カテゴリー「うつ病の薬-SSRI/SNRI等」の26件の記事

2009年12月 1日 (火)

カリフォルニアロケット燃料

先日のストール先生の講演会。ミルタザピン(レメロン、リフレックス)について聞いてきました。ミルタザピンの使い方としてSSRIやSNRIで治療されている方に、上乗せすることを提案されていました。他の薬剤が奏功していない中、ミルタザピンを試みようと思うと、まずは上乗せになるハズ。

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講演の中でSNRIやSSRIとの併用について触れていました。彼が書かれた教科書「精神薬理学エセンシャルズ」では、SNRIとの併用について「カリフォルニア・ロケット燃料」と呼んでいました。SNRIでセロトニンとノルアドレナリン再取り込みを阻害した上で、ミルタザピンで抑制解除するコンビネーション。それが理論上、非常に強力だと言うのです。アメリカではSNRIと言えばベンラファキシンですが、日本ではミルナシプラン(トレドミン)が良いのでしょう。

エビデンス自体はまだあまり無いようですが、それでもうつ病のさらなる治療の可能性を期待させます。あまりに沢山の抗うつ薬を併用する中にミルタザピンを加えてしまっては変なことが起こりかねません。セロトニン症候群のリスクも高まるハズ。しかし、薬剤を整理した上で併用すれば、難治性うつ病の克服に対するひとつの武器になりそうですね。

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2009年11月23日 (月)

ミルタザピン

ミルタザピン(レメロン、リフレックス)がこの9月に日本で発売されて約2ヶ月が経ちました。まだ私自身の処方経験は2例のみ。爆発的に処方される薬ではないでしょう。しかし、これから処方数は確実に増えるだろうと思います。今後のうつ病治療における選択肢を増やすという意味で大きな薬剤です。

ここ最近の抗うつ薬と言ったら、SSRISNRIでした。SSRIは、神経細胞から放出されたセロトニンが神経細胞の中に再び引っ込んじゃうのを防ぐ薬。SNRIも同様に、ノルアドレナリンとセロトニンが引っ込んじゃうのを防ぐ薬です。

しかし今回は、ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬、略してNaSSAと呼ばれる作用機序。ノルアドレナリンとセロトニンの放出が抑制されるのを防ぐ薬。抑制解除をする薬です。

ストール先生の講演を聞いてきました。ミルタザピンの登場は、抗うつ薬が一つ増えるというだけではなく、SSRIやSNRIとは違った作用機序の薬という意味で大きな価値があるように感じました。SSRIやSNRIでの治療で難渋していた方に、さらなる治療の可能性がある薬と言えるでしょう。

海外では15年の歴史がありますが、日本では9月に発売されたばかり。来年9月までは14日分までしか処方できないのが悩ましいところ。悩ましい(-_-;

ヒスタミンへの作用がとても強く、最初に強い眠気があると言います。さっそく治療に難渋していた方2名に処方しました。「最初の1~2日は眠って過ごすつもりで飲んで!」と伝えて処方しました。片方の方は1日寝たと言いますし、片方の方は眠くならなかったと言います。そして一週間後に会ってみれば、お二人とも明らかに改善していました。効果が早いのも特徴の一つですね。元気になれる人が少しでも増えるよう応援したいと思います(^-^)

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2009年10月 2日 (金)

リチウム中毒

双極性障害、いわゆる「躁うつ病」の代表的な治療薬のひとつに炭酸リチウムがあります。炭酸リチウムは、双極性障害の他でも統合失調症等で鎮静を目的に使われたり、鬱病の抗うつ薬による治療の補助療法として用いられることがあります。

この炭酸リチウムを使用する際には、血液検査で有効血中濃度の範囲に入るように調節します。血中濃度が低ければ十分な効果が得られず、血中濃度が高すぎれば中毒を引き起こします。

炭酸リチウム(リーマス)の資料を見てみました。炭酸リチウムを400mgずつ12時間毎に服用し続けた結果、血中濃度が5日で定常濃度に達したとあります。服用開始から1週間程待って血中濃度を測定したいものです。

リチウム中毒を避けるべく、血液検査を繰り返すのですが、希に血中濃度が高くないのに中毒症状が出ることがあります。医師としては「血中濃度は大丈夫なのに」と驚かされます。私自身、経験があります。血中濃度が必ずしも脳内の濃度と相関しないという報告があるので注意です。また、組織に蓄積されるので、ず~っと大丈夫だと思ってたら、いつの間にかに蓄積されて中毒に至ることがあり、これにも注意です。血中濃度は必ず参考にすべき値。しかし過信せず、中毒症状の出現に注意をすべきでしょう。

中毒に至ると、脳については意識障害や記憶障害、小脳失調など、そして他でも筋脱力、消化器症状、甲状腺機能低下などが生じることがあります。リチウムは、血中濃度が下がっても組織に蓄積した分があるので、少し遅れて回復するものらしいです。自験例でも、そんなんだったかな~

そして、最近知りましたが、リチウムを服用しながら電気療法をするのは避けるべきらしいです。電気をかけると脳内のリチウム血中濃度が高くなり、脳でリチウム中毒を引き起こすとのこと。一説には、電気療法で一時的に脳血管関門(BBB)の透過性がアップするんじゃないか、と。電気療法する前には一旦、炭酸リチウムを切るなり減らすなりした方が良さそうですね。

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2009年2月 8日 (日)

抗うつ薬の分子量

抗うつ薬であるSSRIs/SNRIの分子量を添付文書を基に調べてみました。小数点以下は切り捨ててます。

フルボキサミン(ルボックス、デプロメール) 434
パロキセチン(パキシル) 374
セルトラリン(ジェイゾロフト) 342
ミルナシプラン(トレドミン) 282

覚える必要はないでしょう。でも覚えると楽しいかも。私は覚えてみました。

セル(トラリン=小部屋、)密室(342)

「ミルナシプランはセロトニンとノルアドレナリンの2発(282)

他のも覚え方が何かありましたらご提案下さい(^-^/

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2008年3月 7日 (金)

抗うつ薬の中断症候群

少し前になりますが、GSKのMRさんに「Antidepressant Discontinuation Syndrome[SSRIを中心に]」という本を見せて頂きました。Discontinuation Syndromeというのは中断症候群中止後発現症状退薬症候群断薬症候群など呼び方は様々。抗うつ薬での治療を終了するときに出現ことがある症状です。抗うつ薬を急に中断したり大幅に減薬したりしたりすると生じやすいと言われています。

平衡障害:フラフラした感じ、めまい
感覚の異常:錯感覚、しびれ感、電気ショック様の感覚
身体の異常:傾眠頭痛、振戦、発汗、食欲不振
睡眠障害:不眠症、悪夢、多夢
消化器症状:嘔気、嘔吐、下痢
感情の異常:易刺激性、不安、激越、抑うつ気分

などが出ることがあります。

ですから、抗うつ薬を止めるときには、急に減らさず、徐々に徐々に減らすべきなのは当然ですね。患者さん側からすると、良くなり始めたところで「もう大丈夫かな」と薬を止めたくなるもの。治療初期から「薬は良くなってしばらく続けます」「中断症候群を避けるべく、徐々に減らす必要があります」の2点を、治療初期に説明しておくのがいいのでしょう。

そして、その本の中に興味深いことが書いてありました。
Himeiらや松本らによれば、抗うつ薬を投与した初期に副作用が強く生じた例では、中断症候群が出やすい、というのです。SSRI/SNRIを飲み始めたときに嘔気などが出た人では、止めるときに気をつけた方が良さそうですね(^-^)

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2008年2月 1日 (金)

抗うつ薬で自殺率が減少

 自殺についてJ.John Mannを中心とした座談会の献で、張賢徳先生が抗うつ薬自殺リスクについて面白いお話をしていました。

 日本の47都道府県の自殺率の変化と、SSRIの処方量の相関を調べてみたとのこと。すると、SSRIの処方量が多い県では自殺率が減少しているた、とのこと。

Stopsuicide21  以前から抗うつ薬が自殺行動を誘発するのではないか、との指摘がありました。実際、治療初期には気をつけるべきなのは当然のこと。しかし、うつ病を放置すればそれこそ自殺リスクは上昇します。適切に抗うつ薬を使って治療することが大切、というお話ですね。

 当然、自殺リスクを頭に入れた薬物選択を考えるべきでしょう。となると優先順位が高くなるのがミルナシプラン(トレドミン)とセルトラリン(ジェイゾロフト)でしょうか。

関連する記事として「SSRIと若年者の自殺リスク」がありますので、ご参考まで。

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2007年12月12日 (水)

緑内障と抗うつ薬

眼圧が上がる疾患「緑内障」では、使用する抗うつ薬を慎重に選ぶ必要があります。

比較的古い抗うつ薬抗コリン作用から眼圧を上げやすく、使用すべきではないのは当然のこと。ほとんどの薬(テトラミド以外)が緑内障では禁忌になっています。

では、比較的新しい抗うつ薬であるSSRI/SNRIではどうなのか。添付文書を読んでみると……

ジェイゾロフト特に記載なし
トレドミン慎重投与(眼圧を上げる可能性)
パキシル慎重投与(散瞳の可能性)
デプロメール特に記載なし

……とのこと。

ですから、緑内障で抗うつ薬を使う必要があるときにはジェイゾロフトデプロメールからというところでしょう。デプロメールでは、緑内障を治療する薬との併用についてCYPがらみで注意すべきでしょう。ジェイゾロフトの抗コリン作用は「ゼロ」ではないので、そこに注意すべきところでしょうか。パキシルトレドミンも「慎重投与」であり、こまめに眼圧をチェックしながらであれば使用も可能ということでしょうが、緑内障に対してファーストチョイスからはハズレることでしょう。

ちなみに、マイナートランキライザーでも抗コリン作用が少量ながらあることが大抵。ほとんど全てが急性狭偶角緑内障では禁忌。大丈夫なのはアタラックスとセディールでした。これもメモメモ。

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2007年12月 8日 (土)

CYPで代謝されるもの

薬物の多くはチトクロームP450(CYP450)という酵素によって代謝されます。そして、この酵素は薬物によって阻害されたり誘導されたりします。

阻害されれば代謝されるハズの薬剤が代謝されずに血中濃度が上がります。誘導されれば、せっかく飲んだ薬も酵素で代謝されて、あっという間に体の中から消えてしまいます。ですから、併用に気をつける必要があります。

このCYP450には、1A2、2D6、3A4、2C9などのアイソザイムが存在します。どの薬がどのアイソザイムに関係するのか、それがどうしても頭に入らないもの(x_x;

ということで、改めてメモメモ。



1D2で代謝されるのは……
三環系抗うつ薬、カフェイン、テオフィリン、ハロペリドールやオランザピンなどの抗精神病薬

2D6で代謝されるのは……
三環系抗うつ薬、パロキセチン(パキシル)、フェノチアジン系を主とした抗精神病薬、βブロッカーや一部の抗不整脈薬

3A4で代謝されるのは……
三環系抗うつ薬、ジアゼパム(ドルミカム)、カルバマゼピン(テグレトール、レキシン)、アルプラゾラムやエチゾラムなどのベンゾジアゼピン系の睡眠薬や抗不安薬

2C9で代謝されるのは……
三環系抗うつ薬、ジアゼパムなどのベンゾジアゼピン系の睡眠薬や抗不安薬、ワーファリン、フェニトイン



これらの記載は報告によってマチマチで、一定のものがありません。ですから「参考まで」という程度。「気をつけろ」と指導されている割に、明確な基準が示されていないのは困ったことです(>_<;

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2007年12月 1日 (土)

抗うつ薬の反応性

産業医大の准教授 吉村先生の講演を2007年CNSフォーラムで聞きました。

うつ病の患者さんの7~8割は、薬物治療を受ける中で何らかの良い反応が得られる、とのこと。抗うつ薬を主とした治療の有効性を再確認。

しかし、完全寛解に至るのは3~4割にとどまる、とのこと。完全に治すことはまだまだ全員には十分にできていないという数字。

少しでも完全に良くなる人を増やせる様に頑張りたいと思います。目指せ5割、いや6割……いやいや10割を目指したいものですね。

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2007年11月18日 (日)

ジェイゾロフト100mgまで

セルトラリン(ジェイゾロフト)は欧米では200mg/dayまで使用できます。しかし、日本では100mg/dayまでの処方。

それを聞くと100mg/dayまでで、ちゃんと治せるのかな?と不安になってしまいます。

ジェイゾロフトを売り込みにきたファイザーのMRさんに聞いてみれば、欧米でも200mg/daまで可能とは言え、世界的な有効例は100mg/day程度が多かったとか。へ~

そしてGSKのMRさんが、パキシルについて売り込もうと持ってきた文献には……
イミプラミンとの比較試験の際のデータでは、セルトラリン25~75mg/dayの低用量群50~150mg/dayの高用量群では、改善率に優位な群間差が認められなかったといいます。

75mg/dayまでで十分に効くのですから、100mg/dayまでトライしたら十分と言えるのでしょう。

個人的なポイントは、ファイザーさんではなくライバルのGSKさんが持ってきた文献、ということ。なんだか妙に客観性を感じちゃいます(笑

語ればもう少しあるんですけど、それはまた別の機会に。

うん、これで納得(^-^)

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