、)密室(342)

「ミルナシプランはセロトニンとノルアドレナリンの2発(282)

他のも覚え方が何かありましたらご提案下さい(^-^/

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2008年3月 7日 (金)

抗うつ薬の中断症候群

少し前になりますが、GSKのMRさんに「Antidepressant Discontinuation Syndrome[SSRIを中心に]」という本を見せて頂きました。Discontinuation Syndromeというのは中断症候群中止後発現症状退薬症候群断薬症候群など呼び方は様々。抗うつ薬での治療を終了するときに出現ことがある症状です。抗うつ薬を急に中断したり大幅に減薬したりしたりすると生じやすいと言われています。

平衡障害:フラフラした感じ、めまい
感覚の異常:錯感覚、しびれ感、電気ショック様の感覚
身体の異常:傾眠頭痛、振戦、発汗、食欲不振
睡眠障害:不眠症、悪夢、多夢
消化器症状:嘔気、嘔吐、下痢
感情の異常:易刺激性、不安、激越、抑うつ気分

などが出ることがあります。

ですから、抗うつ薬を止めるときには、急に減らさず、徐々に徐々に減らすべきなのは当然ですね。患者さん側からすると、良くなり始めたところで「もう大丈夫かな」と薬を止めたくなるもの。治療初期から「薬は良くなってしばらく続けます」「中断症候群を避けるべく、徐々に減らす必要があります」の2点を、治療初期に説明しておくのがいいのでしょう。

そして、その本の中に興味深いことが書いてありました。
Himeiらや松本らによれば、抗うつ薬を投与した初期に副作用が強く生じた例では、中断症候群が出やすい、というのです。SSRI/SNRIを飲み始めたときに嘔気などが出た人では、止めるときに気をつけた方が良さそうですね(^-^)

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2008年2月 1日 (金)

抗うつ薬で自殺率が減少

 自殺についてJ.John Mannを中心とした座談会の献で、張賢徳先生が抗うつ薬自殺リスクについて面白いお話をしていました。

 日本の47都道府県の自殺率の変化と、SSRIの処方量の相関を調べてみたとのこと。すると、SSRIの処方量が多い県では自殺率が減少しているた、とのこと。

Stopsuicide21  以前から抗うつ薬が自殺行動を誘発するのではないか、との指摘がありました。実際、治療初期には気をつけるべきなのは当然のこと。しかし、うつ病を放置すればそれこそ自殺リスクは上昇します。適切に抗うつ薬を使って治療することが大切、というお話ですね。

 当然、自殺リスクを頭に入れた薬物選択を考えるべきでしょう。となると優先順位が高くなるのがミルナシプラン(トレドミン)とセルトラリン(ジェイゾロフト)でしょうか。

関連する記事として「SSRIと若年者の自殺リスク」がありますので、ご参考まで。

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2007年12月12日 (水)

緑内障と抗うつ薬

眼圧が上がる疾患「緑内障」では、使用する抗うつ薬を慎重に選ぶ必要があります。

比較的古い抗うつ薬抗コリン作用から眼圧を上げやすく、使用すべきではないのは当然のこと。ほとんどの薬(テトラミド以外)が緑内障では禁忌になっています。

では、比較的新しい抗うつ薬であるSSRI/SNRIではどうなのか。添付文書を読んでみると……

ジェイゾロフト特に記載なし
トレドミン慎重投与(眼圧を上げる可能性)
パキシル慎重投与(散瞳の可能性)
デプロメール特に記載なし

……とのこと。

ですから、緑内障で抗うつ薬を使う必要があるときにはジェイゾロフトデプロメールからというところでしょう。デプロメールでは、緑内障を治療する薬との併用についてCYPがらみで注意すべきでしょう。ジェイゾロフトの抗コリン作用は「ゼロ」ではないので、そこに注意すべきところでしょうか。パキシルトレドミンも「慎重投与」であり、こまめに眼圧をチェックしながらであれば使用も可能ということでしょうが、緑内障に対してファーストチョイスからはハズレることでしょう。

ちなみに、マイナートランキライザーでも抗コリン作用が少量ながらあることが大抵。ほとんど全てが急性狭偶角緑内障では禁忌。大丈夫なのはアタラックスとセディールでした。これもメモメモ。

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2007年12月 8日 (土)

CYPで代謝されるもの

薬物の多くはチトクロームP450(CYP450)という酵素によって代謝されます。そして、この酵素は薬物によって阻害されたり誘導されたりします。

阻害されれば代謝されるハズの薬剤が代謝されずに血中濃度が上がります。誘導されれば、せっかく飲んだ薬も酵素で代謝されて、あっという間に体の中から消えてしまいます。ですから、併用に気をつける必要があります。

このCYP450には、1A2、2D6、3A4、2C9などのアイソザイムが存在します。どの薬がどのアイソザイムに関係するのか、それがどうしても頭に入らないもの(x_x;

ということで、改めてメモメモ。



1D2で代謝されるのは……
三環系抗うつ薬、カフェイン、テオフィリン、ハロペリドールやオランザピンなどの抗精神病薬

2D6で代謝されるのは……
三環系抗うつ薬、パロキセチン(パキシル)、フェノチアジン系を主とした抗精神病薬、βブロッカーや一部の抗不整脈薬

3A4で代謝されるのは……
三環系抗うつ薬、ジアゼパム(ドルミカム)、カルバマゼピン(テグレトール、レキシン)、アルプラゾラムやエチゾラムなどのベンゾジアゼピン系の睡眠薬や抗不安薬

2C9で代謝されるのは……
三環系抗うつ薬、ジアゼパムなどのベンゾジアゼピン系の睡眠薬や抗不安薬、ワーファリン、フェニトイン



これらの記載は報告によってマチマチで、一定のものがありません。ですから「参考まで」という程度。「気をつけろ」と指導されている割に、明確な基準が示されていないのは困ったことです(>_<;

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2007年12月 1日 (土)

抗うつ薬の反応性

産業医大の准教授 吉村先生の講演を2007年CNSフォーラムで聞きました。

うつ病の患者さんの7~8割は、薬物治療を受ける中で何らかの良い反応が得られる、とのこと。抗うつ薬を主とした治療の有効性を再確認。

しかし、完全寛解に至るのは3~4割にとどまる、とのこと。完全に治すことはまだまだ全員には十分にできていないという数字。

少しでも完全に良くなる人を増やせる様に頑張りたいと思います。目指せ5割、いや6割……いやいや10割を目指したいものですね。

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2007年11月18日 (日)

ジェイゾロフト100mgまで

セルトラリン(ジェイゾロフト)は欧米では200mg/dayまで使用できます。しかし、日本では100mg/dayまでの処方。

それを聞くと100mg/dayまでで、ちゃんと治せるのかな?と不安になってしまいます。

ジェイゾロフトを売り込みにきたファイザーのMRさんに聞いてみれば、欧米でも200mg/daまで可能とは言え、世界的な有効例は100mg/day程度が多かったとか。へ~

そしてGSKのMRさんが、パキシルについて売り込もうと持ってきた文献には……
イミプラミンとの比較試験の際のデータでは、セルトラリン25~75mg/dayの低用量群50~150mg/dayの高用量群では、改善率に優位な群間差が認められなかったといいます。

75mg/dayまでで十分に効くのですから、100mg/dayまでトライしたら十分と言えるのでしょう。

個人的なポイントは、ファイザーさんではなくライバルのGSKさんが持ってきた文献、ということ。なんだか妙に客観性を感じちゃいます(笑

語ればもう少しあるんですけど、それはまた別の機会に。

うん、これで納得(^-^)

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2007年11月14日 (水)

24歳以下への抗うつ薬

若年者抗うつ薬による自殺リスクについて記載するように、添付文書の改定をアメリカでFDAが指示したとのこと。それを受けて、日本でも全ての抗うつ薬の添付文書が改定されました。

追加されたのは……

抗うつ薬の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。

……という内容。

24歳以下の患者において、抗うつ薬プラセボを比較したところ、抗うつ薬で自殺念慮や自殺行為のリスクが比較的高い結果が出たとか。服用開始後1~2ヶ月に気をつける必要があるとのこと。

リスクがあるから処方しないのか、というとそうともいきません。「うつ病」であるならば、薬物治療を含めた適切な治療をしないことで、徐々に自殺リスクが上昇する可能性があります。

若年者の抑うつ状態を診たときに、むやみに抗うつ薬を処方するべきではないのでしょう。処方するのであれば自殺リスクについて考え、本人や家族に注意喚起をすべきなのでしょう。そして、初期だけでも抗不安薬などを用いるのもいいのかもしれませんね。

添付文書の改定というのは大きなことです。「無視して今まで通り」ではいけませんね(・_・)

当ブログの関連した記事に「小児用パキシル」「SSRIと若年者の自殺リスク」がありますので、ご参考まで。

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2007年11月 5日 (月)

季節性うつ病

季節もを経てになってきました。熊もカエルも冬眠する中、人間は冬でも活動しなければいけません。でも、人間も冬眠しようとしてしまうのでしょうか。「季節性うつ病」というものが存在します。

一般的なうつ病では、食欲は落ち不眠がちになるもの。しかし、うつ病として通院している患者さんの中には秋~冬にかけて食欲が通常より増進し、睡眠時間が増える人がいます。

そんな人に対して通常のうつ病の治療と同じSSRISNRIは有効です。

そして、ビタミンB12も治療を助けるとのこと。

←ビタミンB12!

そして、もうひとつのポイントは「」。冬に日照時間が短くなって、目から入る光刺激が減ると睡眠を増やすメラトニン分泌が増えるとのこと。おそらくセロトニンのバランスも乱れるのでしょう。ですから、光を浴びることが有効です。部屋はなるべく明るく、特に窓から入る日光は沢山浴びたいものです。

季節性うつ病に対して、光療法はSSRIと同等の治療効果が得られた、という報告も。ならSSRI/SNRIと併せて使えば、きっと良いことあるハズ。

先日、私の外来に通院している患者さんが、光療法の装置を購入したとのこと。医療用じゃなくても売ってるとは知らなかったな……。楽天で調べてみると、売ってました♪

←高照度光照射装置SunLight!

朝に30分~1時間、この装置の前で過ごして使います。

季節性うつ病そのものじゃなくても、同様の傾向がある人には有効でしょう。私も外来で紹介してみようかな♪o(^-^)o

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2007年8月22日 (水)

SSRIでの体重増加

少し前になりますが、ファイザーの講演会でセルトラリンについて聞きました。

パロキセチン(パキシル)での治療中に体重増加が認められることがあります。しかしセルトラリン(ジェイゾロフト)やフルオキセチン(日本未発売)では体重増加が殆ど認められない、とのこと。

講演会で紹介されたのはアメリカでの研究結果。各種抗うつ薬のSSRI3種で26~32週間の治療を行った際、7%以上の体重増加が見られた率を比べてみたとのこと。結果、体重増加が見られたのは……パロキセチンで25.5%フルオキセチンで6.8%、セルトラリンで4.2%

パロキセチンで体重が増加しちゃう患者さんって、そんなに言うほどはいません。でも、確かにいくらかいます。そんなことを考えるとセルトラリンを優先させるのもひとつの考えですね(^-^)

ミルナシプラン(トレドミン)で太ったという話もあまり聞きません。こんど、データを知る機会があったら聞いてみよ♪

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2007年7月10日 (火)

抗うつ薬の世界順位

世界的な抗うつ薬の売れゆきを教えてもらったのでメモメモ

1位 パロキセチン(日本での商品名 パキシル
2位 フルオキセチン
3位 セルトラリン(日本での商品名 ジェイゾロフト
4位 ベンラファキシン
5位 シタロプラム
6位 エシタロプラム
7位 ブプロピン
8位 フルボキサミン(日本での商品名 デプロメールルボックス
9位 ミルナシプラン(日本での商品名 トレドミン
10位 デュロキセチン

パロキセチン(日本ではパキシル)が世界的トップ。ただ、ジェネリックが出回っているので製品名「パキシル」としては、セルトラリンの「ゾロフト」がトップの座を譲るかたちだとか。

日本で使われているSNRIのミルナシプラン(トレドミン)はアメリカでは使われておらず9位。しかし、アメリカのSNRIであるベンラファキシンが4位につけています。

うん、どれも優秀な薬。このトップ10の中には、これから日本にやってくる薬もありそう。注目ですね(^-^)

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2007年7月 7日 (土)

偏頭痛にSNRI/SSRI

片頭痛の原因のひとつとしてセロトニン学説があるとか。ストレスなどが誘引となって、血小板からセロトニンが放出されるとか。これが脳血管を収縮させ、そしてセロトニンが分解・排泄されることにより、今度は脳血管が拡張。これが頭痛を引き起こす、というもの。
SSRIが片頭痛に効くことがあるのは、これかもしれません。

そして、ノルアドレナリンの関与も考えられているとのこと。片頭痛患者の血中ノルアドレナリン濃度が下がっている、などと報告されているとか。

そんなことが、ミルナシプラン(トレドミン)が頭痛に奏功した例についての報告(佐々木信幸ら)の中に書いてありました。うむ、勉強になります(・_・)

片頭痛にSNRIが奏功することもあるといいます。アメリカではミルナシプランはありませんが、ベンラファキシンというSNRIが片頭痛に用いられているとのこと。

片頭痛の患者さんが最初から精神科や心療内科を受診することは少ないもの。しかし、他の科で治療がうまくいなかなった偏頭痛を治してくれ、と言われることがあります。そんなときにNSAID(鎮痛薬)は無駄。SSRIやSNRIによる治療を試みてもいいのでしょうね(^-^)

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2007年7月 4日 (水)

SSRIとSNRIの血中濃度

SSRISNRIの投与量と血中濃度の変化についてメモメモ

 

まずはSNRIから。

ミルナシプラン(トレドミン)を
25mg/dayから
50mg/day(2倍)にすると、血中濃度は2.16倍
100mg/day(4倍)にすると、血中濃度は4.36倍

投与量2倍で2倍4倍で4倍の血中濃度が得られるということ。イメージ通りの治療ができますね。

 

 
そしてSSRI3剤。まずはフルボキサミンとセルトラリン。

フルボキサミン(デプロメール、ルボックス)を
25mg/dayから
50mg/day(2倍)にすると、血中濃度は1.8倍
100mg/day(4倍)にすると、血中濃度は4.77倍

セルトラリン(ジェイゾロフト)を
50mg/dayから
100mg/day(2倍)にすると、血中濃度は2.03倍
200mg/day(4倍)にすると、血中濃度は5.01倍

フルボキサミン&セルトラリンについてまとめると次に通り。
投与量を2倍にすると血中濃度はおよそ2倍
投与量を4倍にすると血中濃度はおよそ5倍
ですから、服薬の量と血中濃度は概ね相関します。

ちなみにセルトラリンについて50→100→200mg/dayとなっているのは、海外データだから。日本では100mg/dayまで。 

 

そして、SSRIといったら日本で売れているのがパキシル

パロキセチン(パキシル)を
10mg/dayから
20mg/day(2倍)にすると、血中濃度は3.35倍
40mg/day(4倍)にすると、血中濃度は13.93倍

投与量を2倍にすると血中濃度は3倍以上
投与量を4倍にすると血中濃度は14倍以上に!

パロキセチンは自分を代謝する酵素CYP2D6を自ら阻害するんですね。だから血中濃度が高まると代謝が遅れるんです。強迫性障害では50mg/dayまで処方できますが、その際にはもっと血中濃度があがるのでしょう。

ですから、パロキセチン30mg/dayで効果がみられない患者さんでも、最大投与量(疾患によって30~50mg/day)まで増やすべきなのでしょう。

そして、問題となるのは減薬するとき。ゆっくり減らしたつもりでも、血中濃度はそれ以上に急激に下がります。そこで増悪しやすいのが要注意ですね。

SSRIについての記事は下記のものがあります。
SSRI+スルピリド

http://pshycho-memomemo.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/ssri_f191.html
妊娠中のSSRI
http://pshycho-memomemo.cocolog-nifty.com/blog/2006/02/ssri_684a.html

パロキセチン(パキシル)については下記の記事もあります。
パキシルを強迫性障害に

http://pshycho-memomemo.cocolog-nifty.com/blog/2006/02/post_d535.html
小児用パキシル?
http://pshycho-memomemo.cocolog-nifty.com/blog/2006/02/post_f878.html

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2007年7月 1日 (日)

十分な抗うつ薬を

2002年来の長期に渡るうつ病の患者さん(40歳女性)。それはもう何年も、抑うつ状態が続いてました。気分は晴れず、物事を楽しめず、意欲が湧かず。主婦ではありますが家事もままならず家族に頼らざるをえない毎日。ルボックス(一般名はフルボキサミン。デプロメールと一緒)50mg/日による治療が続けられていました。

ちょっとしたきっかけで私の外来で治療を始めました。したことはルボックスを75mg/日に、さらに100mg/日に増量。それだけで、明らかな改善!表情は明るくなり、家事も難なくこなせるようになったと言います。それを見て、家族も嬉しそうにしているとのこと。


うつ病が抗うつ薬で良くなりました!という記事ではありません。抗うつ薬が効くのは当たり前。

中途半端な量で治療が続けられている遷延性のうつ病の患者さんが世の中に沢山いるものです。医者が中途半端な量しか処方しなかったり、患者さんが中途半端な量しか飲んでいなかったり。

遷延性のうつ病の治療について「抗うつ薬を、十分な量で十分な期間使いましょう」とよく語られます。その「十分な量」の必要性を改めて感じさせられた症例でした。もっと早くルボックスを100mg/日に増やしていれば、もっと早くハッピーになれたものを……と思わずにはいられません(・_・)

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2007年6月13日 (水)

SSRIとSNRIの形

先日、精神科薬はお互いに似てることが多い、との話を出しました。さて、最近のうつ病治療のメインであるSSRIとSNRI。いずれも出てきたセロトニンを引っ込めさせずにフル活用させようという作用は同じ。

じゃあ、構造も似ているのかな?と思えば……

パロキセチン(パキシル)

Paroxetine2_1 

セルトラリン(ジェイゾロフト)

Sertraline

フルボキサミン(デプロメール、ルボックス)

Fluvoxamine 

ミルナシプラン(トレドミン)

Milnacipran_1

う~ん、みんなお互いにちっとも似てませんね(^-^;

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2007年6月 5日 (火)

抗うつ薬のCYP阻害作用

お薬の多くは肝臓で処理されます。その際によく出てくるのがチトクロームP450。このブログでもときおり「CYP」なんて言葉が出てくる、それです。CYPには様々なサブタイプというものが存在します。お薬でよく話題になるのは2D63A4でしょうか。

抗うつ薬の中には、このCYPを阻害する薬があります。阻害するCYPによっては、併用する薬が処理されずに予定外に血中濃度が上がってしまうことがあります。そんな抗うつ薬とCYPのサブタイプについてメモメモ。

手に入れた表に書いてあったのは3種のSSRI。それにSNRIの知識を加えると次の様になります。

薬剤名 1A2 2D6 2C9/10 2C19 3A3/4
セルトラリン - + - - -
パロキセチン - +++ - - -
フルボキサミン +++ - +++ +++ ++
ミルナシプラン いずれも無し

表によっては、セルトラリンは色んなCYPを軽く阻害するとされていることもあります。しかし、他剤との相互作用をあまり心配せずに使用できそうです。

パロキセチンはとにかく2D6のみ。あまり多くは心配せずに済みますが、2D6についてだけチェックです。しかも、パロキセチン自身が2D6で代謝されるというのが面白いところ。自分を分解する酵素を自分で阻止するパロキセチン。よほど分解されたくないのでしょうね(^-^)

フルボキサミンは、色々なCYPを阻害します。ですから、併用薬に注意しなければいけません。他の薬剤の血中濃度が上がってないか要注意です。

併用薬の心配をしたくない、そんなときはトレドミン(^-^)

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2007年5月30日 (水)

陰性症状にトレドミン

統合失調症の症状として派手なのが幻聴や妄想などの病的体験そして精神運動興奮といった陽性症状

しかし、地味に生活にダメージを与えるのが陰性症状。これは意欲の低下感情の平板化・鈍麻興味の欠如など。

 

Milnacipran陰性症状に対して、様々な抗精神病薬が用いられてきました。ドグマチールデフェクトンオーラップなどなど。効くと言われてはいますが、実際には殆ど目立った効果は得られないもの。

そこで期待されたのが非定型抗精神病薬=新規抗精神病薬。しかし、これにしたってドングリの背比べであり、十分な効果は期待できないのが実際。

抗精神病薬は主に陽性症状をターゲットにすべき薬なのでしょう。

 

じゃあ、何を使って陰性症状を治したらいいのか。聖マリアンナ大学の宮本聖也先生の講演で話に出たのは、統合失調症の陰性症状に抗うつ薬がいいとのこと。

このときパロキセチン(パキシル)はやフルボキサミン (デプロメール、ルボックス)もいいのですが、他の薬への影響がある可能性があります。パロキセチンはCYP2D6、フルボキサミンはCYP3A4を阻害してしまうからです。

そこでCYPへの影響がない薬としてオススメなのがミルナシプラントレドミン)だとか。セロトニンへの作用とともにノルアドレナリンへの作用もあるので、陰性症状への効果が期待できます。ってなところで、私も処方してます。

他剤への影響が無い、とは言わないけど少ないという意味で、セルトラリン(ジェイゾロフト)を使う手もあるのかな?

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2007年5月26日 (土)

抗うつ薬の等価換算表

抗うつ薬の等価換算表(稲垣・稲田2006年版)を手に入れたのでメモメモ。

アミトリプチリン(トリプタノール) 150
アモキサピン(アモキサン) 150
クロミプラミン(アナフラニール) 120
デシプラミン(発売中止) 150
ドスレピン(プロチアデン) 150
フルボキサミン(デプロメール、ルボックス) 150
イミプラミン(トフラニール、イミドール) 150
ロフェプラミン(アンプリット) 150
マプリチリン(ルジオミール) 150
ミアンセリン(テトラミド) 60
ミルナシプラン(トレドミン) 100
ノリトリプチリン(ノリトレン) 75
パロキセチン(パキシル) 40
サフラジン(発売中止) 30
セルトラリン(ジェイゾロフト) 100
セチプリン(テシプール) 6
スルピリド(ドグマチール) 300
トラゾドン(デジレル、レスリン) 300
トリミプラミン(スルモンチール) 150

パロキセチンは投与量を増やすと、それ以上に血中濃度が増すので、単純に等価換算できるのかは疑問ですね。

日本で発売されている抗うつ薬って、こんなにあったんですね~。でも、最近のメインは赤で書いたSSRIとSNRIの4剤でしょうか。そして、それらはどれも「基本的な最大投与量どうしが等価」という値になってますので、表を見るまでも無く計算できますね。

抗精神病薬ではCP換算やHPD換算やRis換算が用いられます。抗不安薬や睡眠薬ではジアゼパム換算が、抗パ薬ではビペリデン換算が用いられます。さて、抗うつ薬では何を基準に換算するものなのでしょうね?ご存知の方がいらっしゃいましたら、お教え頂けると幸いですm(^-^)m

 

過去の記事では抗パ薬の等価換算表(ビペリデン換算)も扱っていますのでご参考まで。

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2007年5月22日 (火)

SSRIと若年者の自殺リスク

Stopsuicide2若年者に対してSSRIを用いると自殺関連事象のリスクが高まるのではないか、とのして気があります。しかし、これを理由にSSRIの使用を避けることで自殺のリスクが逆に高まるのではないかとの指摘もあります。

これらは品川で行なわれたファイザーの講演会で聞いた話。特に前者は以前から有名な話。いずれにせよ気をつける必要があります。

パロキセチン(パキシル)やフルボキサミン(デプロメール、ルボックス)などでは自殺のリスクが高まるとのデータがあります。しかし、セルトラリン(ジェイゾロフト)では他のSSRIと違って自殺のリスクが上がらないとのこと。

いったいこれは何でしょう。講演でHenry Chung先生は次のような説を唱えていました。

Zoloft_necktie_11若年者では、薬物の代謝の早いものです。ですから若年者ではSSRIの血中濃度が下がりやすく、不安や苛々等の不快気分が生じやすいのではないか。これがSSRIに伴う自殺を引き起こすのではないか。

そしてセルトラリン(ジェイゾロフト)では活性代謝物(補1)であるデスメチルセルトラリンの半減期が長く、血中濃度が下がりづらいので、若年者であっても血中濃度が比較的安定し、自殺リスクを上げないのではないか。

……とのこと。これは面白い説です。自殺のリスクが高いと見込まれるケースや若年者に対してはセルトラリンを選択肢に入れるのも手でしょう。また、他のSSRIにしても一日の服薬回数を1回や2回ではなく、無理の無い範囲で服薬回数を増やして対応するのもいいかもしれません。

ただ、ちょっとこの説でひっかかるのはミルナシプラン(トレドミン)について。ミルナシプランは半減期が短めです。なのに自殺関連事象のリスクを上げないと聞いたことがあります。Henry Chung先生の説ではちょっと矛盾するのか。それともミルナシプランがSNRIが故に、特別なのか……。

いずれにせよ、気をつけて薬物治療にあたりたいと思います。自殺は多くの悲しみを生みますし、治るうつ病も100%治らなくなっちゃいますからねo(・_・)o

補足1:デスメチルセルトラリンもセロトニン再取り込み阻害作用を持ってます。この存在は、セルトラリンの特徴。パロキセチン、フルボキサミン、ミルナシプランでは活性代謝物は生じません。

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2007年2月 1日 (木)

SSRI+スルピリド

最近読んだ論文によると……

マウスに対して、フルボキサミン(デプロメール®、ルボックス®)スルピリド(ドグマチール®、アビリット®)を併用したところ、そのマウスをぶら下げたときの不動時間が短縮したとのこと。また、前頭葉の細胞外ドパミン量が増加したといいます。つまり、抗うつ効果が増加したのではないか、とのこと。

SSRI(フルボキサミン®やパロキセチン®)+スルピリドの併用が、治療抵抗性うつ病や強迫性障害に有効という報告も複数あるとか。

 

SSRIを十分量使って十分な効果が得られないときに、スルピリド追加を試みるべきということですね。SNRI(トレドミン®)においても同じ事があるのかな?

薬剤を十分量使っていても、治療効果が今ひとつで、攻めあぐねるときがあります。この様な奥の手はチェックですね(^-^)

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2006年2月18日 (土)

パキシルを強迫性障害に

まずは「強迫性障害」についての一般論から。知ってる人は段落の中ほどまでワープをどうぞ(^-^;

強迫性障害とは、自分でも理屈に合わないと思う考えが繰り返し浮かんできてしまう「強迫観念」と、それに伴い行動してしまう「強迫行為」が生じる精神疾患です。

例えば、手が不潔ではないかと思ってしまい手を洗い続けてしまう人。さっき閉まっているのを確認したハズの鍵なのに、閉め忘れたかも知れないという考えが浮かんでしまって確認しに戻ってしまう人。

軽いものなら病気じゃなくても経験する事はあります。しかし、強迫性障害の人は、その強迫観念に伴う苦痛が強く、強迫行為により日常生活に支障を来たしてしまったり多大な負担を強いられたりすることになります。これはお薬を使って治したいですね。

Book エキスパートコンセンサスガイドライン―強迫性障害(OCD)の治療

著者:John S. March,Daniel Carpenter,Allen Frances,David A. Kahn
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gskの抗うつ薬パキシル(パロキセチン)が強迫性障害の効能・効果を取得しました。

パキシルの各疾患に対して処方可能な量は下記の通り。

  • 強迫性障害: 50mg/dayまで
  • うつ病: 40mg/dayまで
  • パニック障害: 30mg/dayまで

これまで強迫性障害に(適応外ですが)パキシルを処方してみた事はありましたが、40mg/dayで押し切れた事はなく、使用を諦めていました。しかし50mg/dayなら、効果を期待できるかもしれません

一般に、抗うつ薬を強迫性障害に用いる際には、うつ病に用いるよりも多い量を必要とする事が多いものです。パキシルに於いても、うつ病の40mg/dayより多い50mg/dayが必要なのでしょう。

40→50は小さな差の様で、パキシルを代謝するCYP450の2D6を自ら阻害する作用があることからすると、血中濃度は「40から50」という見た目の数字以上に違ってくるものと想像できます。強迫性障害に対して、もう一度試してみたくなりますね^-^

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2006年2月17日 (金)

妊娠中のSSRI

New England Journal of Medicineに妊娠中のSSRIについての記事がありました。

  • SSRI妊娠20以降に服用する事で児に遷延性肺高血圧(PPHN)が生じやすくなる。

というもの。肺高血圧は右心負荷をもたらし心不全に至りうる疾患。妊娠中にSSRIを使うにはリスクがあるという事です。

  • 20週以前であればPPHNのリスクは高まらない。
  • どの時期でも、他の抗うつ薬ではPPHNのリスクが高まらない。

というのも興味深いですね。

それにしても妊娠を前提にすると、なんとも薬が使いづらいものです(-_-;
妊娠中にSSRIを使うか使わないかは、薬物治療による効果と、それに伴う危険性を天秤にかけて医師と患者が話し合って決める……という大原則に従う他ありません。その為にも医師は情報を集めておく必要がありますね。

妊婦・授乳婦とくすり―注意度別にみた同効薬の選択指針 妊婦・授乳婦とくすり―注意度別にみた同効薬の選択指針

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2006年2月11日 (土)

小児用パキシル?

 gskの抗うつ薬のパキシル(パロキセチン)はこれまで18歳未満に対して禁忌(=「絶対ダメ~!」ってこと)でした。その理由が……
・7~18歳を対象とした試験で有効性が確認できなかった
・自殺に関するリスクが増加するという報告があった

……というもの。
 これが「禁忌」ではなく「警告」に変わったとのこと。児童・思春期の抑うつ状態の治療に、ひとつ選択肢が増えた……というか、戻ってきましたね(^-^)
 
 「小児」の抑うつは、それ程頻度も高くはないもの。少なくとも、私が臨床場面で遭遇する事は稀です。しかし「18最未満」と言えば摂食障害に伴う抑うつや人格障害に伴う抑うつ等もあります。思春期の抑うつがパキシルで解決するとはあまり思ってません。しかし選択の余地がある、というのは大きなこと。乱用は避け、内因性としての要素が高い抑うつを選んで使ってみたいと個人的に考えています。

 ちなみに、タイトルに挙げた「小児用パキシル」というものは存在しませんので、ご注意を。もし、小児用パキシルが存在したらきっとストロベリー味ですかねw

Book SSRI最前線〈No.2〉SSRIとうつ病

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